スタッフSのアートフェアレポート・ART OSAKA 2013 第2回

ART OSAKA 2013、現地より第二信を、スタッフSこと新澤がお送りします。
初日は招待客のみとはいえ来客数も多く、ときの忘れものにはワンピース倶楽部代表の石鍋博子さんが出展作家の野口琢郎さんの作品を柄に使った浴衣でご来場くださるなど、プライベートビューイング後の懇親会も含めて盛り上がりました。
作家の野口琢郎さんとワンピース倶楽部代表の石鍋博子さん
プライベートビューイング後の懇親会での風景。
一般公開初日の一コマ。
ジョナス・メカスの翻訳などでときの忘れものではお馴染みの木下哲夫さんと作家の野口琢郎さん。
木下さんはときの忘れものに野口琢郎さんをご紹介くださった方でもあります。
今回は前日予告しました通り、新澤の独断と偏見によるART OSAKA 2013出展作品のご紹介です。
今回から撮影の規約がより厳しくなり、残念ながら自分の気に入った作品もいくつか撮影を許可していただけませんでしたが、それでもかなりの数の作品が目に止まりました。
以下敬称略、順不同にて出展画廊、作家名、作品名でご紹介させていただきます。
Gallery 工房 親
Yu Sora
"Kitchen"シリーズ
画面に塗料やインクではなく、ミシンで糸を縫い込んでイメージを作り上げている作品群です。縫い込みによって生じる微妙な陰影が独特な画像を生み出しています。

Gallery OUT of PLACE
内山聡
"It's growing up"
木版にコンパス等を色付けした作品かと思いきや、実際は芯材にカラーテープを巻き続けたという一品。こちらは小サイズですが、隣にはダブルベッドを丸々占拠している同様の作品が。
内山聡
"soaked painting"
こちらはカンバスを塗料のバケツに浸し、色を変える毎に漬ける高さを低くしていった結果、塗料の層によりカンバスが四角から台形に変化してしまった作品です。
隠崎麗奈
手前:《瓶》 奥:《扉》
こちらは二つある展示室の小さい方ですが、大方の画廊が部屋のレイアウトをそのまま使っているところを、ベッドを壁に立て掛けたり、つっかえ棒を床から天井に二本立てて間に白い布を張って裏から光をあてて照明を追加したり、床も白い敷物を敷いたりと、劇的ビフォーアフターばりに印象を変化させており、思わず入ってみようという気になる作りになっていました。
乙画廊
MOT 8
"Good Luck"
MOT 8
"MOt 8 Style"
海外でストリートアーティストとして活動されているMOT 8さん。コミカルな中にもどこか危うい気配があります。イメージ自体も強烈ですが、半立体であることで更に存在感が増しています。
山路智生
"h05 Fast Mercy"シリーズ
去年のART KYOTO 2012で作品を拝見して以来、新澤が新作を楽しみにしている山路智生さんの作品です。日本のSFアニメを見る人ならば、乗り物がロボットに変形する、というのはお馴染みのモチーフですが、それを菩薩様で、しかも完全変形するものを作ってしまう所がスゴいです。
上の人形が飛行機に変形した状態。いつか変形だけではなく合体する作品も作ってくれると勝手に期待させていただいています。
トヨクラタケル
《まだ少しだけ残っている》(Slight memory)
カラフルながらも遠景の建物から何から切り絵で構成されている作品。イメージサイズはF4(33.3×24.2cm)ですが、それでもこの細かさには驚かされます。
FUKUGAN GALLERY
三宅砂織
"White Sunshine"
瑛九を得意分野とするときの忘れものではお馴染みの、フォトグラムによる作品。写実的な部分が目立つので、最初は普通の写真を加工した作品なのかと思ったのですが、手書きと聞いて驚き、フォトグラム技法で作ったと聞き二度ビックリ。まだまだ勉強が足りません。
イムラアートギャラリー
染谷聡
《どこでも赤富士》
漆や金糸など、どこか野口琢郎さんを連想させる作品。どんな場所にでも置けそうなコミカルさと真面目さを感じます。ちなみに頂上の雪部分に使われているのはうずらの卵殻だそうで。

