全国各地の公立美術館が予算の縮小、入館者の減少などで苦戦している中、珍しいニュースが送られてきました。

山陽新聞5月27日の紙面で磯崎新先生が設計した奈義町現代美術館 Nagi M0CAが紹介されているのですが、記事を読むと若いカップルのデートスポットになっているという。
久しぶりに同美術館の学芸員Kさんに電話すると「そうなんですよ、ここ5年うちは入館者が落ちるどころか少しづつ増えてるんです。おかげで仕事が増えるばかりで東京にも行けません。」とのこと。
私たちはここで2002年に「磯崎新 百二十の見えない都市」展を開催したこともあり、なじみのある美術館ですが、なにせ東京からは遠い。気にはなっているのですが、ここ数年はご無沙汰してしまいました。
どこもたいへんな状況だろうから、まして岡山の山奥の奈義町、苦戦しているのだろうなと思いきや、嬉しいニュース。
いまさらながら磯崎新先生の先を見る目に感服した次第です。
奈義町現代美術館は今から16年前の平成6年4月に開館したのですが、当時の町長が「うちの町には自衛隊しかない。おまかせしますから何もないこの町に、ここにしかない美術館を作って欲しい」と言ったとか。
町立では建物はできても継続的な作品の収集やら企画展などは難しいだろうと磯崎先生は考えたに違いない(親衛隊としてはこのあたりの裏話はぜひしたいんですが・・・)。
もっと言うと、「おまかせしますから」を逆手にとって、磯崎先生が考える究極の美術館構想をこの際やってしまおう。
とにかく出来上がった美術館は、同館のホームページによれば、
「荒川修作+マドリン・ギンズ、岡崎和郎、宮脇愛子の4人の芸術家に一般の美術館では収集不能とされる巨大作品をあらかじめ制作依頼し、その作品、又その全体の空間を作家と建築家が話合い、美術館として建築化したもので作品を本尊にたとえれば建築家はそれに覆い屋を架けるという発想から建てられた、いわば、作品と建物とが半永久的に一体化した、美術館です。」
「NagiM0CAは、まったく新しいタイプの現代美術館です。
美術館という19世紀以来、歴史的に展開している建築型に、それを位置づけると、<第三世代の美術館>と呼ばれるような内容と形式をそなえています。
これが、岡山県、奈義町という全国的にはほとんど無名の町に誕生することは、今日、地方自治体が“箱物”文化施設を無造作に乱立させているなかで、その企画のユニ一クさがとりわけ注目されることでしょう。
世界の美術界においても最初のこころみといっていいこのNagi M0CAは、現代から未来へむけての美術に対応する建築的空間のあたらしい範例となるでしよう。」
よく地元の人たちが文句をいわなかったもんです。
**************
つまり、主要な展示空間(というか作品=展示室)は固定したままですから、展示換えもなければ、企画展もない。いつ行っても同じです。
亭主はつねづね美術館の命は常設にあり(そこでしか見られないコレクション、いつ行っても見られるコレクション)と思っているので、奈義町は究極の美術館といえます。
附属して小さな町民ギャラリーもあり、地元の人たちの展覧会などが開催されています。

1998年8月露天風呂愛好会のツアーの面々
宮脇愛子の立体作品「UTSUROHI」

社長、絵になります!

特筆すべきは図書館です。
書棚に開けられた四角い窓の前では地元の小・中学生たちが町の風景に時折目をやりながら、静かに本を読みふけっていました。
亭主は海外でも未知の町を訪れたとき図書館を訪ねて写真集などを漫然と眺めながら過ごすのがすきなのですが、奈義のこの美術館は中でも素晴らしい。
それを磯崎先生に言ったら「そうなんだよ、みんな図書館ばかり褒めるんだ」とくさっていました(笑)。
磯崎新先生の版画をご紹介します。

