先日、名人刷り師・石田了一さんが来廊され「根室へお墓参りに行った帰路、久しぶりに盛岡に寄って直利庵で蕎麦を食ってきた」と亭主が悔しがるようなことをおっしゃる。ついでに「これお土産ね」と、地元紙岩手日報を届けてくれました。
その内容のご説明は後ほどにして、盛岡ゆかりの作家は実に多い。
ときの忘れもので扱っている作家だけでも、小野隆生はじめ、松本竣介舟越保武舟越桂舟越直木戸村茂樹萬鉄五郎などなど。

そして百瀬寿。
亭主が百瀬寿の色面だけで構成された世界に初めて触れたのは1974年頃、盛岡でのことでした。
大きな画廊の壁面に並ぶ色面だけの版画作品について、画廊主の上田浩司さんは「版の無い版画だよ」と教えてくれたのですが、銅版や木版の<刀で刻む>版画こそ版画であるとの固定観念に囚われていた亭主にはよくわかりませんでした。
北海道生まれの百瀬さんが岩手大学(ガンダイ)に学んだことがきっかけで盛岡に移り住み、シルクスクリーンによる版画の制作を手掛けて、いわゆる従来の版の概念から開放された自在な色面による自身のスタイルを確立された頃でした。
その後は手漉き和紙や箔なども使い、キャンバス作品や立体作品にも意欲的に取り組んで大作を発表し続けています。
百瀬作品の魅力はなんと言ってもその色彩の美しさでしょう。
先ずは、その色彩世界をご堪能ください。
01_Square-Y_and_P_by_S_and_G百瀬寿
"Square - Y and P by S and G"
1984
53.0×53.0cm
Ed.150 サインあり

02_Square-Golds_Metallic_G_and_B百瀬寿
"Square - Golds, Metallic G and B"
1984
53.0×53.0cm
Ed.150 サインあり

03_Square_lame-P_and_B_by_Metallic_Y百瀬寿
"Square lame' - P and B by Metallic Y"
2001
42.5×42.5cm
Ed.125 サインあり

04_Square_lame-Yellow_and_Pink_around_White百瀬寿
"Square lame' - Yellow and Pink around White"
2002
42.5×42.5cm
Ed.70 サインあり

05_Square_lame-Yellow_and_Blue_around_Medium百瀬寿
"Square lame' - Yellow and Blue around Medium"
2002
42.5×42.5cm
Ed.70 サインあり

06_Square_lame-G_Y_R_V_around_White百瀬寿
"Square lame' - G, Y, R, V around White"
2009
42.5×42.5cm
Ed.90 サインあり

07_Square_lame-B_G_O_and_P百瀬寿
"Square lame' - B, G, O and P"
2001
30.5×30.5cm
Ed.100 サインあり

08_Square_lame-G_to_R百瀬寿
"Square lame' - G to R"
2001
30.5×30.5cm
Ed.100 サインあり

09_Square_lame-Y_and_B百瀬寿
"Square lame' - Y and B"
2001
30.5×30.5cm
Ed.100 サインあり

10_Square_lame-O_to_G_by_Y百瀬寿
"Square lame' - O to G by Y"
2001
30.5×30.5cm
Ed.100 サインあり

2010年9月11日~11月23日には岩手県立美術館で大規模な回顧展が開催され、亭主も社長とともにかけつけ、百瀬さんの首尾一貫した色彩世界を俯瞰することができました。
色彩同士が奏でるハーモニーが調和よくスクエアの画面いっぱいに漲り、そこに柔らかな光があてられると強烈な色を使っているにも関わらずすがすがしいまでの光の世界が現出します。
百瀬寿の名前は知らなくとも、東京ミッドタウン横浜美術館のグランドギャラリーに常設展示されている大きな作品を見た方は多いはず。

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