広島県廿日市市にあるはつかいち美術ギャラリー殿敷侃さんの回顧展が開催されています。
第17回平和美術展
殿敷侃-現代社会への警鐘(メッセージ)
会期:8月1日(木)~9月1日(日)
会場:はつかいち美術ギャラリー 〒738-0023 広島県廿日市市下平良1-11-1
時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜日
料金:無料
主な出品作品
1「釋妙昭信女A(じゅばん)」
1978年
個人蔵
*安井賞展入選
2「HYDROGEN BOMB」
1981年
下関市立美術館蔵
<企画趣旨>
はつかいち美術ギャラリーでは開館以来毎年8月を中心に、美術作品を通して平和について考える「平和美術展」を開催して参りました。第17回目となる今回は、殿敷侃(とのしき・ただし)(1942-1992) の作品をご紹介します。
殿敷は3歳の時に原爆投下直後の広島市内に入り二次被爆し、被爆に起因する肝臓ガンと闘病しながらもその体験に基づく作品を発表し続けますが、50歳の若さで亡くなりました。
本展では、殿敷が制作した油彩画や細密なペン画・エッチング、きのこ雲やケロイドをモチーフとした巨大なシルクスクリーンや廃棄物を燃やし固めて制作したインスタレーションなど、殿敷の制作の移り変わりを概観できる約70点を展示しています。
これらの作品を通して、「生命の尊厳」「平和の大切さ」そして「過去からの延長線上である今を生き、未来へつなぐ」ことについてあらためて考える機会となればと念じております。
本展覧会は、殿敷の出身地であり制作の基礎ともいうべき被爆体験をした、広島での初めての回顧展となります。
殿敷の作品は時代によって表現手法が全く異なります。初期にはペンや油彩で、自己を深く見つめ空虚感を埋めるかのごとく細密な点描で画面を埋め尽くし、原爆で亡くした父母の遺品などを描きました。そのデッサンが版画評論の第一人者であった久保貞次郎氏(1909-96)の目に留まり、銅版画をすすめられ取り組むようになりました。その後殿敷は、同じ版画でもシルクスクリーンの技法を取入れ、作品を大型化させ、同じ版で制作した画面を繰り返し展示するインスタレーションへ変化させます。
1982年、殿敷はドイツでボイスの作品に影響を受け、芸術とは社会に対するメッセージを伝える有効な手段であり、その表現はいかなる制約からも自由であるという発想から、地域を巻き込み廃棄物を素材にした巨大なインスタレーションを制作するようになりました。これらの仕事には私人を超えて普遍的なテーマに取り組む殿敷の真摯な姿が見えてきます。
殿敷が命を削るように発表し続けた作品は、見る者に語りかけ、没後20年を経過した今も現代社会を生きる我々に強烈なメッセージを伝えようとしています。
(山田博規)
*画廊亭主敬白
広島県はつかいち美術ギャラリーの学芸員・山田博規先生にご寄稿いただきました。
先日の「久保エディション~殿敷侃」でお知らせしたとおり、ときの忘れものでも8月21日(水)~8月31日(土)「殿敷侃 遺作展」を開催することとなりました。
ただいま制作中のカタログには下関市立美術館の濱本聰先生に執筆をお願いしました。
またこのブログでは、本日の山田博規さんはじめ、友利香さん、土屋公雄さん、西田考作さん、池上ちかこさんらに寄稿(再録も含む)をお願いしています。
あまり知られていないこの作家の人となりと画業について、少しでも皆さんの理解の助けになればと思います。
●『殿敷侃 遺作展』カタログのご案内
『殿敷侃 遺作展』カタログ
2013年
ときの忘れもの 発行
15ページ
25.6x18.1cm
執筆:濱本聰
図版:21点
価格:800円(税込)
※送料別途250円
2013年8月開催の「殿敷侃 遺作展」のカタログです。
広島で生まれた殿敷侃は、被爆体験をもとにヒロシマにまつわる遺品や記憶を細密極まる点描で描き、後に古タイヤなどの廃品で会場を埋めつくすというインスタレーションで現代社会の不条理に対して批判的・挑発的なメッセージを発信し、1992年50歳で亡くなりました。
このブログでは「殿敷侃の遺したもの」を記録するため「久保エディション第4回~殿敷侃」はじめ、濱本聰(下関市立美術館)さん、山田博規さん(広島県はつかいち美術ギャラリー)、友利香さん、土屋公雄さん、西田考作さん、池上ちかこさんらに寄稿(再録も含む)していただきました。
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第17回平和美術展
殿敷侃-現代社会への警鐘(メッセージ)
会期:8月1日(木)~9月1日(日)
会場:はつかいち美術ギャラリー 〒738-0023 広島県廿日市市下平良1-11-1
時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜日
料金:無料
主な出品作品

