今日から始まる「マン・レイと宮脇愛子展」では、1959年から1976年まで足掛け18年にわたるマン・レイ宮脇愛子の親交、さらにマン・レイ没後のジュリエット夫人との暖かな交流の軌跡を二人の作品や書簡、資料によってたどる展示です。

宮脇の回顧によれば二人の出会いは次のようなものでした。

 私が、そのマン・レイにはじめて会ったのは一九五九年、ダダイストのハンス・リヒターに連れられてパリのマン・レイのアトリエを訪れたときだった。サン・シュルピス寺院の裏手の細い道がマン・レイの絵にあるあの〈フェルー通り〉である。倉庫のようなコンクリートの壁で閉ざされた壁のなかの小さな気がつかないほどの扉がマン・レイのアトリエの入口であった。これもやっと気がつくような小さなベルを押すと、ずいぶんたってから、赤い上っぱりを着たマン・レイが現われ、いきなりハンス・リヒターに皮肉まじりの冗談をたたくのだった。そして、傍にいた私を見つけ、「これはようこそ」と迎えてくれた。
 それ以来、一九七六年のマン・レイの死まで、家族同様に親しくしてもらった私は、訪ねれば、このリュー・フェルーのアトリエに長居をするのが常だった。「退屈を知らないとき」をあのアトリエでしばしば過すことができた私は、おそらく、知らず知らずのうちに、堀内先生が書いて下さったように、マン・レイの感化を受けていたのかもしれない。最近、人からときどき「マン・レイからの影響は?」と問われるたびに、私はそんな風に考えるようになった。

ー『はじめもなく終りもない―ある彫刻家の軌跡』(1991年、岩波書店)より抜粋

マンレイ2
マン・レイのアトリエにて
左から、ジュリエット夫人、宮脇愛子、マン・レイ

宮脇愛子オリジナル
マン・レイ撮影の宮脇愛子のポートレート
1962年 ヴィンテージプリント

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同じ頃、パリで制作された宮脇愛子の「WORK
1962年 ミクスト・メディア

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1921年マン・レイがアメリカから渡仏後初めて制作したオブジェ「贈り物」は余りにも有名だが、この作品「贈り物」は1974年にマルチプルとして制作されたもので、マン・レイの自筆サイン入りの作品証明カードが付いています。

●本展を記念して宮脇愛子は久しぶりに版画に取り組み、新作エディション『Hommage a Man Ray』を制作しました。
シルクスクリーン入り小冊子『宮脇愛子 Hommage a Man Ray』(DVD付き)
マン・レイの作品「パン・パン 回転扉」よりインスパイアーされ、宮脇愛子がマン・レイとコラボレーションした作品。マン・レイと宮脇愛子の交流の軌跡をたどる。
限定25部
サイズ:18.0x14.5cm
折本形式(蛇腹)、表裏各15ページ、
宮脇愛子オリジナルドローイング、自筆サイン入り
宮脇愛子が1959年より2010年まで制作したドローイングより厳選のシルクスクリーン13点挿入
(シルクスクリーン刷り:石田了一)
磯崎新撮影・「アトリエのマン・レイと宮脇愛子」カラー写真1点貼り込み
宮脇愛子に贈られたマン・レイ作品の画像貼り込み(印刷)
マン・レイとの交流と、『うつろひ』への宮脇愛子インタビュー DVD(約10分)付

発行:ときの忘れもの

価格:ステップアップ方式
  9/25~20/25  157,500円
21/25~25/25 210,000円

納品:一冊一冊手作りですので、納品は展覧会終了後、順次申し込み順にお送りします。
受付を開始しましたので、お早めにお申し込みください。

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◆ときの忘れものは、9月28日(火)~10月16日(土)「マン・レイと宮脇愛子展」を開催しています(会期中無休)。
案内状 編集版_600
10月1日(金)17時~18時半、宮脇愛子さんを囲んでのレセプションを開催します。

10月16日(土)17時より、巌谷國士さんを講師にギャラリー・トークを開催します(*要予約、参加費1,000円)
参加ご希望の方は、電話またはメールにてお申し込み下さい。
Tel.03-3470-2631/Mail.info@tokinowasuremono.com

本展を記念して宮脇愛子の新作エディション、シルクスクリーン入り小冊子『Hommage a Man Ray マン・レイへのオマージュ』(DVD付き)を刊行します。
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