年々歳々花相似たり歳々年々人同じからず

震災から一年が過ぎ、遅れてはいるものの桜も例年のように咲き始めました。しかし、今もあのときの不安と恐れは消えません。
人の心が不安定なときには消費欲も起こらない、画廊の仕事ははたから見るとヒマで(これはたしか)優雅ですが、日々けっこうタイヘンなんです。

昨日大坂寛写真展が終了しました。最終日には大坂先生の写真集持参でサインを依頼される方などでにぎわいました。若くして認められキャリアの長い作家ということもあり、ときの忘れものにとっては初めてのお客様も多く、写真家の方、コレクターの方、いろいろな方に出会うことができました。作品をお買いあげいただいたお客様、限定版写真集(Ed.100)をご予約いただいた皆様には厚く御礼を申し上げます。大坂先生の手作り写真集ですのでお納めにするまで少々お時間がかかりますのでお待ちくださいますよう。

ときの忘れものは皆さんご承知の通り、そっけない。
お客様がいらしてもお茶は必ず出すようにしていますが、あまり話しかけたりはしません。
企画展のたびに来廊してくださるHさんとは今まで一度も口をきいたことはありませんでした。昨日ちょとしたきっかけでHさんと初めて言葉を交わし、新版画巴水のファンであるとわかり、亭主はすっかり嬉しくなってしまいました。五葉と巴水は大正の新版画の代表的作家です。亭主は創作版画にかぶれた時期がありますが、同時に巴水も随分扱ったことがあります。
駆け出しのころお世話になったOさんという画商さんがいました。もともとは実業家でコレクターだった人ですが、病が高じてとうとう画商になってしまった。鎌倉の広大なお屋敷の蔵に入れてもらうとコレクター時代に買った駒井哲郎加納光於などの版画類が積んであり、亭主はそれを少しわけてもらっては商売していました。中でも巴水が膨大で、全作品七百数十点のほとんどをお持ちでした。
あの大コレクションはその後どうなってしまったのかしら・・・・・
そんなことを思い出しながら、Hさんと巴水の魅力について語り合うことができました。
巴水の風景画には独特の詩情があり、明らかに近代都市、想像上ではない実際に旅する人の風景が描かれています。そのあたりを誰かきちんと論じてくれないかと昔から思っていました。
ときには素っ気無さを捨てて、積極的に話しかけることも必要ですね。

さて、次回以降の企画展の予定をご案内します。

■2012年4月13日(金)ー4月21日(土)
ロバート・ラウシェンバーグ展-Tribute 21- Part1
子供達 オードリー・ヘップバーン


■2012年4月27日(金)ー4月29日(日)
ART KYOTO 2012
会場=国立京都国際会館 ANNEX HALL ブース番号32
磯崎新、安藤忠雄、宮脇愛子、井桁裕子、五味彬、尾形一郎&優、ジョック・スタージス他

■2012年5月11日(金)ー5月19日(土)
「AKIRA GOMi 1972-2012/ 倉俣史朗&村上麗奈」
倉俣*5月13日(日)14時~ 
五味彬先生のギャラリートークを開催します
要予約=参加費:1,000円
お申し込みはメールでどうぞ。

■2012年5月29日(火)ー6月9日(土)
「光嶋裕介銅版画展―Landscape at Night」
光嶋裕介手彩色008
光嶋裕介銅版画集―Landscape at Night』の概要が決まりました

■2012年6月25日(月)ー7月7日(土)
「宮脇愛子展」
宮脇愛子
第一会場:銀座・ギャラリーせいほう
*6月25日(月)17時~
宮脇愛子先生を囲み銀座の第一会場でオープニングを開催します

第二会場:青山・ときの忘れもの

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