版画のある床屋さん「1974年10月だより」より

「10月だより　1974.10.1」
発行日：1974年10月1日
現代版画センター事務局

創立した当初は「日本中の壁という壁を版画で埋め尽くしたい」と本気で考えていた。
既存の組織や業界とは別のルートを開拓することに力を入れた。
その一つが床屋さん（理容室）の壁だった。東京や群馬で何人かの協力者を得て、壁に版画のある（＝お客の前の鏡に版画が写っている）床屋さんをつくることができた。
しかし、長続きはしなかった。今のようにヤマトの宅配便があるわけではない。床屋さんもそうだが、全国の会員や支部に額付作品を届けることが至難の時代だった。輸送途中でガラスが割れる事故が頻発した。