スタッフSのアートフェアレポート・ART NAGOYA 2013 第2回

ART NAGOYA 2013、現地より第二信を、スタッフSこと新澤がお送りします。
3年皆勤である事を見込まれて綿貫さんが挨拶を努め、ホテルスタッフのプッシュにより料理の中にカレーライスが含まれている(味はイチオシなだけあって大変美味でした)レセプションから明けて翌日、一般公開日初日です。
三年皆勤を見込まれて最初の挨拶を任された綿貫さん。
レセプション風景。
が、同時期に始まったあいちトリエンナーレ(の一部)を見て回るため、前半はお休みを頂いて開催地の一つである長者町エリアへ出向いてきました。今なお昭和風情が色濃く残る「長者町繊維街」の空ビルを利用した展示の一部を紹介します。
横山裕一
《世界地図の間》2013
ビルのショーウィンドウいっぱいに描かれた漫画の1コマ。1点だけではなく、複数のコマが長者町の各地に描かれています。ギャグ漫画のようなキャラクターが真面目な場面を構成している画はシュールの一言。
吉田商事株式会社の1階を利用した展示スペース。人工芝の部分は靴を脱いであがり、非売品のTシャツのデザインを見たり、横山裕一の著作を無料で楽しめます。内容はやはりどれもシュールでした。
横山裕一
《11ゲームチェインジャーズ》
ナイキとのコラボ企画。スポーツにまつわる11人の著名人に対して漫画風のコマ割りイラストを描いた作品。写真はダルビッシュ有をイメージした作品。
壁一面に展示されたオリジナルTシャツの一つ。非売品なのが惜しまれるデザインも数点。
リゴ23
"Looking at 2013 From 1952 Nagoya"
旧玉屋ビルの側面に描かれた作品。昭和の電気技師が、2013年の世界を眼下に見下ろしています。
シュカルト
"MOBILE PLANTS"シリーズより"dish-familysh"
八木兵錦6号館に展示されているこの作品、鉢植えにキャスターがついており、シリーズ名の通りモバイルなのですが、なんと来場者が実際に町中を引っぱり歩くことができます。2010のベニス建築ビエンナーレでも出展されており、それ以外でも世界各地で引っ張り回されているグローバルな一品です。

Nadegata Instant Party
《「STUDIO TUBE」創設のためのブランドローディング》
中部電力(株)本町開閉所跡地そのものを作品に仕立て上げた大規模インスタレーション。閉鎖した電力開閉所を架空の特撮スタジオに見立て、このスタジオが60年の間に作成したという設定の映像作品を、足場を組んだ屋外に展示してあります。どの作品も「昭和の特撮ならありそう…いやいやいくらなんでも」という筋書き揃いです。
上で紹介した物以外にも、長者町エリアだけでもかなりの数があるのですが、流石に炎天下で会場を探して歩き回るのは辛く、これら以外に1、2カ所を回った所でタイムアウト、ART NAGOYA会場へ向かうことになりました。皆様、夏の間に長者町エリアを見て回る際には熱中症にご注意下さい。
さて、それでは恒例の独断と偏見によるフェア出展作品の紹介に移らせていただきます。毎回「ときの忘れものらしさが全然ない!」と綿貫さんに怒られている自分ですが、どうにも難しいものです。
以下敬称略、順不同にて出展画廊、作家名、作品名でご紹介させていただきます。
GALLERY SPACE PRISM
森貞人
GALAXTER
時計の歯車、眼鏡のレンズ、イミテーションジュエルなど、一般的にガラクタと呼ばれるものを組み集め、ロボット型のオブジェにした作品シリーズ。中には眼鏡掛けとして使用できる実用品も。
ギャルリ hu:
吉川千香子
bunny chan
今回見た展示の中では個人的に一番捻りがきいていると思った作品です。何せこの作品、この画像では分かりづらいですが、本当にシャワーを浴びてます。
Gallery Introart
足立明里
えん1/えん2
絵本の挿絵に使われそうな幻想風景の中に佇む動物たち。シロクマの何とも言い難い表情が妙に気に入ってしまいました。
ギャラリー芽楽
鴨頭みどり
角のある面
鴨頭みどり
カメレオン小
ひょうきんなデザインでありながら、これが実際に動いたら、と思うと鳥肌ものな立体作品。
《角のある面》は、壁にかけておくといつの間にか目の向いている方向が変わってそう、などと失礼なことを想像してしまいました。
GALLERY エクリュの森
明田一久
今日も一日ご安全に!
明田一久
南極島・Southern Ocean
明田一久
にじうた紀行
こちらは打って変わってただひたすらにラブリーな作品。氷塊の上にたむろするペンギンや、飛翔するカモノハシの「キリッ」と表情など、見ていて非常に和みます。しかし使っている材料は黒御影石に白大理石と本格派です。
Galerie Yukiko Kawase
Anthony Peskine
シリーズ<救世主>より《100フラン 忍者タートルズ》
昨年も取り扱ってらしたシリーズ<救世主>の新作。紙幣の人物画の顔部分を切り抜いてアメコミヒーローのマスクをかぶらせる、という作品ですが、今回のモチーフは四人組ということで四作品で一セット。マットの色を見ただけでモチーフが分かった辺り、誇らしいやら情けないやら。