1978年
個人蔵
*安井賞展入選

1981年
下関市立美術館蔵
<企画趣旨>
はつかいち美術ギャラリーでは開館以来毎年8月を中心に、美術作品を通して平和について考える「平和美術展」を開催して参りました。第17回目となる今回は、殿敷侃(とのしき・ただし)(1942-1992) の作品をご紹介します。
殿敷は3歳の時に原爆投下直後の広島市内に入り二次被爆し、被爆に起因する肝臓ガンと闘病しながらもその体験に基づく作品を発表し続けますが、50歳の若さで亡くなりました。
本展では、殿敷が制作した油彩画や細密なペン画・エッチング、きのこ雲やケロイドをモチーフとした巨大なシルクスクリーンや廃棄物を燃やし固めて制作したインスタレーションなど、殿敷の制作の移り変わりを概観できる約70点を展示しています。
これらの作品を通して、「生命の尊厳」「平和の大切さ」そして「過去からの延長線上である今を生き、未来へつなぐ」ことについてあらためて考える機会となればと念じております。
本展覧会は、殿敷の出身地であり制作の基礎ともいうべき被爆体験をした、広島での初めての回顧展となります。
殿敷の作品は時代によって表現手法が全く異なります。初期にはペンや油彩で、自己を深く見つめ空虚感を埋めるかのごとく細密な点描で画面を埋め尽くし、原爆で亡くした父母の遺品などを描きました。そのデッサンが版画評論の第一人者であった久保貞次郎氏(1909-96)の目に留まり、銅版画をすすめられ取り組むようになりました。その後殿敷は、同じ版画でもシルクスクリーンの技法を取入れ、作品を大型化させ、同じ版で制作した画面を繰り返し展示するインスタレーションへ変化させます。
1982年、殿敷はドイツでボイスの作品に影響を受け、芸術とは社会に対するメッセージを伝える有効な手段であり、その表現はいかなる制約からも自由であるという発想から、地域を巻き込み廃棄物を素材にした巨大なインスタレーションを制作するようになりました。これらの仕事には私人を超えて普遍的なテーマに取り組む殿敷の真摯な姿が見えてきます。
殿敷が命を削るように発表し続けた作品は、見る者に語りかけ、没後20年を経過した今も現代社会を生きる我々に強烈なメッセージを伝えようとしています。
(山田博規)
*画廊亭主敬白
広島県はつかいち美術ギャラリーの学芸員・山田博規先生にご寄稿いただきました。
先日の「久保エディション~殿敷侃」でお知らせしたとおり、ときの忘れものでも8月21日(水)~8月31日(土)「殿敷侃 遺作展」を開催することとなりました。
ただいま制作中のカタログには下関市立美術館の濱本聰先生に執筆をお願いしました。
またこのブログでは、本日の山田博規さんはじめ、友利香さん、土屋公雄さん、西田考作さん、池上ちかこさんらに寄稿(再録も含む)をお願いしています。
あまり知られていないこの作家の人となりと画業について、少しでも皆さんの理解の助けになればと思います。
●『殿敷侃 遺作展』カタログのご案内

2013年
ときの忘れもの 発行
15ページ
25.6x18.1cm
執筆:濱本聰
図版:21点
価格:800円(税込)
※送料別途250円
2013年8月開催の「殿敷侃 遺作展」のカタログです。
広島で生まれた殿敷侃は、被爆体験をもとにヒロシマにまつわる遺品や記憶を細密極まる点描で描き、後に古タイヤなどの廃品で会場を埋めつくすというインスタレーションで現代社会の不条理に対して批判的・挑発的なメッセージを発信し、1992年50歳で亡くなりました。
このブログでは「殿敷侃の遺したもの」を記録するため「久保エディション第4回~殿敷侃」はじめ、濱本聰(下関市立美術館)さん、山田博規さん(広島県はつかいち美術ギャラリー)、友利香さん、土屋公雄さん、西田考作さん、池上ちかこさんらに寄稿(再録も含む)していただきました。
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