Gallery Toast
Una Paik
《アマゾン絶滅危惧種》シリーズ
学生時代にはテキスタイルを学んだ作家さんが、学んだ事柄を活かして作成したシリーズ。記事のパターンも相まって妙な愛嬌があります。ちなみにこちらの作家さん、話してみたところ、ときの忘れもので作品出展中のハ・ミョンウンさんのご友人だそうで。
Charles Jang
"Robot Taekwon V"
日本にその存在が知れた当時、一部で物議を醸したアレをモデルにした作品です。昨年のKIAFでも木像や胸像が出展されていた辺り、知名度、人気に陰りはないようですね。
アートゾーン神楽岡
石井康博
《水色の椅子》
小さい、細かい、ギミック付きと、新澤の好みど真ん中の作品です。写真では見えにくいですが、電球の中に椅子と豆電球が仕込んであり、作品上部のスイッチを入れると明かりが点きます。言葉にするとそれだけですが、何故かそれが無性に楽しい一品です。
石井康博
《ささやかな木の子》
こちらは上の作品よりもう少しファンタジーで、ブロック中央のスイッチを入れるとキノコの傘が明滅します。
テヅカヤマギャラリー
インスタレーション "bowing 6322"
《お辞儀をするホテルマン》
展示されている作品は一つだけですが、部屋全体がそれに合わせて傾いているという変わったインスタレーションです。
写真では分かりにくいですが、ベッドや額縁、机の上のアメニティなど全てがお辞儀の角度と同様に傾いています。
ライトのスイッチも例外なし。
ARTCOURT Gallery
山野千里
《イカスミコウモリ》
タイトルが全てを語っていますが、イカの吐いたスミがコウモリの羽ばたくコウモリを形作っている作品です。
山野千里
《巨大タチウオとナルシスト達》
パッと見ただけだと「?」と思いますが、よく見るとタチウオの表面に周りを囲む人々の顔が描かれています、成る程。
山野千里
《かき氷山登山》
この時期の子供の夢を具現化したかのような作品です。頂上にはちゃんと踏破者も造形してあり、様々な角度から見る楽しみのある作品です。
salon cojica
小展示室を使った映像展示…ではなく、メインは8mmカメラを改造した機材そのもの。
昨今はPCを使えば簡単に行える画像の合成を、二つの8mmフィルムを重ね合わせて投射するというアナログな手法で実現できる…のですが、どうも調子が悪いらしく、一般公開中は調整で動作している時間は限られていたようです。
機材の内部構造
こうして並べてみると、やはりどうにも偏りが見えるセレクションですが、楽しんでいただけたならば幸いです。
次回は「スタッフSの海外ネットサーフィン」にてまたお目汚しさせていただきます。
この度はお付き合いいただき、ありがとうございました。
(しんざわ ゆう)

ART OSAKA 2013、現地より第二信を、スタッフSこと新澤がお送りします。
初日は招待客のみとはいえ来客数も多く、ときの忘れものにはワンピース倶楽部代表の石鍋博子さんが出展作家の野口琢郎さんの作品を柄に使った浴衣でご来場くださるなど、プライベートビューイング後の懇親会も含めて盛り上がりました。



ジョナス・メカスの翻訳などでときの忘れものではお馴染みの木下哲夫さんと作家の野口琢郎さん。
木下さんはときの忘れものに野口琢郎さんをご紹介くださった方でもあります。
今回は前日予告しました通り、新澤の独断と偏見によるART OSAKA 2013出展作品のご紹介です。
今回から撮影の規約がより厳しくなり、残念ながら自分の気に入った作品もいくつか撮影を許可していただけませんでしたが、それでもかなりの数の作品が目に止まりました。
以下敬称略、順不同にて出展画廊、作家名、作品名でご紹介させていただきます。
Gallery 工房 親

"Kitchen"シリーズ
画面に塗料やインクではなく、ミシンで糸を縫い込んでイメージを作り上げている作品群です。縫い込みによって生じる微妙な陰影が独特な画像を生み出しています。

Gallery OUT of PLACE

"It's growing up"
木版にコンパス等を色付けした作品かと思いきや、実際は芯材にカラーテープを巻き続けたという一品。こちらは小サイズですが、隣にはダブルベッドを丸々占拠している同様の作品が。

"soaked painting"
こちらはカンバスを塗料のバケツに浸し、色を変える毎に漬ける高さを低くしていった結果、塗料の層によりカンバスが四角から台形に変化してしまった作品です。

