恩地孝四郎展ギャラリートーク~桑原規子さん

恩地孝四郎 Koshiro ONCHI
《水浴》
1929年 木版
21.4x14.8cm
先週末の土曜日6月29日、聖徳大学文学部准教授であり、恩地孝四郎研究の第一線で活躍されている桑原規子さんを講師に迎えてギャラリートークを開催しました。
桑原さんが昨年上梓された大著『恩地孝四郎研究 版画のモダニズム』の内容に沿って約1時間に亘るトークを展開していただきました。
恩地孝四郎の「出版創作」をめぐって
1. 恩地の多彩な活動
2. 「出版創作」
『月映』(洛陽堂 1914~15年)詩・版画
『感情』(感情詩社 1916~19年)「恩地孝四郎抒情画集」
『詩と版画』『風』『港』『HANGA』(1920年代)
『海の童話』(版画荘 1934年)「詩を伴ふ版画連作」
『飛行官能』(版画荘 1934年)「詩・写真・版画による綜合作」
『季節標』(アオイ書房 1935年)詩・随想・版画
『博物志』(玄光社 1942年)随筆・写真
『蟲・魚・介』(アオイ書房 1943年)詩・版画
「海の表情」(未完)詩・版画
3. 『飛行官能』の構成について
「詩・写真・版画による綜合作」
流布版と組替え版
4. 戦後の制作/大型版画とマルチブロック
二種の抒情
・抒情→リリック
・心象→ポエム(海、自然)、イマージュ(花、母性、人体)
おわりに
アメリカでの遺作展
・ボストン美術館 1956年
・サンフランシスコ美術館 1964年
~~~~
『恩地孝四郎研究 版画のモダニズム』目次
序章
恩地の史的位置
第1章 画家への道 1891~1913年
生い立ち/絵画と詩歌へのめざめ/「夢二学校」とその仲間たち/新しい嵐の渦巻いていた時代/創作版画の台頭
第2章 『月映』と<抒情>シリーズの誕生 1914~1915年
「微笑派の三人」の出会いから『月映』発行まで/私輯『月映』と公刊『月映』/田中恭吉の「抒情的象徴画」/藤森静雄の「人生的象徴画」/<抒情>シリーズ抽象の生成/1910年代の「抒情画」論
第3章 「抒情」の周辺 1914~1919年
竹久夢二からの脱却/武者小路実篤への傾倒/世紀末芸術の受容:ムンク、ルドン、ビアズレー/Der Sturm 木版画展覧会とカンディンスキー/詩歌と版画と音楽と:三木露風、山田耕筰、北原白秋/詩集『月に吠える』から『感情』へ:萩原朔太郎、室生犀星
第4章 油彩画家として 1914~1924年
白樺派的芸術観とセザンヌへの傾倒/二科会の「新傾向洋画家」として:有島生馬との関係/初個展(兜屋画堂)から円鳥会参加へ/版画と油絵の問題
第5章 <人体考察>シリーズと「考察画」 1924~1929年
「抒情画」から「考察画」へ:関東大震災を契機として/<人体考察>シリーズの特徴/新しい「人体」の創造をめざして:大正期新興美術運動との関わり/「立体派・未来派・構成派」
第6章 帝国美術院展出品作をめぐって 1927~1930年
帝展の版画受理と「創作版画」の定義/帝展入選から落選まで/抽象と具象/創作版画運動の活性化
第7章 <楽曲による抒情>シリーズ:「抒情」の復活 1930~1936年
創作版画の海外進出:「日本現代版画とその源流展」/音楽との接点:諸井三郎、山田耕筰、石川義一/音楽の大衆化時代/<楽曲による抒情>シリーズとその特徴/恩地の「綜合芸術論」と「抽象絵画論」/1930年代前半の日本の抽象絵画
第8章 二つの「出版創作」―『海の童話』と『飛行官能』 1934年
平井博と版画荘/『海の童話』:「詩を伴う版画連作」/『飛行官能』:「詩・版画・写真の綜合創作」/木版機械印刷と版画荘の版画本
第9章 <ポエム>シリーズの誕生 1935~1945年
新興美術協会と「いろいろの自分」/志茂太郎とアオイ書房/「心象画」としての<ポエム>/写真による自然形態美の再発見/1930年代後半の日本の前衛絵画
第10章 戦時期の具象版画をめぐって 1938~1945年
「心象画」としての肖像/安井曽太郎の肖像画との関係/モダニズムの肖像写真との関わり/「創作版画」の危機/戦時下の具象版画:従軍と日本版画奉公会
第11章 戦後の抽象 1945~1955年
一木会と占領期の版画/戦後の抽象版画:<リリック>と<ポエム>を中心に/造形と版への挑戦/国際化のなかの版画:創作版画から現代美術へ
終章 恩地孝四郎没後の評価をめぐって
ときの忘れもの亭主からご挨拶。
亭主は恩地孝四郎と同じ7月2日生まれです。
今回も沢山の方にご参加いただきました。
桑原規子さん
プロジェクターで作品図版や恩地による詩なども投影


恩地孝四郎は版画家であり装幀家でもあり、また詩や写真、舞台美術、作曲も手がけるなど、多岐に亘る分野でその才能を発揮していました
桑原さんによるトーク終了後、自らの恩地コレクションについてお話される「アートフル勝山の会」主宰の荒井由泰さん
荒井さんのコレクションである恩地孝四郎自刷り作品や恩地による装幀本

トーク終了後の懇親会




展覧会にあわせ用意した資料の数々も好評で、皆さん熱心にご覧になっていました
