ベン・ニコルソンの銅版画「柱と木」のご紹介です。

nicholson_03_column_and_treeベン・ニコルソン
「柱と木」
1967年
エッチング
29.5×20.7cm
Ed.50 サインあり

縦長の画面に簡潔な線で描かれているモチーフ。
右側の木はともかく、真ん中の大きなモチーフは、タイトルを見て柱であることに気がつきます。
背景はなく、色や細部よりもそのものが持つ形に興味があったように思えます。
白い画面に引かれた黒い線は、ニコルソンの代表作であるホワイトレリーフで表現された陰影のリズムにも通じるものがあるように感じられます。

ベン・ニコルソンは1894年イギリスに生まれ、ロンドンのスレード美術学校で学びます。画家である父親ウィリアムの影響から重厚なリアリズム作品を出発点とし、1920年代には静物画や風景画をおもに描いていました。
やがてパリでジョルジュ・ブラックらに出会い、モンドリアンやドローネーらが名を連ねていた「アブストラクション・クレアション」(抽象=創造)に参加。これを契機にヘンリー・ムーアらと共に、抽象芸術グループ「ユニット・ワン」を結成し、イギリスに本格的な抽象美術の土壌を築きました。
1930年代末から戦後にかけてはセント・アイヴスで抽象化の進んだ静物画や風景画を描き、1950年代後半からはスイスで暮らし、生涯精力的に創作活動を続けました。

リアリズムから出発し、具象と抽象の間を揺れ動きながらその繊細な接点を探求し続けたニコルソンの作品は、シンプルでありながらも観る者の感性にリズムを響かせてくれます。

ベン・ニコルソン Ben NICHOLSON(1894-1982)
1894年、イギリスのバッキンガムシャー生まれ。両親が画家であった。 ロンドンのスレード美術学校で学んだあと、ヨーロッパ諸国やアメリカ各地を旅し、第一次大戦後もロンドンとパリを往復し、アルプ、ミロ、モンドリアンと出会う。 1933年からグループ「ユニット・ワン」に参加していたが、モンドリアンに出会うことで、抽象的構成主義への傾向が確固なものとなる。
1937年にはナウム・ガポらとともに「サークル」を出版し、イギリスに構成主義美術を広げた。抽象作品については、白い彫刻レリーフなど、幾何学的抽象作品を制作した。単なる絵画にとどまらず、彫刻的な要素をたぶんに含む作品が多く、しかも、白や淡い色のものなど、色彩が抑えられている作品が多い。1982年、歿。

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