8月27日(金)から始まります「銀塩写真の魅力II-Noir et Blanc」に出品する作品を順次ご紹介してまいります。
第2回目は、イリナ・イオネスコの「Jocelyne」です。
デカダン(退廃的)でバロック(過剰装飾)というのはイオネスコの枕詞のようになっていて、何か暗い印象を与えますが、ご本人は、いたって明るい感じのご婦人でした。(多少わがままなようですが、それは彼の国では「普通」でしょう)
イオネスコ
十数年前に日本にいらしたときは、着物をジャケット代わりに着るなど茶目っ気も。

今回出品する作品は、1991年に刊行された写真集『Les Immortelles』の表紙にも使われた作品で、一度見たら忘れられない強烈な印象を与えます。まなざしはそう厳しくないにもかかわらず、真っ暗な背景から浮かび上がる白い顔、その顔にかぶさる白い手とのコンポジション、そして小さな球体がたくさん付いたアクセサリーといったものが、そういう印象を醸し出しているのでしょう。そして、それほど肌を露出していないのに扇情的なものを感じさせるのが、イオネスコの作品の持つ不思議な魔力といえます。
ionesco_33_jocelyneイリナ・イオネスコ「Jocelyne
1974年
36.7x24.8cm
ゼラチンシルバープリント
サインあり


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イリナ・イオネスコ(Irina IONESCO)
1935年生まれ。1965年より写真を撮り始め、娘エヴァほか、多くの女性を撮り続ける。1970年初個展。初の写真集『鏡の神殿』(1977)では、母親が撮った娘のヌード写真ということで、倫理的な議論も巻き起こした。シュルレアリスムとバロックの混沌とした写真が話題となり、その独特な世界が高い評価を得ている。

◆ときの忘れものは、2010年8月27日[金]―9月4日[土]に「銀塩写真の魅力II―Noir et Blanc」を開催します(会期中無休)。
案内状画像600
マン・レイやアンドレ・ケルテス、篠山紀信、荒木経惟、植田正治らによるゼラチン・シルバー・プリント作品を展示します。
会期中の9月3日(金)19時より、原茂さんをホストに、大河原良子さんをゲストにお招きして「第一回写真を買おう!! ときの忘れものフォトビューイング」を開催します(要予約、参加費1000円)。
第一回目となる今回は、原さんご自身のコレクションから、アジェ、ベロック、植田正治、高梨豊、荒木経惟などオールドマスタークラスのプリントをご覧いただきながら、ギャラリーとコレクターの関係についてゲストの大河原さんとお話しいただきます。また、ときの忘れもののコレクションからマン・レイ、細江英公のプリントを当日限りの特別価格で頒布するほか、原さんのコレクションもご購入いただけます。