本日もときの忘れものは営業しています。
現在開催中の「具体 Gコレクションより」から上前智祐作品をご紹介します。
NYから帰国したSさんによると、3月初旬に開催されたアメリカで最も伝統あるアーモリーショーでは、個展形式で発表された上前智祐作品がたいへんな評判で、ゼロが七つも並ぶ高額にもかかわらずぼんぼん売れていたとのこと。
ヴェルニサージュでほとんど売れてしまい、一般公開の初日には架け替えしたほどだそうですから凄い人気ですね。
つい先日まで、上前先生ほど「具体」メンバーの中では、地味で目立たない作家はいないと思われてきました。
白髪一雄や元永定正、嶋本昭三や村上三郎などの派手なアクションを使った作品とは全く異なった表現は「具体」の中でも異色です。
細かい点描を気が遠くなるような時間をかけて集積させた油彩画、マッチ棒やおがくずを塗料で塗り固めた厚いマチエールによる作品、布と糸を素材に丹念に運針を重ねた「縫い」の作品など。
綿密な手作業の積み重ねによって物質と平面の関係を問い、一貫して緻密な手作業による空間表現にこだわり続けてきたのが上前先生でした。
-------------------------------
「えのぐを点描きにして何度も上にかさねていく。赤いえのぐの点の上に黄色を重ねると下の色は消えてしまって、ふつうに考えれば無駄のようであるが、彼はその上に何度も何度も点描を重ねてうった。下の色は見えなくなっているが、しかし要領よくやっつけたものとは全くちがう力でうったえてくる」(嶋本昭三「ウァハッハ具体・3―上前智祐」。『未来』1984年3月号)。
『〈現代美術作家展 第7回〉集合と稠密のコスモロジー 上前智祐(うえまえ・ちゆう)展』図録(大阪府文化振興財団)の木村重信論文より再引用
上前智祐
「作品」
2001年
キャンバス、油彩
40.9x31.8cm (F6)
ペンサインあり
上前智祐
「作品」
1972年
板、塗料
109.7x51.0×5.3cm
ペンサインあり
同作品の正面
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
■上前智祐 Chiyu UEMAE(1920-)
京都に生まれる。1937年独学で南画を学び、のちに洋画に転向。1947年黒田重太郎に師事する。吉原治良の作品に感銘を受け、1954年具体美術協会結成に参加。1972年の解散まで参加。1957年第7回モダンアート協会展で新人賞を受賞し、1962年にモダンアート協会会員となる。1971年退会。現在も意欲的に創作活動に励む。
■Chiyu UEMAE(1920-)
Born in Kyoto. Taught himself Nanga (the Southern School of Chinese painting) in 1937, and later changed to Western painting. Studied under Jutaro KURODA in 1947. Impressed by Jiro YOSHIHARA’s work, helped form Gutai in 1954. Remained a member until its dissolution in 1972. Received the newcomer’s prize at the 7th Exhibition of Modern Art Association of Japan in 1957, and became a member in 1962 (Withdrew in 1971). Continues to act enthusiastically in a field of creative activity.
*お詫び
本日25日は小林美香さんのエッセイ「写真のバックストーリー」の更新日ですが、小林さんの都合で休載です。
◆ときの忘れものは2013年3月15日[金]―3月30日[土]「具体 Gコレクションより」展を開催しています(※会期中無休)。

企画・監修=石山修武
出品:白髪一雄、吉原治良、松谷武判、上前智祐、堀尾貞治、高﨑元尚、鷲見康夫、
田中敦子、金山明、山崎つる子、森内敬子
『具体 Gコレクションより』展図録
2013年 16ページ 25.6x18.1cm
執筆:石山修武 図版15点
略歴:白髪一雄、吉原治良、松谷武判、上前智祐、堀尾貞治、高﨑元尚、鷲見康夫
価格:800円(税込)
※送料別途250円
※お申し込みはコチラから。
現在開催中の「具体 Gコレクションより」から上前智祐作品をご紹介します。
NYから帰国したSさんによると、3月初旬に開催されたアメリカで最も伝統あるアーモリーショーでは、個展形式で発表された上前智祐作品がたいへんな評判で、ゼロが七つも並ぶ高額にもかかわらずぼんぼん売れていたとのこと。
ヴェルニサージュでほとんど売れてしまい、一般公開の初日には架け替えしたほどだそうですから凄い人気ですね。
つい先日まで、上前先生ほど「具体」メンバーの中では、地味で目立たない作家はいないと思われてきました。
白髪一雄や元永定正、嶋本昭三や村上三郎などの派手なアクションを使った作品とは全く異なった表現は「具体」の中でも異色です。
細かい点描を気が遠くなるような時間をかけて集積させた油彩画、マッチ棒やおがくずを塗料で塗り固めた厚いマチエールによる作品、布と糸を素材に丹念に運針を重ねた「縫い」の作品など。
綿密な手作業の積み重ねによって物質と平面の関係を問い、一貫して緻密な手作業による空間表現にこだわり続けてきたのが上前先生でした。
-------------------------------
「えのぐを点描きにして何度も上にかさねていく。赤いえのぐの点の上に黄色を重ねると下の色は消えてしまって、ふつうに考えれば無駄のようであるが、彼はその上に何度も何度も点描を重ねてうった。下の色は見えなくなっているが、しかし要領よくやっつけたものとは全くちがう力でうったえてくる」(嶋本昭三「ウァハッハ具体・3―上前智祐」。『未来』1984年3月号)。
『〈現代美術作家展 第7回〉集合と稠密のコスモロジー 上前智祐(うえまえ・ちゆう)展』図録(大阪府文化振興財団)の木村重信論文より再引用

「作品」
2001年
キャンバス、油彩
40.9x31.8cm (F6)
ペンサインあり

「作品」
1972年
板、塗料
109.7x51.0×5.3cm
ペンサインあり

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
■上前智祐 Chiyu UEMAE(1920-)
京都に生まれる。1937年独学で南画を学び、のちに洋画に転向。1947年黒田重太郎に師事する。吉原治良の作品に感銘を受け、1954年具体美術協会結成に参加。1972年の解散まで参加。1957年第7回モダンアート協会展で新人賞を受賞し、1962年にモダンアート協会会員となる。1971年退会。現在も意欲的に創作活動に励む。
■Chiyu UEMAE(1920-)
Born in Kyoto. Taught himself Nanga (the Southern School of Chinese painting) in 1937, and later changed to Western painting. Studied under Jutaro KURODA in 1947. Impressed by Jiro YOSHIHARA’s work, helped form Gutai in 1954. Remained a member until its dissolution in 1972. Received the newcomer’s prize at the 7th Exhibition of Modern Art Association of Japan in 1957, and became a member in 1962 (Withdrew in 1971). Continues to act enthusiastically in a field of creative activity.
*お詫び
本日25日は小林美香さんのエッセイ「写真のバックストーリー」の更新日ですが、小林さんの都合で休載です。
◆ときの忘れものは2013年3月15日[金]―3月30日[土]「具体 Gコレクションより」展を開催しています(※会期中無休)。

企画・監修=石山修武
出品:白髪一雄、吉原治良、松谷武判、上前智祐、堀尾貞治、高﨑元尚、鷲見康夫、
田中敦子、金山明、山崎つる子、森内敬子

2013年 16ページ 25.6x18.1cm
執筆:石山修武 図版15点
略歴:白髪一雄、吉原治良、松谷武判、上前智祐、堀尾貞治、高﨑元尚、鷲見康夫
価格:800円(税込)
※送料別途250円
※お申し込みはコチラから。
コメント