手前:《瓶》 奥:《扉》
こちらは二つある展示室の小さい方ですが、大方の画廊が部屋のレイアウトをそのまま使っているところを、ベッドを壁に立て掛けたり、つっかえ棒を床から天井に二本立てて間に白い布を張って裏から光をあてて照明を追加したり、床も白い敷物を敷いたりと、劇的ビフォーアフターばりに印象を変化させており、思わず入ってみようという気になる作りになっていました。
乙画廊

"Good Luck"

"MOt 8 Style"
海外でストリートアーティストとして活動されているMOT 8さん。コミカルな中にもどこか危うい気配があります。イメージ自体も強烈ですが、半立体であることで更に存在感が増しています。

"h05 Fast Mercy"シリーズ
去年のART KYOTO 2012で作品を拝見して以来、新澤が新作を楽しみにしている山路智生さんの作品です。日本のSFアニメを見る人ならば、乗り物がロボットに変形する、というのはお馴染みのモチーフですが、それを菩薩様で、しかも完全変形するものを作ってしまう所がスゴいです。


《まだ少しだけ残っている》(Slight memory)
カラフルながらも遠景の建物から何から切り絵で構成されている作品。イメージサイズはF4(33.3×24.2cm)ですが、それでもこの細かさには驚かされます。
FUKUGAN GALLERY

"White Sunshine"
瑛九を得意分野とするときの忘れものではお馴染みの、フォトグラムによる作品。写実的な部分が目立つので、最初は普通の写真を加工した作品なのかと思ったのですが、手書きと聞いて驚き、フォトグラム技法で作ったと聞き二度ビックリ。まだまだ勉強が足りません。
イムラアートギャラリー

《どこでも赤富士》
漆や金糸など、どこか野口琢郎さんを連想させる作品。どんな場所にでも置けそうなコミカルさと真面目さを感じます。ちなみに頂上の雪部分に使われているのはうずらの卵殻だそうで。

Gallery Toast

《アマゾン絶滅危惧種》シリーズ
学生時代にはテキスタイルを学んだ作家さんが、学んだ事柄を活かして作成したシリーズ。記事のパターンも相まって妙な愛嬌があります。ちなみにこちらの作家さん、話してみたところ、ときの忘れもので作品出展中のハ・ミョンウンさんのご友人だそうで。

"Robot Taekwon V"
日本にその存在が知れた当時、一部で物議を醸したアレをモデルにした作品です。昨年のKIAFでも木像や胸像が出展されていた辺り、知名度、人気に陰りはないようですね。
アートゾーン神楽岡

《水色の椅子》
小さい、細かい、ギミック付きと、新澤の好みど真ん中の作品です。写真では見えにくいですが、電球の中に椅子と豆電球が仕込んであり、作品上部のスイッチを入れると明かりが点きます。言葉にするとそれだけですが、何故かそれが無性に楽しい一品です。

《ささやかな木の子》
こちらは上の作品よりもう少しファンタジーで、ブロック中央のスイッチを入れるとキノコの傘が明滅します。
テヅカヤマギャラリー

《お辞儀をするホテルマン》
展示されている作品は一つだけですが、部屋全体がそれに合わせて傾いているという変わったインスタレーションです。


ARTCOURT Gallery

《イカスミコウモリ》
タイトルが全てを語っていますが、イカの吐いたスミがコウモリの羽ばたくコウモリを形作っている作品です。

《巨大タチウオとナルシスト達》
パッと見ただけだと「?」と思いますが、よく見るとタチウオの表面に周りを囲む人々の顔が描かれています、成る程。

《かき氷山登山》
この時期の子供の夢を具現化したかのような作品です。頂上にはちゃんと踏破者も造形してあり、様々な角度から見る楽しみのある作品です。
salon cojica

昨今はPCを使えば簡単に行える画像の合成を、二つの8mmフィルムを重ね合わせて投射するというアナログな手法で実現できる…のですが、どうも調子が悪いらしく、一般公開中は調整で動作している時間は限られていたようです。

こうして並べてみると、やはりどうにも偏りが見えるセレクションですが、楽しんでいただけたならば幸いです。
次回は「スタッフSの海外ネットサーフィン」にてまたお目汚しさせていただきます。
この度はお付き合いいただき、ありがとうございました。
(しんざわ ゆう)
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