宮脇愛子 Aiko MIYAWAKI

1929年東京生まれ。1952年日本女子大学文学部史学科卒業。阿部展也、斎藤義重に師事。1957-66年欧米各地に滞在し、制作活動を行なう。真鍮、石、ガラスを用いた立体作品のほか油彩や墨絵を制作。代表的な彫刻作品《うつろひ》は、モンジュイック・オリンピック広場(バルセロナ)、ラ・デファンス(パリ)、奈義町現代美術館など世界各地にコレクションされている。1998年神奈川県立近代美術館で回顧展、国内外で多数開催。晩年は車椅子での不自由な闘病生活にもかかわらず創作意欲は衰えず、油彩や ドローイングを制作し続けた。2014年8月20日84歳で永逝。
宮脇のシルクスクリーンや銅版画からは繊細で静かな華やかさが漂う。マン・レイが撮影したモナリザのポーズの若き日の宮脇の肖像写真は、夫君の磯崎新のデザインでシルクスクリーンのポスターになった。しなやかな金属ワイヤによる[うつろい]がもたらす軽やかで爽やかな空間のゆらぎは、宮脇の独創で、自然と人間の感性が共鳴する新たな現代美術の可能性を人々に訴えかけている。