山名文夫 Ayao YAMANA
1897年広島県生まれ。16年大阪の赤松麟作洋画研究所入所。23年大阪のプラトン社に図案家として入社。29年資生堂意匠部に入社、資生堂化粧品を彩る優美なデザインスタイルを確立する(その後二度退社するが復社)。33年名取洋之助主宰の日本工房に入る。47年多摩造形芸術専門学校(現多摩美術大学)図案科教授となる。51年日本宣伝美術会(日宣美)初代委員長。日本のグラフィックデザインの先駆者。80年永逝(82歳)。
版画掌誌第2号で磯崎新と山名文夫を特集しました。没後の回顧展では優美な資生堂スタイルばかりが強調されていますが、雑誌『女性』『サンデー毎日』『宝石』『猟奇』に掲載された清冽なエロティシズム溢れる小説の挿画をぜひ知って貰いたかったからです。江戸川乱歩、山田風太郎、香山滋らの小説を飾った、丸ペン一本で描かれた絵と字の絶妙なバランス。パソコン時代にはもう二度と出てこない才能でしょう。