春の温泉行

露天風呂愛好会というのは、今を去ること30数年前、会長の石田さんと幹事長の亭主が同時に男やもめの時代がありまして、毎週のように夜中に温泉に行っていたのが始まりです。
一人さびしく夕食をとったあと、亭主は居残り仕事をしている石田さんに電話をかける。

亭主「今晩どうかしら」
会長「いいですよ、12時ころ迎えに行きます」
亭主「どこがいいかねえ」
会長「那須の●●旅館の露天風呂はどうですか」
亭主「いいねえ、それで行こう」

てな簡単な打合せがあり、渋谷の亭主の仕事場に石田さんが車で迎えに来てくれる。
北は那須あたり、南は伊豆、石田さんの車で飛ばして数時間、3時頃に現地到着。
カンテラを頭に、スコップ片手で河原の露天風呂を探して行く。
有名旅館の広大な庭の露天風呂は夜中は門番もいないので、ちょっいと失礼(家宅侵入罪ですな)。
湯加減をみて、ぽチャンと温泉に浸かる。
見上げれば満天の星。
入っているのはせいぜい15~20分。
身支度して帰路につく、朝が白む頃、渋谷の事務所に帰還。
しばらく仮眠するとスタッフたちが出勤してくる。

こういう金のまったくかからない温泉行でありました。
ところがしばらくすると、会長の様子がいやにつれなくなる。
夜中電話しても「今日はちょっと・・・」とか何とか言って温泉に連れてってくれない。
実は、新たな相棒が出現したんですな。
通称「あんこさん」、石田夫人であります。
そりゃ、亭主より奥さんの方がいいに決まっている。
悔しくて亭主もあわてて結婚し、遂に夫婦二組の「露天風呂愛好会」結成となったのであります。
全盛期(?)には、春夏秋冬、全国の温泉を巡っておりましたが、近年はなかなか時間があわず、例会も全員がそろうことがめったにない。

先日、久しぶりに正会員5名そろって温泉を楽しんでまいりました。
20130331湯河原温泉1
小田急ロマンスカーで小田原へ。

20130331湯河原温泉2上野屋
300年の歴史を持つ湯河原の老舗、「上野屋」が今日の宿。

20130331湯河原温泉3プレート
建物は昭和5年築の木造5階建ての本館と大正12年築の別館、昭和11年頃築の玄関棟の3棟。
いずれも2010年、国の有形文化財として登録されました

20130331湯河原温泉4
さて一風呂あびますか。

敷地内に二本の源泉があり、無色透明アルカリ性の温泉は熱すぎず亭主にはちょうどいい加減。

20130331湯河原温泉5夕食
食事は豪華でなく、シンプルで旬の素材がとてもおいしかった。愛好会の歴史でも笹倉温泉に次ぐくらいの高得点。

20130401湯河原温泉6
上野屋玄関前で

20130401熱海MOA美術館1
実は全員、熱海のMOA美術館は初めて。

20130401熱海MOA美術館2
国宝、尾形光琳「紅白梅図屏風」は2月のみ公開なので見られませんでしたが、「湯女図」と初期風俗画展が開催中で堪能してきました。

20130401熱海MOA美術館3黄金の茶室
能舞台もあります。

20130401熱海MOA美術館4
天正14年、京都御所に組立式の黄金の座敷を運び、自ら茶を点じて正親町天皇に献じたと言われている秀吉の黄金の茶室が再現されているのですが、そのパネルを読んだら監修:堀口捨己、設計:早川正夫とあるのでちょっといい気分。わがときの忘れものの建物は木造なのですが、設計したのは早川事務所にいらした太田民雄さんです。つまり、堀口捨己の孫弟子がつくったのがときの忘れものの入っているAoyamacubeという次第であります。因みに太田さん、生まれも育ちも青山。いま自転車に凝ってます

20130401熱海MOA美術館
熱海の地ビールとコーヒーでひと休み。