スタッフSの海外ネットサーフィン No.2

「From Reels to Stamps」~Philatelic Museum

自分の海外生活を語る時、引き合いに出すのはまずイギリスですが、実の所最初に住んだのはシンガポールだったりします。とはいえ日本人が多い場所なので、引っ越した先のマンションでも転入したインターナショナルスクールでも日本人のコミュニティがあり、あまり海外生活!という感じはしませんでした。英語もあまり喋った記憶がありません。

思い返せば呆れるばかりですが、インターナショナルスクールに入学した当時、自分は英語に小文字があることすら知らなかったのです。記憶が確かなら、引越し前に日本で半年ほど英会話教室に通った筈なのですが、一体そこで何を学んでいたのか…。当然そんな有様で授業についていける筈もなく、似た状況の日本人とばかり行動するので英語を覚えず、英語を覚えないので授業についていけず、…と、絵に描いたような悪循環でした。最後の方など悪友連中と一緒に授業中にマンガの回し読みをしていました。これで本人はそこそこ喋れるつもりだったのだからお笑い草というやつです。後にイギリスの学校に通った際、初めからそれなりにコミュニケーションがとれていたつもりだったのに、「最初は何言ってるか全然分からなかった」と言われた時は軽くショックでした。十割自業自得ですが。

と、いうことであまり学校には思い出がないので、せめて以前住んでいた場所でもGoogleで見てみるか、と住所を打ち込んで唖然としました。開発がエライ勢いで進んでいることはテレビなどで聞いていましたが、面影の「お」の字もありません。
grangegarden
左の白いビルが以前住んでいた4階建マンションの位置です。周りはまさに熱帯雨林といわんばかりの雑木林で覆われていた茶色の煉瓦建築だったのですが、そんな物は全て取り壊され切り払われ、八方高層マンションで埋まってしまっていました。まぁ冷静に考えて土地が足りてないシンガポールで、観光資源にもならない20年以上前の景観なんて残るワケないですよね。ああ無常。

記号地図の方が実写地図よりも過去の記憶を刺激する自分の思い出は別として、今回のイベント紹介に参りましょう。
ご紹介するのは「Philatelic Museum」にて開催中の「From Reels to Stamps」です。開催期間は7月4日から8月18日。
Singapore Philatelic Museum

「Philatelic」って何? とまず訊かれそうですが、切手収集のことです。世の中色々な美術館、博物館がありますが、こちらは切手博物館というワケですね。そして「From Reels to Stamps」のReelsは映画の上映に使用するフィルムの事です。つまり映画の画像やポスターを基にした切手と、それに合わせて1900年代初頭から始まるシンガポールの映画の歴史が見れる展覧会というわけです。

古いものはチャーリー・チャップリン、新しいものはロードオブザリングの記念切手などが出展されているらしいですが、個人的には関連資料に興味津々です。最近は知りませんが、自分が住んでいた頃のシンガポール映画館は新作を上映する度に劇画調の看板を毎回入り口の上に展示しており、それらの微妙な「これじゃない感」を楽しんでいた自分からすると、これらの看板の記録が展示してあるならば是非とも行ってみたい展覧会です。

しんざわ ゆう

Philatelic Museum公式ページ:http://www.spm.org.sg/index.html
展示会詳細ページ:http://www.spm.org.sg/exhibition/from_reels_to_stamps.html