磯崎新「MOCA #3」
1983年 シルクスクリーン

磯崎新「闇 1」
1999年 シルクスクリーン

磯崎新「闇 3」
1999年 シルクスクリーン
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山陽新聞5月27日の紙面で磯崎新先生が設計した奈義町現代美術館 Nagi M0CAが紹介されているのですが、記事を読むと若いカップルのデートスポットになっているという。
久しぶりに同美術館の学芸員Kさんに電話すると「そうなんですよ、ここ5年うちは入館者が落ちるどころか少しづつ増えてるんです。おかげで仕事が増えるばかりで東京にも行けません。」とのこと。
私たちはここで2002年に「磯崎新 百二十の見えない都市」展を開催したこともあり、なじみのある美術館ですが、なにせ東京からは遠い。気にはなっているのですが、ここ数年はご無沙汰してしまいました。
どこもたいへんな状況だろうから、まして岡山の山奥の奈義町、苦戦しているのだろうなと思いきや、嬉しいニュース。
いまさらながら磯崎新先生の先を見る目に感服した次第です。
奈義町現代美術館は今から16年前の平成6年4月に開館したのですが、当時の町長が「うちの町には自衛隊しかない。おまかせしますから何もないこの町に、ここにしかない美術館を作って欲しい」と言ったとか。
町立では建物はできても継続的な作品の収集やら企画展などは難しいだろうと磯崎先生は考えたに違いない(親衛隊としてはこのあたりの裏話はぜひしたいんですが・・・)。
もっと言うと、「おまかせしますから」を逆手にとって、磯崎先生が考える究極の美術館構想をこの際やってしまおう。
とにかく出来上がった美術館は、同館のホームページによれば、
「荒川修作+マドリン・ギンズ、岡崎和郎、宮脇愛子の4人の芸術家に一般の美術館では収集不能とされる巨大作品をあらかじめ制作依頼し、その作品、又その全体の空間を作家と建築家が話合い、美術館として建築化したもので作品を本尊にたとえれば建築家はそれに覆い屋を架けるという発想から建てられた、いわば、作品と建物とが半永久的に一体化した、美術館です。」
「NagiM0CAは、まったく新しいタイプの現代美術館です。
美術館という19世紀以来、歴史的に展開している建築型に、それを位置づけると、<第三世代の美術館>と呼ばれるような内容と形式をそなえています。
これが、岡山県、奈義町という全国的にはほとんど無名の町に誕生することは、今日、地方自治体が“箱物”文化施設を無造作に乱立させているなかで、その企画のユニ一クさがとりわけ注目されることでしょう。
世界の美術界においても最初のこころみといっていいこのNagi M0CAは、現代から未来へむけての美術に対応する建築的空間のあたらしい範例となるでしよう。」
よく地元の人たちが文句をいわなかったもんです。
**************
つまり、主要な展示空間(というか作品=展示室)は固定したままですから、展示換えもなければ、企画展もない。いつ行っても同じです。
亭主はつねづね美術館の命は常設にあり(そこでしか見られないコレクション、いつ行っても見られるコレクション)と思っているので、奈義町は究極の美術館といえます。
附属して小さな町民ギャラリーもあり、地元の人たちの展覧会などが開催されています。

1998年8月露天風呂愛好会のツアーの面々
宮脇愛子の立体作品「UTSUROHI」

社長、絵になります!

特筆すべきは図書館です。
書棚に開けられた四角い窓の前では地元の小・中学生たちが町の風景に時折目をやりながら、静かに本を読みふけっていました。
亭主は海外でも未知の町を訪れたとき図書館を訪ねて写真集などを漫然と眺めながら過ごすのがすきなのですが、奈義のこの美術館は中でも素晴らしい。
それを磯崎先生に言ったら「そうなんだよ、みんな図書館ばかり褒めるんだ」とくさっていました(笑)。
磯崎新先生の版画をご紹介します。

磯崎新「MOCA #3」
1983年 シルクスクリーン

磯崎新「闇 1」
1999年 シルクスクリーン

磯崎新「闇 3」
1999年 シルクスクリーン
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