新人スタッフのアートフェア挑戦記3
第三回 釜山からの報告 新澤悠

BAMA 2012、現地より第三信をお送りします。
どう見ても構造的に欠陥のあるシャワーを浴び(シャワーを使うと必然的に床が水浸しに)、スプリングが入っているのか多いに疑わしいベッド(にも関わらず寝心地は良かったです)に潜り込み、明けて翌7日。初めてのアートフェアの今日はオープニングです。
まずは腹ごしらえと、ホテル18階へ朝食を食べに。洋風と韓国風のビュッフェスタイルでしたが、日和見主義の自分は洋風一択です。明日こそは韓国風に挑戦したいと思います。朝食はラウンジで食べるようになっていて、窓からは釜山の街並が一望…させまいと、目の前にコンクリ肌もろ出しの建設中ビルが。流石現在進行形で発展中の街です。どこを見ても工事していない場所が見当たりません。そしてその脇から見える景色には、以前ソウルに行った時にも見た、さながらオシロスコープの波形のごとく平地から突き立つ高層マンション群が。周りの建物は二、三階建てなのに、そこだけ一気に大きくなるので非常に目立ちます。とはいえ、ここいらの建築ラッシュを見るに、これらの高層建築がスタンダードになる日も遠くなさそうです。
朝食後は参加費用(ブース代)と釣り銭のために両替をCITI BANKで実行。パスポートを忘れて二度手間、というお約束をキッチリこなし、両替を実行した結果、手元に残ったのは1万ウォンの札束。貨幣単位の違いに思わず唖然としてしまいました。缶ジュースなどでも1000ウォンくらいはするのが普通とはいえ、小心者の自分は全く落ち着けず、慌ててホテルに戻って保管しました。本日は事務局が忙しいとのことで支払いを受け付けてもらえませんでしたが、早く払って身軽になりたいです。
展示に関しては昨日の内にほぼ準備は終わっていたので、後は価格を調べてラベルを貼るくらいかな、などと考えていると、インターホンが。事務局の人かな? と思いドアを開けると、なんとBookGallery CAUTIONの浜田さんでした。お世話になってるDaegu Artfairさんにご挨拶にいらっしゃったとのこと。丁度自分もDaegu Artfairさんに貸し出しする作品があったこともあり、ご一緒に挨拶に伺わせていただきました。その後は、展示会は始まってしまうと一人だけの自分はホテルの部屋から動けなくなってしまうので、その前にと浜田さんに誘っていただき、歩いて直ぐのArtShow Busan 2012の会場を見学してきました。第一印象はとにかくデカい! 会場の大きさに比例して各ブースのサイズも大きく、一番小さいものでも、先日自分が参加したART KYOTO 2012の1.5倍くらいありました。展示されている作品も多岐に渡り、普通の絵画や彫刻から、漫画的な人物画や玩具の人形を組み合わせたオブジェ、意図的に歪みを持たせた家具など様々。浜田さんのブースは壁を白とグレーで塗り分け、色々な作家たちの対比をテーマにした展示をされていました。

ArtShow Busan 2012 会場内風景。
とにかく広いです。ここを見て回るだけで一日過ごせそう。

浜田さんのBookGallery CAUTIONのブース。
最初に使用したペンキに問題があり、昨日は遅くまで悪戦苦闘なされたとか。
帰り際に軽くお昼を食べ、部屋に戻って作品に価格ラベルを貼り、事務局から4時には開催の挨拶があるので4階に来て下さいと言われていたのですが、いざ時間になってみると早速部屋に入ってくるお客様が。え、いきなり!? と困惑している自分に話しかけてきたのは東京からいらしたギャラリーSのご主人。日本語が通じる相手で良かったーなどと思っていると、お連れのソウルの画廊の方が、早速草間彌生作品を買いたいのだが、割引はいくらしてくれるのかとのご質問が。自分はその勢いに押しに押され、相手がときの忘れもののお得意様ということもあって早々に日本の社長へ電話で助けを求める体たらくでした。結果、開始30分で草間彌生作品6点が売約済みの赤点付きになり、その直後には釜山に出発する前にお問合せいただいていた台湾のお客様からの注文が入り、更に2点の草間作品に赤点が付き、初日どころか開始一時間で8点が売約済みという怒濤の展開になりました。

部屋に入ってすぐの靴箱の上に草間彌生の「靴」

リビングスペースに入って右側に安藤忠雄と小野隆生のカタログ。

収納されたキッチンスペースに安藤忠雄の「光の教会」「SCENE I/WALL」「SCENE II/CROSS」と草間彌生の「朝が来たA」と「朝が来たD」

リビングスペースのソファに小野隆生の肖像画3点と、テーブル上に草間彌生の「夜に読む本」A、B、C、E。

机の上には菅井汲の「青い星」と「赤い太陽」。

ベッドの上には安藤忠雄のドローイング "Untitled (2)"(手前)と草間彌生の「花」と「無限の網B」(奥)

