“ときの忘れもの”今週のオークション 2005.07.23
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<<今週の話題・・・レオノール・フィニー展>>
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いま東京・渋谷のBUNKAMURAザ・ミュージアムでは「レオノール・フィニー展」が開催されています(7月31日まで)。このところBUNKAMURAでは、前回「ベルギー象徴派」、今回「レオノール・フィニー」、次回「ギュスターヴ・モロー」と通好みの嬉しい展覧会を企画してくださっていますが、通好みだけあって前回、今回と会場はかなり空いていました。そのためゆっくりと鑑賞することはできましたが、不入りが続くとここもなくなってしまうのではないかと心配になります。
フィニーは、好きな作家ではありましたが、今回のような大規模な展示を見るのは初めてでしたので、画風が変わっていく様を知ることができて、フィニーという作家を見直す良い機会となりました。ただ、一人の作家の作品を年代を追って見て行くと、いつも思うことがあります。それは、「若いときの作品は良かったのになあ」ということです。今回も感じてしまいました。初期の女性の肖像画や自画像などたいへん力強く迫るものがあります。その後のシュールな作風も良いのですが、どうもどれも同じように見えてしまいます。もちろん他の方もそのように感じるとは思いませんし、すべての作家がそうだとは申しませんが、私にとって小磯良平などはその典型で、晩年の作品はどれも同じに見えます。
若い感性で対象を捉え、その作家のスタイルなど関係なく制作された作品に魅力を感じてしまうようです。ピカソのように幾度も画風を変革し、その度にスタイルを確立していった作家でも、やはり青の時代の作品にもっとも惹かれます。先日、難波田龍起展を見ているときに、奇しくもときの忘れもの亭主が、「普通の作家は年を取るとだんだん力が落ちるが、難波田さんは逆だった」ということを申しました。難波田さんについては、私も同感です。
また、草間彌生さんのようにずっと同じスタイルを貫いている作家(表現へのアプローチは他の作家とは多少異なるようには思いますが)もいますが、自己模倣におちいらずに魅力的な作品を作り続けている作家は素晴らしいと思います。
上記のことと関連して、私は若い作家の作品を買うのが好きで、今まで何度かその作家の初めての購入者になった事があります。それは気に入った作家を応援したいという気持ちもありますし、自分が最初にこの作家を評価したのだというちょっとした優越感を味わいたいということもあります。変な心理でしょうか

<< オークション出品についての方針 >>
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ごく稀にですが、オークションに出品している作品を直接売ってほしいというご要望をいただくときがございます。そのため、私たちときの忘れもののオークションに対する考え方をご理解いただこうと思います。
私たちは、ヤフーの主催するオークションに参加、出品していますので、まずヤフーのオークション・ガイドラインを遵守いたします。次に、出品中の作品を直接お売りすることはいたしません。ただし、版画作品や書籍で複数在庫がある場合は、ホームページのショップにも同時に出すことがありますので、そちらからお求めいただくことは可能です。
また、入札開始価格を販売価格と混同されることがございますが、基本的には異なるものと考えております。
お手許に届いた作品に瑕疵がありました場合、ご返品いただきました上で返金させていただきますが、できるだけそのようなことのないよう、丁寧な梱包を心がけますので、他のオークションより多少お時間をいただく場合がございます。もし、お急ぎの場合は、その旨お知らせいただければ、出来る限りの対応をさせて

いただきます。
どうぞご理解いただきますようお願いもうしあげます。

さて、今週のオークションです!
◆本格派・木村茂の銅版画
◎「すずらん」1980年額付
◆ときの忘れもので「瑛九展」開催中です!瑛九関連の作品・書籍を出品しています。
◎銅版作品「小人魚」1952年(1983年後刷り)
◎銅版作品「木」1951年(1983年)
◎重要文献・山田光春著「瑛九 評伝と作品」1976年青龍洞
◎決定版画集『瑛九作品集』1997年日本経済新聞社

◆東京オペラシティで展覧会開催中!
◎難波田龍起のカラー銅版作品「追憶」1978年/シート

◆希少な作品集と書籍をご覧下さい。
◎中世オランダの写本「LA MINIATURE HOLLANDAISE」2巻セット1921年・1926年(仏語)
◎新槐樹社・日展で活躍「堀田清治作品集」1979年・新槐樹社
◎JEAN BRULLER(ヴェルコール)デッサン1点、水彩2点、エッチング72点入り「Un Homme Coupe En Tranches(薄切りにされた男)」1929年
◎ピカソ、ローランサン、デ・キリコ他のポショワール17点入り・RAYMOND COGNIAT著「DECORS DE THEATRE 演劇の舞台美術」(仏文)1930年
◎マネ、モリゾ、ルノワール計4点の銅版画入り・テオドール・デュレ著「マネとフランス印象派の画家たち」(英文)1910年
◎北荘美術協会・土岡秀太郎編「末定豊画集」1942年
◎大原美術館所蔵「アンリ・ル・シダネル」美しい銅版2点入・1928年
◎後期印象派の画家「マキシム・モーフラ」銅版6点入・1908年
◎R.TANNERの銅版3点入り「英国の銅版画家たち1850-1940」1977年