2000年9月〜の展覧会


[草間彌生展−新作版画とコラージュ

    版画掌誌「ときの忘れもの」第3号刊行記念展]

会期…………2000年9月1日(金)〜9月16日(土)

概要…………ポップア−トや環境芸術の先駆けとして60年代のニューヨークで旋風を起こし、帰国後も〈増殖と反復〉による意欲的な作品を発表し続ける草間彌生。

一昨年からニューヨークのMoMA、東京都現代美術館、ロンドンのSerpetineGalleryと大回顧展が世界を巡り、各地で大きな反響を呼んでいます。とどまるところを知らない草間の創作への熱情は、圧倒される勢いをもって、作品に溢れだし、停滞する社会に投げ付けられているかのようです。

版画掌誌『ときの忘れもの』第3号では、草間の作品や記録写真にみられる「コラージュ」という技法に焦点をあてた特集を組みました。〈水玉と網の目〉をキ−パタ−ンに版画作品も数多く制作していますが、コラージュもまた草間の特徴的な技法です。

刊行記念展「草間彌生展−新作版画とコラージュ」では、新作版画を中心に油彩、コラ−ジュなど20点を出品します。

草間彌生(くさま やよい)………1929年長野県生まれ。57年〜73年ニューヨークを拠点に、精力的に作品やハプニングを発表する。帰国後は美術のみならず小説執筆など旺盛な制作を続けている。世界各地で回顧展が開かれ、今世紀を代表する女流作家としての地位を確立した。

草間彌生「深いねむり」1995年 コラージュ 72.5×51.4cm

右上 No.6 草間彌生「南瓜A32(黄)」2000年 キャンバスにアクリル 0号 14.0×18.0cm 215,000円(額付・税別)

左上 No7 草間彌生「南瓜AB3(緑)」2000年 キャンバスにアクリル 0号 14.0×18.0cm 215,000円(額付・税別)

右下 No.8 草間彌生「南瓜ABC2(赤と白)」2000年 キャンバスにアクリル 0号 14.0×18.0cm 215,000円(額付・税別) 

下中央 No.9 草間彌生「南瓜OQR(黒)」2000年 キャンバスにアクリル 0号 14.0×18.0cm 215,000円(額付・税別)

左下 No.10 草間彌生「南瓜ZBA(赤と黒)」2000年 キャンバスにアクリル 0号 14.0×18.0cm 215,000円(額付・税別)

右 No.11 草間彌生「南瓜XZ2(黄、ヨコ)」2000年 キャンバスにアクリル サムホール 15.8×22.8cm 215,000円(額付・税別)

中央 No.12 草間彌生「DOTS」1999年 キャンバスにアクリル 4号 33.4×24.3cm 300,000円(額付・税別)

左 No.13 草間彌生「南瓜HQZ(黄、タテ)」2000年 キャンバスにアクリル サムホール 22.8×15.8cm 215,000円(額付・税別)


◆版画掌誌『ときの忘れもの』第3号刊行

同時代の優れた作家の紹介と、歴史の彼方に忘れ去られた作品の発掘を目指すオリジナル版画入り 美術誌、版画掌誌『ときの忘れもの』第3号を刊行します。

第3号では、20世紀を代表する作家の地位を世界的に確立した草間彌生(テキスト/小泉晋弥・茨城大学助教授)と、1920(大正9)年「日本に於ける最初のロシア画展覧会」に出品され、そのリノカット原版が発見されたロシア人画家リュバルスキー(テキスト/五十殿利治・筑波大学助教授)を特集します。

 A版(Ed.35)版画3点入り  120,000円 /B版(Ed.100)版画1点入り 35,000円[税別]

W109 草間彌生「南瓜」2000年 シルクスクリーン+布のコラージュ 27.0×21.0cm Ed.135 W110 草間彌生「レモンスカッシュ」2000年 和紙にシルクスクリーン 27.0×21.0cm Ed.35 W111 草間彌生「無限の網」2000年 ミラーフィルムにシルクスクリーン 27.0×21.0cm Ed.35

[オノサト・トシノブ展]

会期…………2000年 9月25日(月)〜10月 7日(土)

概要…………ひたすら円(丸)を描くことによって世界を描き続けた孤高の抽象画家、オノサト・トシノブ(1912−86)が亡くなって14年。

菅井汲、山口長男と並ぶ現代日本を代表する画家として、国際的な評価も高かったにも拘らず画壇とは無縁の生涯でした。絵画とは、色彩と形態によって隙間無く埋め尽くされるべき空間である、と考えた一人の抽象画家の歩みを、油彩、水彩、リトグラフ、シルクスクリーンなど25点の出品作品で回顧します。

オノサト・トシノブ………本名・小野里利信。1912年長野県飯田市生まれ。35年「黒色洋画展」結成 に参加、戦前の前衛美術運動の一翼を担った。シベリアでの抑留生活を経て帰国。再び旺盛な制作 活動に入った49年頃から、「オノサト・トシノブ」を用いるようになる。現代日本を代表する抽象 画家として、その作品がグッゲンハイム美術館、ローマ国立近代美術館などに収蔵される。そうい った評価の高まりに反するように、群馬県桐生のアトリエに独り籠り、黙々と制作に没頭した。

 86年11月、74歳の生涯を終えた。

オノサト・トシノブ「silk 10」1967年 シルク 50×50cm Ed.150 オノサト・トシノブ「黄の柱」1979年 油彩 100×100cm

 [小野隆生展]

会期…………2000年10月23日(月)〜11月11日(土)

概要…………1971年イタリアに渡り、以来イタリアに在住、独特の肖像画を描き続ける小野隆生の2年ぶりの新作展を開催します。

小野の描く肖像画にはモデルがいないといわれていますが、そのたたずまいのリアリティは、実在の人物であるかのように錯覚させます。

静かに見る者を見返す瞳の奥にはまぎれもなく現代の私たちの姿が写しだされています。

ヨーロッパの古典絵画に学び、イタリア各地の教会や美術館の修復に携わり、その卓抜な描写力を一層深めた小野だからこそ、描き出せる世界です。

インスタレ−ション系の作家の活躍ばかりが目立つ現代美術界ですが、平面において絵画の原点をひたすら求める小野のような存在こそもっと評価されて良いのではないでしょうか。

今回は、40号、20号の新作を10数点発表いたします。

小野隆生(おの たかお)………1950年岩手県生まれ。71年イタリアに渡り、国立ローマ美術学校絵画科、国立フィレンツェ美術学校絵画科、国立ローマ美術学校彫刻科に学ぶ。76年銀座・現代画廊 にて第1回個展。77年国立ローマ中央修復研究所絵画科に入学(80年卒業)。77−85年イタリア各地の教会壁画や美術館収蔵作品の修復に携わる。地震で崩落したアッシ−ジのサン=フランチェスコ教会のジオットの作品も1980年に小野が修復を手掛けたものである。以後は個展での発表を主に、テンペラによる肖像画を一貫して描いている。現在、イタリアに在住。

小野隆生「黒く錆びた鍵」(部分)2000年 油性テンペラ 100×80cm

 
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