Anthony Peskine
シリーズ<救世主>より《100ルピー 忍者タートル》
上の作品のインド紙幣バージョン。
JILL D'ART GALLERY
向井正一
ベビテクター レジェンド
去年のART OSAKAで作品を出展されていた、元特撮スーツ制作者の向井正一さんの新作。
ご自身の息子さんの成長に合わせて生み出される子供の守護神、今回は四天王像をモチーフにした重量感溢れるものになっています。それでも口にはおしゃぶり、片手にはガラガラ、突き立てた錫杖の先には哺乳瓶と、真面目に作り込んであるからこそクスリと笑える作品になっています。

レントゲンヴェルケ
あるがせいじ
1151
連なる超高層建築の彫刻…と思いきや、材料はなんと積み重ねた紙! 内側には中空部分があったりするこの作品、ここまで積み上げるのにどれだけの時間がかかったものやら。
悠遊舎ぎゃらりぃ
柳健太郎
懐旧基地
男なら子供の頃に一度は想像しただろう、様々なギミックを詰め込んだ秘密基地…を、何とガラスだけで再現してしまった大型作品。それだけでもスゴイのに、ぐい飲み搭載の飛行機や、徳利内蔵潜水艇など、実用品を仕込んでいるからもっとスゴイ。
柳健太郎
深酒探査船
こちらは単品の徳利としても使える深海探査船型の作品。自分は酒は体質的に全くダメなのですが、こういう「こんな用途でも使えます」というプラスアルファにはやはり心が躍ります。
GALLERY 龍屋
松岡ミチヒロ
個人的な今回のイチオシ作家さんだったのですが、撮影は禁止されていたので名刺でお茶濁しを。レジンキャストを用いた生物を感じさせながら金属質な、いわゆる「スチームパンク」なフィギュアを多数展示されており、目玉は全長1mはありそうな架空の飛空挺。
COHJU contemporary art
太田三郎
Seed Project series
記念切手のように見えますが、実は本物の種を薄紙に挟み込み、切手風のタイポグラフィで種を見つけた日時と場所を記録したもの。シンプルな作品ですが、ズラリと並ぶ様は中々壮観です。
太田三郎
Angel leaf
虫食い葉の穴の横に、小さくも詳細に切り出された天使が寄り添う作品。なんで天使が? と思いましたが、これは虫を育んだ葉に対するご褒美なんだとか。
今回も綿貫さんにお叱りを受けそうなセレクションですが、自分の文章と合わせて少しでも楽しんでいただけたようなら幸いです。
今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。
(しんざわ ゆう)

ART NAGOYA 2013、現地より第二信を、スタッフSこと新澤がお送りします。
3年皆勤である事を見込まれて綿貫さんが挨拶を努め、ホテルスタッフのプッシュにより料理の中にカレーライスが含まれている(味はイチオシなだけあって大変美味でした)レセプションから明けて翌日、一般公開日初日です。


が、同時期に始まったあいちトリエンナーレ(の一部)を見て回るため、前半はお休みを頂いて開催地の一つである長者町エリアへ出向いてきました。今なお昭和風情が色濃く残る「長者町繊維街」の空ビルを利用した展示の一部を紹介します。

《世界地図の間》2013
ビルのショーウィンドウいっぱいに描かれた漫画の1コマ。1点だけではなく、複数のコマが長者町の各地に描かれています。ギャグ漫画のようなキャラクターが真面目な場面を構成している画はシュールの一言。


《11ゲームチェインジャーズ》
ナイキとのコラボ企画。スポーツにまつわる11人の著名人に対して漫画風のコマ割りイラストを描いた作品。写真はダルビッシュ有をイメージした作品。


"Looking at 2013 From 1952 Nagoya"
旧玉屋ビルの側面に描かれた作品。昭和の電気技師が、2013年の世界を眼下に見下ろしています。

"MOBILE PLANTS"シリーズより"dish-familysh"
八木兵錦6号館に展示されているこの作品、鉢植えにキャスターがついており、シリーズ名の通りモバイルなのですが、なんと来場者が実際に町中を引っぱり歩くことができます。2010のベニス建築ビエンナーレでも出展されており、それ以外でも世界各地で引っ張り回されているグローバルな一品です。