スツールに立てかけてある草間彌生の「水玉」
あっという間に時間が過ぎ、7時にオープニングパーティに出席して本日は終わりとなりました。
立食パーティ形式だったのですが、韓国ってこういった場で料理とスイーツを一緒に出すのが普通なんでしょうか? 胡麻団子などはともかく、クッキーやケーキが手巻き寿司と隣り合って盛られているのは個人的には中々珍妙に思える景色でした。

パーティ会場風景。

ごく普通に寿司などに隣り合わせでクッキーやケーキが並んでおり、食べる側も特に気にせずに同じ皿に取ってました。
さて明日はいよいよ一般公開です。
(2012年6月7日 しんざわゆう)

小野隆生「肖像図 6-2003」
2003年
テンペラ・画布
40.0×30.0cm
signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
*画廊亭主敬白
チューリッヒ、ヴォルツァーノ、テグ、ソウル、そして今回の釜山。
海外アートフェアへの参加は行きはよいよい、帰りは・・・・
異国で知り合いもなく、作品は一点も売れない、という心細い思いを何度したことでしょうか。
たとえ一冊のカタログでもその国の通貨で売れたときの嬉しさは格別のものがあります。
ちょっと説明不足でしたが、いま釜山では同時に二つのアートフェアが開催されています。
一つが大会場を使ってのArtShow Busan 2012。もう一つがときの忘れものが出展しているホテルを使ってのアートフェア「BAMA 2012」です。
「一点も売れなくてもいいから」と送り出した新澤ですが、初日を前に、早々と商談がまとまり、どんなにか勇気づけられたことでしょう。
最初のお客様となったギャラリーSさん、ありがとう。
◆本日は「光嶋裕介銅版画展―Landscape at Night」の最終日です。
ときの忘れものの展覧会では異例の来廊者と売上げですが、カタログに素晴らしい「光嶋裕介論 テクノロジカルな付喪神たち」をご執筆いただいた内田樹先生はじめご協力くださった皆様には心より御礼申し上げます。

光嶋さんは、12時~19時まで終日在廊していますので、ぜひお出かけください。
光嶋さんからのメッセージをお読みください。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
第三回 釜山からの報告 新澤悠

BAMA 2012、現地より第三信をお送りします。
どう見ても構造的に欠陥のあるシャワーを浴び(シャワーを使うと必然的に床が水浸しに)、スプリングが入っているのか多いに疑わしいベッド(にも関わらず寝心地は良かったです)に潜り込み、明けて翌7日。初めてのアートフェアの今日はオープニングです。
まずは腹ごしらえと、ホテル18階へ朝食を食べに。洋風と韓国風のビュッフェスタイルでしたが、日和見主義の自分は洋風一択です。明日こそは韓国風に挑戦したいと思います。朝食はラウンジで食べるようになっていて、窓からは釜山の街並が一望…させまいと、目の前にコンクリ肌もろ出しの建設中ビルが。流石現在進行形で発展中の街です。どこを見ても工事していない場所が見当たりません。そしてその脇から見える景色には、以前ソウルに行った時にも見た、さながらオシロスコープの波形のごとく平地から突き立つ高層マンション群が。周りの建物は二、三階建てなのに、そこだけ一気に大きくなるので非常に目立ちます。とはいえ、ここいらの建築ラッシュを見るに、これらの高層建築がスタンダードになる日も遠くなさそうです。
朝食後は参加費用(ブース代)と釣り銭のために両替をCITI BANKで実行。パスポートを忘れて二度手間、というお約束をキッチリこなし、両替を実行した結果、手元に残ったのは1万ウォンの札束。貨幣単位の違いに思わず唖然としてしまいました。缶ジュースなどでも1000ウォンくらいはするのが普通とはいえ、小心者の自分は全く落ち着けず、慌ててホテルに戻って保管しました。本日は事務局が忙しいとのことで支払いを受け付けてもらえませんでしたが、早く払って身軽になりたいです。
展示に関しては昨日の内にほぼ準備は終わっていたので、後は価格を調べてラベルを貼るくらいかな、などと考えていると、インターホンが。事務局の人かな? と思いドアを開けると、なんとBookGallery CAUTIONの浜田さんでした。お世話になってるDaegu Artfairさんにご挨拶にいらっしゃったとのこと。丁度自分もDaegu Artfairさんに貸し出しする作品があったこともあり、ご一緒に挨拶に伺わせていただきました。その後は、展示会は始まってしまうと一人だけの自分はホテルの部屋から動けなくなってしまうので、その前にと浜田さんに誘っていただき、歩いて直ぐのArtShow Busan 2012の会場を見学してきました。第一印象はとにかくデカい! 会場の大きさに比例して各ブースのサイズも大きく、一番小さいものでも、先日自分が参加したART KYOTO 2012の1.5倍くらいありました。展示されている作品も多岐に渡り、普通の絵画や彫刻から、漫画的な人物画や玩具の人形を組み合わせたオブジェ、意図的に歪みを持たせた家具など様々。浜田さんのブースは壁を白とグレーで塗り分け、色々な作家たちの対比をテーマにした展示をされていました。

