野口琢郎展の会期もあと二日。
野口さん、毎日フェイスブックで前日の様子を発信し、こまめにお客様とやりとりしている。
野口さんのおかげで少しフェイスブックの使い方を学びました。
シェアというのも初めて試みました。

昨日と今日のフェイスブックから野口さんのメッセージを再録します。

青山、ときの忘れものでの個展も6日目が終了、土曜日までの残り三日間となりました。東京へ来た初めの頃は半袖でOKな程に暖かかったですが、一昨日辺りから秋らしく涼しくなり、東京で季節の変化を感じています。
ウィークリーマンションでの生活も慣れ、少し東京に住んでるような錯覚まであり、左腕の腱鞘炎のような痛みも知らない内に無くなって、個展会場では毎日たくさんの方とお話できて幸せです。
また、ときの忘れものの綿貫さんや、ワンピース倶楽部の石鍋さん、ご来場頂けた作家の方々と今後の僕の作家としての生き方、作品発表のスタンス、そんな事もお話でき、みなさん僕の将来を親身に思って頂いた上でのアドバイスくださり、考えるべき事はたくさんありますが、そんな風に親身になって考えて頂ける事がとても有り難く、幸せです。
作家は作品を作り、作品が売れる事で生活をしていく、でも生活の為、自己表現の為や背負うものの為にあまりに...自分を追い込み過ぎて、早く流れる時代の中で立ち止まる事無くただひたすらに作り続け、毎年のように個展を重ねると若い内に潰れてしまう事もあるといいます。でも大切なものの為、自分の為、働き盛りの今はハイペースでも頑張りたいとも、思います。
プロのアスリートの選手生命はだいたい30代ですが、美術の作家人生は長く、この世界で僕はまだやっと芽が出てきたような若手、今までは100メートル走を毎年全力疾走していたようなものですが、長く、そして常にクオリティを上げながら走り続ける為に、長いスパンでの自分のペースというものを考える時に来ているのかと思います。話が重くてすみません(^_^;)、何か重く悩んでいるようですがそうではなく、僕は元気です!
あと三日間、色々な方とお話しする中で改めて自分を感じ、これからの事を考えたいと思います。
ぜひ皆様のご来場をお待ちしております。
どうぞよろしくお願い致します。(野口琢郎


青山、ときの忘れものでの個展も7日目が終了、残りあと二日となりました。充実したこの一週間はとても長く感じたものの、何ヶ月も作品制作していた日々に比べるとあっという間で、作品を観てい頂けて、色々な方と出会い、お話できる幸せな日々が終わると思うとやはり寂しいです。
本日12日(金)の夕方6時〜7時はギャラリーにてトークショ−を行います。一応予約制となっていましたが、その時間に普通に展示を観に来て頂いた方にも聞いて頂けます。
内容は箔画の解説、京都の家業である箔屋の仕事について、作家としての今までの経験や、写真家・東松照明先生の助手時代の話、先月の韓国アートフェアで感じた事など幅広くお話する予定となっております。ぜひお立ち寄りくださいませ!
外苑夜景画像は夜の神宮球場横?辺りのイチョウ並木です。ドラマでよく出てくる場所なんですよね、東京の街中にもこんな緑が豊かで、空気の良い場所があるとは知らなかったです。とても気持ちよく散歩ができて疲れが癒されました。(野口琢郎)


---------------------------------------

皆さんが寄せてくださる感想も、いくつかフェイスブックから再録させていただきます。

Yさん(女性)
箔画野口琢郎さんの個展に来ました。(中略)
金箔銀箔を時代の流れに乗り、五代目として受け継がれた技と感性、それを絶やさないという気持ち、そこに到るまでの過程、窺い知れない覚悟がおありだったと思いました。

Nさん(女性)
画像で見るより 生はもっと迫力があって、もっと美しかったです。これからの活躍が本当に楽しみです。

Kさん(女性)
漆と箔による京都の箔画作家、野口琢郎さんの個展へ。漆に重ねられた箔がとても美しく奥行きも深く、素晴らしい作風でした。想像を越える素敵な箔画。
作品には、木、漆、金箔、銀箔、プラチナ箔、石炭、樹脂、透明アクリル絵具が重ねて使われ、有彩色は銀箔の化学変化で表現されてます。
※実物でしかこの良さが伝わらないので、あえて作品写真を載せてません。青山のギャラリーへ訪れてみてください!

Mさん(先日のKIAFで一足先に新作をご覧になった男性)
ときの忘れものにまた一人すばらしい作家が加わったと感じています。一時帰国が今回の個展に間に合わず野口さんとお話しできないのがとても残念です。よろしくお伝えください。

Wさん(男性)
いいな~!路地裏の、それも奥まった所の会場で、一人一人が、それぞれの思いを抱きながら、野口君の作品と向き合い語り合う時空。人は、そんな、つかの間の為にいきているのかも?

