数ヶ月前のこと、亭主のブログをお読みになったとかで見知らぬ美術館の学芸員が来廊された。
いただいた名刺には「公益財団法人 美術工芸振興佐藤基金 石洞美術館」とある。
不勉強で、そういう美術館があるとはまったく存じ上げませんでした。

きけば、亡くなった創設者の佐藤千壽さん(1918~2008)のコレクションの中に駒井哲郎の作品が50点ほど見つかり、この秋に展覧会を開催したい・・・ということでした。
これもまた不勉強で、駒井先生のコレクターに佐藤千壽さんという方がおられたのも知りませんでした。
所蔵作品リストを拝見して驚きました。
明らかに駒井先生と親しい方でなければ集められないような作品が、それこそ粒よりの名品があるではありませんか。
そして何より驚いたのは有名な作品の彩色作品があり、その作品に非常に重要な「ある単語」が記入されていたことです。
亭主が駒井作品を扱いだしたのが1974年、今日までおそらく1000点以上の駒井作品に会い、触ってきましたが(画商にとって触ることが重要)、そのような「単語」が記載された作品には出会ったことはない。
チラシに<56件のコレクションを初公開。ここでしか会えないカラーの[星座]>とありますが、文字通り佐藤コレクションにしかない佳品です。
招待券を若干いただきました。ご希望の方はメールにてお申し込みください。
20121103駒井哲郎銅版画展 表20121103駒井哲郎銅版画展 裏

駒井哲郎銅版画展
会期=2012年11月3日(土)~12月16日(日)
   午前10:00-午後5:00
  (但し入館は午後4:30まで)
休館日=毎週月曜日(祝日、振替休日にあたる場合は翌日)
入館料=一般500円・学生300円
※ 小学生以下(要引率者)・65歳以上の方・障害者手帳を
  お持ちの方は無料。
主催=公益財団法人美術工藝振興佐藤基金
お問い合わせ 03-3888-7520、03-3888-7512(佐藤基金直通)
会場=石洞美術館

佐藤千壽コレクション 駒井哲郎銅版画展
 銅版画家・駒井哲郎(1920~1976)は、戦後、日本の現代版画に新たな地平を切り開いた芸術家です。闇に浮かぶ夢の形、真空を漂うような魚、融合する鳥たち。慕わしいようでいて、どこか近づきがたい厳しさも感じさせる世界は、紙に密着したインクの多様なマチエールによって命が吹き込まれます。
 駒井哲郎は、十代半ばにして銅版画の制作を始め、その後、東京美術学校(現・東京藝術大学)に学びました。戦後に本格的な活動を開始し、1951年の第1回サンパウロ・ビエンナーレでの受賞によって世界的な評価を受けます。フランス留学を経て、56年の生涯を終えるまで、度々の苦難を乗り越えながら真摯に制作を続けました。
 当館の所蔵する駒井哲郎の作品は、(公財)美術工芸振興佐藤基金の初代理事長・佐藤千壽(1918~2008)の収集したコレクションです。作品数は少ないながらも、代表作を含む、初期から晩年に至るまでの作品が所蔵されていることが特徴です。本展では、駒井哲郎との親交のなかで佐藤千壽が収集した50点あまりの作品を初めて公開致します。また、駒井哲郎の装丁による佐藤千壽の著書など、その交流を示す作品も展示致します。(同館HPより引用)

●主な展示作品
・夢の始り(1949年)
・夢の終り(1951年)
・佛国風景(1954年)
・蝕果実(1960年)
・庭の小蟲(1961年)
・小鳥たち(1962年)
・洪水(1965年)
・橋(1966年)
・海の中の静物(1968年)
・泉(1971年)
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冒頭に記した「ある単語」ですが、それを見た亭主は興奮のあまり、同館学芸員に「この単語についてぜひカタログに書いてください。博士号ものですよ。」と言った手前、ここでネタバラシするわけには行きません。
ぜひ会場で実物を見て、さらにはカタログをお読みください。

ついでと言ってはなんですが、ときの忘れものコレクションから「平原」をご紹介します。
駒井「平原」
駒井哲郎
「平原」
1971年 銅版
21.7×20.6cm
Ed.30(5/30) signed
*レゾネNo.286

毎度のことながら、レゾネには<Ed.35>と記載されています。
30部と35部、さてどちらがファーストエディションなのか。

駒井哲郎はほんとうに奥が深い・・・・

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