
明日から、銅版画15点による「ハインリッヒ・フォーゲラー展」を開催します。
ホームページに15点の出品リストと図版を掲載していますが、あまり写りの良い写真ではありません。ホームページ担当のスタッフが来週半ばまで出張で、差し替えは来週後半になります。実物はとても綺麗ですのでご安心ください。
2010年2月23日[火]―3月6日[土]まで会期中無休ですのでぜひご来場ください。
1872年にブレーメンに生まれたフォーゲラーは、1894年にヴォルプスヴェーデに定住し、自然を舞台とした童話のような世界を装飾的に創造します。
その作品は1910(明治43)年に日本にいち早く紹介され、文芸雑誌『白樺』に特集が組まれ、表紙や裏表紙、扉を飾りました。
日本に将来されてからちょうど100年。
ときの忘れものでは、三度目の正直となるか、念願の「ハインリッヒ・フォーゲラー展」です。
フォーゲラーはセガンティーニとともに亭主が若い頃憧れた作家で、いつか展覧会をしたいと密かに思っていました。海外から少しづつ買い集めてきたのですが、いかんせん貧乏画廊の悲しさ、個展を開くに足るほどの点数は集まらない。
ですから2006年と2007年に開いた二回の展覧会もフォーゲラーとその仲間や、同時代の作家たちとのアンソロジーでした。
敬愛する北川太一先生(高村光太郎記念会)の口癖は、
「いいものは必ずいつか評価される、なんてのは嘘です。ほっとけば全て忘れ去られてしまう。誰かがその価値を評価し次の時代に伝えていく努力をしなければなりません。」
「この世には時の流れが公平な判断をもたらす前に消えてしまうものがいくらでもある。」(水村美苗、『辻邦生・水村美苗 手紙、栞を添えて』より)
私たち画商は自らの生い立ちが育んでくれた価値観の中で美しいと思ったものを、誰よりも先に買い、値段をつけ、売ることが商売の原点です。いくつになっても学ぶことは必要ですが、感動もしない今流行りの作品を追いかける気はありません。
いつかはフォーゲラーだけで個展をーそれも代表作を網羅したーと夢想はしていたのですが、その願いが通じたのか、昨年のある日、あるコレクターからメールが送られてきました。
<熱心にフォーゲラーを蒐集してきたこと、作品を手放す気になったこと>などが綴られていました。
日本にもこれだけ素晴らしいコレクションがあったことに感動もし、ありがたいことだと感謝しました。
出品リストをご覧いただければ一目瞭然、このコレクターの目の高さがわかります。
しかも価格はどなたでも手にすることのできるリーズナブルな価格を設定できました。
こんなチャンスは二度とない!!!
ぜひフォーゲラーファンの皆さんも、初めて知る方も、この機会にコレクションしてください。

フォーゲラー「いばら姫」

「春のメルヘン」
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◆フォーゲラー、及びドイツ美術史に詳しい木村理恵子先生に「フォーゲラーを巡って」という連載エッセイをご執筆いただきました。フォーゲラーと日本における受容の歴史、さらに彼が夢見た芸術家村の今日的意義について示唆に富む内容となるでしょう。
全4回で、24日、26日、3月1日に掲載する予定です。ぜひお読みください。
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