今からちょうど70年前の一昨日7月14日、ハインリッヒ・フォーゲラーが亡くなりました。
あれほど明治末から大正にかけて日本に大きな影響を与えた作家なのに、それを顕彰する催しがない(亭主が知らないだけかも知れませんが)のは少しさびしい。

1872年12月12日ブレーメン生まれたフォーゲラーは、デュッセルドルフ・アカデミーで学び、イラストや絵画をはじめ工芸・家具のデザインから建築の設計まで手がけた多才な作家でした。
感傷的でロマンチックな作風はヨーロッパだけではなく遠く日本にも多くのファンを獲得し、その前半生は栄光と賞賛に包まれたものでした。
しかし、20世紀の政治と芸術の相克の最も典型的な例といえるほどその後半生はドラマティックかつ悲劇的でした。
詳しい略歴はHPをご覧いただきたいのですが、1894年からヴォルプスヴェーデに定住してマッケンゼン、モーダーゾーン、ハンス・アム・エンデ、オーバーベックたち若い画家たちとともに芸術村をつくります。
自然を舞台とした物語的な世界を銅版画に刻み、その作品が1910年に日本にいち早く紹介され、文芸雑誌『白樺』に特集が組まれたことはよく知られています。
まさに青春の画家として創作版画の竹久夢二や恩地孝四郎らに多大な影響を与え、ヴォルプスヴェーデは武者小路実篤らの「新しき村」や夢二の榛名山美術研究所の構想のモデルともなりました。
しかしその後の戦争と革命の時代は彼の人生を大きく狂わせます。

ハインリッヒ・フォーゲラー
Heinrich Vogeler
「愛」
1896年
銅版
34.0×37.0cm
第一次世界大戦が勃発すると、志願兵としてドイツ軍に参加し、次第に社会主義理論に同調し、以降、戦争や社会情勢の悲惨さを象った表現主義的手法を取り入れた作風へと変化。やがてソ連にわたり、1942年7月14日不遇のうちにソ連カザフスタンで亡くなります。
前半生のフォーゲラーは良く知られています。
故・瀬木慎一先生が『現代詩手帖』に連載した<詩人たちの窓ー詩と絵画の照応>の2008年3月号「フォーゲラーとヴァルデンの転向」と、4月号「二人の亡命者の流刑死」は革命と政治に翻弄されたフォーゲラーの後半生を克明に描いて胸をうちます。

ハインリッヒ・フォーゲラー
Heinrich Vogeler
「春のメルヘン」
1912年
銅版
33.0×23.0cm

ハインリッヒ・フォーゲラー
Heinrich Vogeler
「冬のメルヘン」
1909年
銅版
33.0×23.5cm
ときの忘れものでは、2006年6月「フォーゲラーとヴォルプスヴェーデ展」、2008年4月「フォーゲラーとその時代〈ユーゲント・シュティール〉展」、2010年2月「ハインリッヒ・フォーゲラー展」と、幾度か作品を紹介してきました。
その生涯と作品については木村理恵子さんのエッセイ「フォーゲラーを巡って」をお読みいただければ幸いです。
文献資料についても亭主が知る限りのものは紹介してきましたので、のぞいてください。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
あれほど明治末から大正にかけて日本に大きな影響を与えた作家なのに、それを顕彰する催しがない(亭主が知らないだけかも知れませんが)のは少しさびしい。

1872年12月12日ブレーメン生まれたフォーゲラーは、デュッセルドルフ・アカデミーで学び、イラストや絵画をはじめ工芸・家具のデザインから建築の設計まで手がけた多才な作家でした。
感傷的でロマンチックな作風はヨーロッパだけではなく遠く日本にも多くのファンを獲得し、その前半生は栄光と賞賛に包まれたものでした。
しかし、20世紀の政治と芸術の相克の最も典型的な例といえるほどその後半生はドラマティックかつ悲劇的でした。
詳しい略歴はHPをご覧いただきたいのですが、1894年からヴォルプスヴェーデに定住してマッケンゼン、モーダーゾーン、ハンス・アム・エンデ、オーバーベックたち若い画家たちとともに芸術村をつくります。
自然を舞台とした物語的な世界を銅版画に刻み、その作品が1910年に日本にいち早く紹介され、文芸雑誌『白樺』に特集が組まれたことはよく知られています。
まさに青春の画家として創作版画の竹久夢二や恩地孝四郎らに多大な影響を与え、ヴォルプスヴェーデは武者小路実篤らの「新しき村」や夢二の榛名山美術研究所の構想のモデルともなりました。
しかしその後の戦争と革命の時代は彼の人生を大きく狂わせます。

ハインリッヒ・フォーゲラー
Heinrich Vogeler
「愛」
1896年
銅版
34.0×37.0cm
第一次世界大戦が勃発すると、志願兵としてドイツ軍に参加し、次第に社会主義理論に同調し、以降、戦争や社会情勢の悲惨さを象った表現主義的手法を取り入れた作風へと変化。やがてソ連にわたり、1942年7月14日不遇のうちにソ連カザフスタンで亡くなります。
前半生のフォーゲラーは良く知られています。
故・瀬木慎一先生が『現代詩手帖』に連載した<詩人たちの窓ー詩と絵画の照応>の2008年3月号「フォーゲラーとヴァルデンの転向」と、4月号「二人の亡命者の流刑死」は革命と政治に翻弄されたフォーゲラーの後半生を克明に描いて胸をうちます。

ハインリッヒ・フォーゲラー
Heinrich Vogeler
「春のメルヘン」
1912年
銅版
33.0×23.0cm

ハインリッヒ・フォーゲラー
Heinrich Vogeler
「冬のメルヘン」
1909年
銅版
33.0×23.5cm
ときの忘れものでは、2006年6月「フォーゲラーとヴォルプスヴェーデ展」、2008年4月「フォーゲラーとその時代〈ユーゲント・シュティール〉展」、2010年2月「ハインリッヒ・フォーゲラー展」と、幾度か作品を紹介してきました。
その生涯と作品については木村理恵子さんのエッセイ「フォーゲラーを巡って」をお読みいただければ幸いです。
文献資料についても亭主が知る限りのものは紹介してきましたので、のぞいてください。
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