Yさん(アートソムリエ、男性)
外苑前の「ときの忘れもの」まで歩いて野口琢郎展を見に行く。この画廊のオーナーの綿貫さんは昔から知っているのだが、青山とは思えないたたずまいで、京都の野口の個展をなぜここでやるのか不思議だった。
--------------------------

アートソムリエとして有名なYさんが「不思議だ」とおっしゃる通り、今回の野口さんの展覧会は意外感が強かったようです。

皆さんによく聞かれる、「どうやって作家を見つけてくるのですか」。
「ただ待っているだけです」とお答えする。
亭主は出不精の上に、自分の「眼」に自信がない。よく皆さんは公募展やゲイサイなどで新しい才能を見つけてくるらしいのですが、そんな芸当できっこない。
昔から「友人依存路線」でして、要はいもずる式才能発掘方式です。
問題は「才能ある友人」をどうやって発見するかですが、答えは簡単、単純に友人の才能を信じればいいんですね。信じて裏切られてもそりゃ自分の責任だし、失敗しても直ぐに忘れてしまうという特技だけは亭主は持っている(単に忘れっぽいだけですが)。

野口さんは、長年の友人、木下哲夫さんの紹介です。
木下さんは愛妻家で「うちの奥さんに野口さんの絵を見せてあげたいのだけれど、東京でなかなか展示の機会がない。だからワタヌキさんの画廊で展覧会してくれませんか」という依頼でした。
木下哲夫さんのフェイスブックから再録させていただきます。

 友人の野口琢郎くんがひさしぶりに東京で個展を開きます。
 琢郎くんとは2000年の春、はじめて花粉症を発症した年に長崎で知り合いました。1990年代の初めに房総半島山中の大多喜という村で幼い兄妹とのんびり暮らしていたとき、パンを買いに同じ食料品店に通ったのが縁でその頃海辺の一宮に住んでいた写真家の東松照明さんと親しくなりました。何度かお宅にお邪魔して写真を見たり、話を伺ううちに、ドキュメンタリー・ビデオを作ろうと思いついたのですが、その矢先、東松さんが長崎に引っ越したため、生れて初めて取材というものをしてみようと新居を訪ね、ちょうどそのとき助手をしていた琢郎くんの部屋に1週間ほど泊めてもらったのが付き合いの始まりです。
 琢郎くんはその後、助手をきりあげて京都西陣の実家にもどり、家業の箔屋の修業を始めたようでしたが、次に会ったときには箔と漆の「箔画」を作っていて、それがとても綺麗なのに感心しました。
今回の個展は、そうした作品を集めたものです。(木下哲夫)

--------------------------
因みに木下さんが30年前に紹介してくれた最初のアーティストがジョナス・メカスさん、どうです凄いでしょう。

ワンピース倶楽部代表の石鍋博子さんには「野口琢郎展に寄せて 文句なく世界一」というエッセイを寄稿していただきました。
石鍋博子20121008
石鍋博子さん

Azure野口琢郎
「Azure」
2008年
箔画(木パネルに漆、金・銀・プラチナ箔、石炭、樹脂)
65.2x140.0cm
サインあり

noguchi_02_mukouhe野口琢郎
「向こうへ」
2010年
箔画(木パネルに漆、金・銀・プラチナ箔、石炭)
130.0x227.0cm
サインあり

noguchi_04_koganenokaze野口琢郎
「黄金の風(コガネノカゼ)」
2012年
箔画(木パネルに漆、金箔、石炭)
50.0x65.2cm
サインあり

Send Light600野口琢郎
「Send Light」
2012年
箔画(木パネルに漆、土、金・銀・プラチナ箔、石炭、樹脂、透明アクリル絵具)
45.0x45.0cm
サインあり


こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから

◆ときの忘れものは、2012年10月5日[金]―10月13日[土]野口琢郎展を開催しています。
226_NOGUCHI
家業である京都西陣の箔屋に代々伝わる伝統的な引箔制作の技法を用いながら、漆と箔を駆使した新たな美術表現に取り組む野口琢郎
様々な風景の断片をコラージュするように制作する「Landscape」シリーズや、海と空、夜明けや星空などの風景を題材に、希望の光を感じられる「美しさ」を作品に表現しています。
本展では、新作を含む13点をご覧いただきます。
野口さんは京都から上京し、毎日画廊に出ていますので、ぜひ皆さん、お出かけください。

出品リストはホームページに掲載しています。