桑原規子さん、ご参加いただいた皆さん、どうもありがとうございました
◆ときの忘れものは6月25日(火)~7月6日(土)「恩地孝四郎展」を開催しています(*会期中無休)。
創作版画運動の指導者、日本の抽象絵画のパイオニアであった恩地孝四郎の木版画、素描、水彩など約20点をご覧いただきます。

恩地孝四郎 Koshiro ONCHI
《水浴》
1929年 木版
21.4x14.8cm
先週末の土曜日6月29日、聖徳大学文学部准教授であり、恩地孝四郎研究の第一線で活躍されている桑原規子さんを講師に迎えてギャラリートークを開催しました。
桑原さんが昨年上梓された大著『恩地孝四郎研究 版画のモダニズム』の内容に沿って約1時間に亘るトークを展開していただきました。
恩地孝四郎の「出版創作」をめぐって
1. 恩地の多彩な活動
2. 「出版創作」
『月映』(洛陽堂 1914~15年)詩・版画
『感情』(感情詩社 1916~19年)「恩地孝四郎抒情画集」
『詩と版画』『風』『港』『HANGA』(1920年代)
『海の童話』(版画荘 1934年)「詩を伴ふ版画連作」
『飛行官能』(版画荘 1934年)「詩・写真・版画による綜合作」
『季節標』(アオイ書房 1935年)詩・随想・版画
『博物志』(玄光社 1942年)随筆・写真
『蟲・魚・介』(アオイ書房 1943年)詩・版画
「海の表情」(未完)詩・版画
3. 『飛行官能』の構成について
「詩・写真・版画による綜合作」
流布版と組替え版
4. 戦後の制作/大型版画とマルチブロック
二種の抒情
・抒情→リリック
・心象→ポエム(海、自然)、イマージュ(花、母性、人体)
おわりに
アメリカでの遺作展
・ボストン美術館 1956年
・サンフランシスコ美術館 1964年
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『恩地孝四郎研究 版画のモダニズム』目次
序章
恩地の史的位置
第1章 画家への道 1891~1913年
生い立ち/絵画と詩歌へのめざめ/「夢二学校」とその仲間たち/新しい嵐の渦巻いていた時代/創作版画の台頭
第2章 『月映』と<抒情>シリーズの誕生 1914~1915年
「微笑派の三人」の出会いから『月映』発行まで/私輯『月映』と公刊『月映』/田中恭吉の「抒情的象徴画」/藤森静雄の「人生的象徴画」/<抒情>シリーズ抽象の生成/1910年代の「抒情画」論
第3章 「抒情」の周辺 1914~1919年
竹久夢二からの脱却/武者小路実篤への傾倒/世紀末芸術の受容:ムンク、ルドン、ビアズレー/Der Sturm 木版画展覧会とカンディンスキー/詩歌と版画と音楽と:三木露風、山田耕筰、北原白秋/詩集『月に吠える』から『感情』へ:萩原朔太郎、室生犀星
第4章 油彩画家として 1914~1924年
白樺派的芸術観とセザンヌへの傾倒/二科会の「新傾向洋画家」として:有島生馬との関係/初個展(兜屋画堂)から円鳥会参加へ/版画と油絵の問題
第5章 <人体考察>シリーズと「考察画」 1924~1929年
「抒情画」から「考察画」へ:関東大震災を契機として/<人体考察>シリーズの特徴/新しい「人体」の創造をめざして:大正期新興美術運動との関わり/「立体派・未来派・構成派」
第6章 帝国美術院展出品作をめぐって 1927~1930年
帝展の版画受理と「創作版画」の定義/帝展入選から落選まで/抽象と具象/創作版画運動の活性化
第7章 <楽曲による抒情>シリーズ:「抒情」の復活 1930~1936年
創作版画の海外進出:「日本現代版画とその源流展」/音楽との接点:諸井三郎、山田耕筰、石川義一/音楽の大衆化時代/<楽曲による抒情>シリーズとその特徴/恩地の「綜合芸術論」と「抽象絵画論」/1930年代前半の日本の抽象絵画
第8章 二つの「出版創作」―『海の童話』と『飛行官能』 1934年
平井博と版画荘/『海の童話』:「詩を伴う版画連作」/『飛行官能』:「詩・版画・写真の綜合創作」/木版機械印刷と版画荘の版画本
第9章 <ポエム>シリーズの誕生 1935~1945年
新興美術協会と「いろいろの自分」/志茂太郎とアオイ書房/「心象画」としての<ポエム>/写真による自然形態美の再発見/1930年代後半の日本の前衛絵画
第10章 戦時期の具象版画をめぐって 1938~1945年
「心象画」としての肖像/安井曽太郎の肖像画との関係/モダニズムの肖像写真との関わり/「創作版画」の危機/戦時下の具象版画:従軍と日本版画奉公会
第11章 戦後の抽象 1945~1955年
一木会と占領期の版画/戦後の抽象版画:<リリック>と<ポエム>を中心に/造形と版への挑戦/国際化のなかの版画:創作版画から現代美術へ
終章 恩地孝四郎没後の評価をめぐって

亭主は恩地孝四郎と同じ7月2日生まれです。









トーク終了後の懇親会






◆ときの忘れものは6月25日(火)~7月6日(土)「恩地孝四郎展」を開催しています(*会期中無休)。

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