“ときの忘れもの”今週のオークション 2005.05.14

連休明けの今週は、長かったのではないでしょうか。それとも、仕事がたまっていて、あっという間でしたか。

アート業界は、バブルの崩壊後冷え切ったままだと言われていますが、何とか盛り返そうという動きはいろいろなところで行われています。この一週間だけを見ても、まず、8日の日曜日には、銀座の泰明小学校の校庭で13の画廊が出展した「銀座あおぞら DE アート」という催しがありました。各画廊がブースを出した他、ジャズ・ヴォーカルにあわせてのライブ・ペインティングやインスタントカメラを使った来場者参加の展示など工夫してお客様を集めていました。家族連れから若いカップルまで5時間で1,300名以上の来場者があったようです。売上げは不明ですが...「観客」ではだめなんですよね。

また、同じ8日から10日まで神田古書会館の地下「アンダーグラウンド・カフェ」では、古書市があり、このオークションでもおなじみの「版芸術」など多くの芸術関係の出版物や作品が出品されていました。私も以前から欲しかった作品をついに買ってしまいました(汗)。ここの場合は、予めカタログで見て、欲しい作品を申し込み、希望者が複数の場合は抽選で購入する権利を得られるので、オークションとはまた違いますが、価格が決っている分安心かもしれません。ここでも、会場の一角では造本教室が行われていて、数人の方が参加していましたし、講演会などでの集客も行ったようです。

他にも、ご覧になった方も多いかもしれませんが、9日から日経新聞の夕刊に美術コレクターを紹介する記事の連載が始まりました。皆さんそうそうたるコレクターの方々ですが、この記事に触発される方が現れてくれるのを待つばかりです。
大コレクターでなくても、故久保貞次郎先生の提唱した「何でもよいから3点持てばコレクター」という小コレクター運動のようなものを広めてくれるカリスマが現れないでしょうか。久保先生のおっしゃったように「作品を買うことが作家を育てる」ことになります。さあ、皆さん作品を買わなければという気になっていただけたでしょうか。

さて、今週のオークションは!
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◆日本の版画が国際展を席捲した時代の作品を中心にラインナップをします!
◎異色の画家・深沢史朗の1967年孔版作品です。落札いただいた方には、1979年の栃木県立美術館等で開催された追悼展の図録をお付けいたします。
◎「もの派」でも活躍した吉田克朗のシルクスクリーン「work-46」(1975年)
◎美術家共闘会議を結成して、過激な美術活動を行ってきた彦坂尚嘉のシルクスクリーンを2点
・「物語シリーズ2」(1989年)
・「物語シリーズ3」(1989年)
◎和歌山県立近代美術館で回顧展が開催中(6月5日まで)の泉茂の稀少な初期リトグラフ
・「JAPANESE FOLK DANCE」(1957年)
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◆貴重な美術関係の古書をご紹介。
◎グロメールの銅版が10点挿入されたボードレールの詩集「小散文詩」(1926年)
◎レンブラントのエッチング作品図版とその解説(英文)の2冊セット(1969年)
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◆創作版画の重鎮、小野忠重の作品
◎屋根の上のささやかな出来事を独特の筆致で描写した木版作品「屋根」(1971年)
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◆『磯崎新 百二十の見えない都市』の企画編集などでいつもお世話になっています植田実(まこと)さんが、一昨年日本建築学会賞を受賞されたのを機に企画された本で、名編集者・植田実の今までの仕事をまとめた、たいへん興味の尽きない一 冊です。
◎「植田実の編集現場」

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★「新潟県中越地震災害チャリティーオークション」★
新潟中越地震の被災者の皆さんは未だ厳しい状況におかれていることとお見舞い申し上げます。
ときの忘れものでは先日、各地の豪雨と新潟中越地震を対象に
「新潟県、福井県の豪雨災害チャリティーオークション」
「台風、地震災害チャリティーオークション」
を開催し、累計合計246,130円の義援金をお送りすることができました。地震発生から時間がたつにつれ、マスコミの報道も少なくなり、ともすれ
ば人々の関心も薄れがちになります。


そこで、ときの忘れものとして微力ではございますが、昨年12月から毎週、コレクション作品の中から1点を継続してヤフーオークションに提供さ
せて頂いております。
落札金額は全額を直接、各災害対策本部もしくは日本赤十字社に振り込んでい
ただき被災者の皆さんの一助になればと願う次第です。
今週は、吉原英雄のシルクスクリーン『テリトリー』(1981年)です。