先日参加したホテルでのアートフェア「ART NAGOYA 2012」。
主催者の心配りが行き届いていて、今年も気持ちよく過ごすことができました。
何より会場のホテルが非常に好意的で、社長以下社員の人たちが次から次へと各部屋をまわってくる。ただ回るだけでなく、実際に作品をお買いになっていた。参加画廊にとっては心強い応援ですね。その様子は近日中に「今月のWEB展」でご紹介しますのでお楽しみに。
ウェスティンナゴヤキャッスルは、昔亭主の勤めていた毎日新聞社と縁が深く、開業当初にホテルが購入した作品の質の高さは、先日のレポートでご紹介した通り。
毎日新聞はその昔、毎日現代展や国際展を主催していて、いま思うとよだれの出るようなコレクションを持っていた(今もたぶんあると思う)。日本には数点しかないニコラ・ド・スタールもたしかあったはず。
それはともかく、初日プレビュー後のパーティには地元の愛知県美術館の村田館長、名古屋ボストン美術館の馬場館長もお見えになり、参加者たちとフランクに懇談されていました。

ちょうど開館20周年を迎えた愛知県美術館でマックス・エルンスト展を開催中で、いただいた招待券で早速観てきました。
横浜美術館からスタートした巡回展ですが、横浜には行きそびれ、10月28日からの宇都宮美術館での展示にいければと思っていたとこなので、願ってもないタイミングでした。
いや実にいい展覧会でした。
横浜美術館はじめ、京都国立近代美術館、豊田市美術館、岡崎市美術博物館、静岡県立美術館、国立西洋美術館などなど、こんなに日本にエルンストの名品があるなんて、いまさらながら驚きました。

「開館20周年記念
マックス・エルンスト―フィギュア×スケープ」展

会期 2012年7月13日(金)-9月9日(日)
会場 愛知県美術館

 シュルレアリスムを代表する画家のひとりとして知られるマックス・エルンスト(1891-1976)。油彩画からコラージュ、書籍、版画、彫刻まで、複数のジャンルを行き来しながら自由自在に技法を操りイメージを生み出す錬金術師のようなこの画家の作品世界を、「フィギュア」と「スケープ」というキーワードで読み解きます。
 フィギュアとは、画面に登場する天使、動物、植物、そして怪物のような不思議で魅力的な存在たちを指し、スケープとは、彼らフィギュアたちが活躍する場所や背景のことを指しています。画家がすべてをコントロールするのではなく、偶然の力を借りて生み出されたスケープのなかから半ば自然に生まれてくるフィギュアたちが見せてくれるのは、どんな不思議な世界なのでしょうか?
 エルンストは、自らを鳥の姿をしたキャラクターとして作品世界に繰り返し登場させて、わたしたちを誘い込みます。鳥たちの導くままに、初期から晩年までの国内外約120点の作品の森のなかを進んでゆくうちに、愉しく、そしてときにちょっと恐ろしい、そんなエルンストの新たな魅力にきっと出会うことができるはずです。(同館HPより)
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*若干ですが招待券がありますので、ご希望の方はメールにてときの忘れもの宛お申込みください。
info@tokinowasuremono.com

図録も充実していています。
以前、都内某美術館が出したカタログの年譜はひどいもので、エルンストの何度もの結婚については記載があれど、離婚のことは一切書いてない、これじゃあ重婚になってしまうではないかと憤慨したものですが、今回の図録年譜にはきちんと結婚、離婚の時期が明記されていました。

ときの忘れものでは昨年12月「デュシャン、エルンスト、マン・レイ展」を開催しましたが、コレクションから上記展覧会にも出品されていた「素早い歯」から一点ご紹介します。
エルンスト「素早い歯」
マックス・エルンスト
「素早い歯」より(7)
1969年  Color lithograph
47.2x40cm
Ed.290

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