ArtShow Busan 2012 会場内風景。
とにかく広いです。ここを見て回るだけで一日過ごせそう。

浜田さんのBookGallery CAUTIONのブース。
最初に使用したペンキに問題があり、昨日は遅くまで悪戦苦闘なされたとか。
帰り際に軽くお昼を食べ、部屋に戻って作品に価格ラベルを貼り、事務局から4時には開催の挨拶があるので4階に来て下さいと言われていたのですが、いざ時間になってみると早速部屋に入ってくるお客様が。え、いきなり!? と困惑している自分に話しかけてきたのは東京からいらしたギャラリーSのご主人。日本語が通じる相手で良かったーなどと思っていると、お連れのソウルの画廊の方が、早速草間彌生作品を買いたいのだが、割引はいくらしてくれるのかとのご質問が。自分はその勢いに押しに押され、相手がときの忘れもののお得意様ということもあって早々に日本の社長へ電話で助けを求める体たらくでした。結果、開始30分で草間彌生作品6点が売約済みの赤点付きになり、その直後には釜山に出発する前にお問合せいただいていた台湾のお客様からの注文が入り、更に2点の草間作品に赤点が付き、初日どころか開始一時間で8点が売約済みという怒濤の展開になりました。

部屋に入ってすぐの靴箱の上に草間彌生の「靴」

リビングスペースに入って右側に安藤忠雄と小野隆生のカタログ。

収納されたキッチンスペースに安藤忠雄の「光の教会」「SCENE I/WALL」「SCENE II/CROSS」と草間彌生の「朝が来たA」と「朝が来たD」

リビングスペースのソファに小野隆生の肖像画3点と、テーブル上に草間彌生の「夜に読む本」A、B、C、E。

机の上には菅井汲の「青い星」と「赤い太陽」。

ベッドの上には安藤忠雄のドローイング "Untitled (2)"(手前)と草間彌生の「花」と「無限の網B」(奥)

スツールに立てかけてある草間彌生の「水玉」
あっという間に時間が過ぎ、7時にオープニングパーティに出席して本日は終わりとなりました。
立食パーティ形式だったのですが、韓国ってこういった場で料理とスイーツを一緒に出すのが普通なんでしょうか? 胡麻団子などはともかく、クッキーやケーキが手巻き寿司と隣り合って盛られているのは個人的には中々珍妙に思える景色でした。

パーティ会場風景。

ごく普通に寿司などに隣り合わせでクッキーやケーキが並んでおり、食べる側も特に気にせずに同じ皿に取ってました。
さて明日はいよいよ一般公開です。
(2012年6月7日 しんざわゆう)

小野隆生「肖像図 6-2003」
2003年
テンペラ・画布
40.0×30.0cm
signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
*画廊亭主敬白
チューリッヒ、ヴォルツァーノ、テグ、ソウル、そして今回の釜山。
海外アートフェアへの参加は行きはよいよい、帰りは・・・・
異国で知り合いもなく、作品は一点も売れない、という心細い思いを何度したことでしょうか。
たとえ一冊のカタログでもその国の通貨で売れたときの嬉しさは格別のものがあります。
ちょっと説明不足でしたが、いま釜山では同時に二つのアートフェアが開催されています。
一つが大会場を使ってのArtShow Busan 2012。もう一つがときの忘れものが出展しているホテルを使ってのアートフェア「BAMA 2012」です。
「一点も売れなくてもいいから」と送り出した新澤ですが、初日を前に、早々と商談がまとまり、どんなにか勇気づけられたことでしょう。
最初のお客様となったギャラリーSさん、ありがとう。
◆本日は「光嶋裕介銅版画展―Landscape at Night」の最終日です。
ときの忘れものの展覧会では異例の来廊者と売上げですが、カタログに素晴らしい「光嶋裕介論 テクノロジカルな付喪神たち」をご執筆いただいた内田樹先生はじめご協力くださった皆様には心より御礼申し上げます。

光嶋さんは、12時~19時まで終日在廊していますので、ぜひお出かけください。
光嶋さんからのメッセージをお読みください。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
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