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画廊主のエッセイ
●内間安王星展に寄せて● 18年の闘病生活のすえ一昨年79歳で死去した内間安王星の沖縄初の回顧展が開かれている。沖縄からの移民だった親の勧めで、開戦直前の日本に留学し早稲田大学で建築を学んだ。アメリカと日本と二つの祖国をもった内間は戦後は木版画家として活躍する。アメリカに帰ってからは大学で教える一方、浮世絵の伝統技法を深化させ「色面織り」と呼ぶ独自の技法を確立し、現代感覚にあふれた瑞々しい作風により、現代美術のメッカ・ニューヨークで高い評価を獲得した。アメリカの代表的美術館には多数の作品が収蔵されている。 木版画というのは文字通り「版の絵」である。色ごとに彫られた版木に絵の具をおき、ばれんで一枚一枚摺りあげる。特に現代においては少ない版数で簡潔な表現がもとめられる。色数が多いほど、逆に版の面白さが消えてしまうからである。ところが内間の代表作となったのは、伝統的な手摺りで45度摺を重ねた『森の屏風 Forest Byobu』連作である。鮮やかな色彩のハーモニー、微妙なぼかしが入った色面が幾重にも重なる複雑な構成、多色にもかかわらず画面全体には静かな気品が漂う。父母から受け継いだ沖縄の豊かな色彩感覚が反映しているのではないだろうか。 私が親炙した80年代の内間は『森の屏風』によって自分は独自の表現を獲得したのだという自信にみち溢れていた。スマートな立ち居振る舞い、深い学識に裏付けられた木版への確固とした信念には会う度に圧倒された。しかし83年突然の不幸が作家を襲い、絶頂期で制作が中断されてしまった。残念である。 生前には遂に実現されなかった父祖の地での回顧展で、たくさんの人が内間芸術の神髄に触れて欲しいと願っている。 『琉球新報』2002年 3月26日号、文化欄に掲載。
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