《「STUDIO TUBE」創設のためのブランドローディング》
中部電力(株)本町開閉所跡地そのものを作品に仕立て上げた大規模インスタレーション。閉鎖した電力開閉所を架空の特撮スタジオに見立て、このスタジオが60年の間に作成したという設定の映像作品を、足場を組んだ屋外に展示してあります。どの作品も「昭和の特撮ならありそう…いやいやいくらなんでも」という筋書き揃いです。
上で紹介した物以外にも、長者町エリアだけでもかなりの数があるのですが、流石に炎天下で会場を探して歩き回るのは辛く、これら以外に1、2カ所を回った所でタイムアウト、ART NAGOYA会場へ向かうことになりました。皆様、夏の間に長者町エリアを見て回る際には熱中症にご注意下さい。
さて、それでは恒例の独断と偏見によるフェア出展作品の紹介に移らせていただきます。毎回「ときの忘れものらしさが全然ない!」と綿貫さんに怒られている自分ですが、どうにも難しいものです。
以下敬称略、順不同にて出展画廊、作家名、作品名でご紹介させていただきます。
GALLERY SPACE PRISM

GALAXTER
時計の歯車、眼鏡のレンズ、イミテーションジュエルなど、一般的にガラクタと呼ばれるものを組み集め、ロボット型のオブジェにした作品シリーズ。中には眼鏡掛けとして使用できる実用品も。
ギャルリ hu:

bunny chan
今回見た展示の中では個人的に一番捻りがきいていると思った作品です。何せこの作品、この画像では分かりづらいですが、本当にシャワーを浴びてます。
Gallery Introart

えん1/えん2
絵本の挿絵に使われそうな幻想風景の中に佇む動物たち。シロクマの何とも言い難い表情が妙に気に入ってしまいました。
ギャラリー芽楽

角のある面

カメレオン小
ひょうきんなデザインでありながら、これが実際に動いたら、と思うと鳥肌ものな立体作品。
《角のある面》は、壁にかけておくといつの間にか目の向いている方向が変わってそう、などと失礼なことを想像してしまいました。
GALLERY エクリュの森

今日も一日ご安全に!

南極島・Southern Ocean

にじうた紀行
こちらは打って変わってただひたすらにラブリーな作品。氷塊の上にたむろするペンギンや、飛翔するカモノハシの「キリッ」と表情など、見ていて非常に和みます。しかし使っている材料は黒御影石に白大理石と本格派です。
Galerie Yukiko Kawase

シリーズ<救世主>より《100フラン 忍者タートルズ》
昨年も取り扱ってらしたシリーズ<救世主>の新作。紙幣の人物画の顔部分を切り抜いてアメコミヒーローのマスクをかぶらせる、という作品ですが、今回のモチーフは四人組ということで四作品で一セット。マットの色を見ただけでモチーフが分かった辺り、誇らしいやら情けないやら。


シリーズ<救世主>より《100ルピー 忍者タートル》
上の作品のインド紙幣バージョン。
JILL D'ART GALLERY

ベビテクター レジェンド
去年のART OSAKAで作品を出展されていた、元特撮スーツ制作者の向井正一さんの新作。
ご自身の息子さんの成長に合わせて生み出される子供の守護神、今回は四天王像をモチーフにした重量感溢れるものになっています。それでも口にはおしゃぶり、片手にはガラガラ、突き立てた錫杖の先には哺乳瓶と、真面目に作り込んであるからこそクスリと笑える作品になっています。

レントゲンヴェルケ

1151
連なる超高層建築の彫刻…と思いきや、材料はなんと積み重ねた紙! 内側には中空部分があったりするこの作品、ここまで積み上げるのにどれだけの時間がかかったものやら。
悠遊舎ぎゃらりぃ

懐旧基地
男なら子供の頃に一度は想像しただろう、様々なギミックを詰め込んだ秘密基地…を、何とガラスだけで再現してしまった大型作品。それだけでもスゴイのに、ぐい飲み搭載の飛行機や、徳利内蔵潜水艇など、実用品を仕込んでいるからもっとスゴイ。

深酒探査船
こちらは単品の徳利としても使える深海探査船型の作品。自分は酒は体質的に全くダメなのですが、こういう「こんな用途でも使えます」というプラスアルファにはやはり心が躍ります。
GALLERY 龍屋

個人的な今回のイチオシ作家さんだったのですが、撮影は禁止されていたので名刺でお茶濁しを。レジンキャストを用いた生物を感じさせながら金属質な、いわゆる「スチームパンク」なフィギュアを多数展示されており、目玉は全長1mはありそうな架空の飛空挺。
COHJU contemporary art

Seed Project series
記念切手のように見えますが、実は本物の種を薄紙に挟み込み、切手風のタイポグラフィで種を見つけた日時と場所を記録したもの。シンプルな作品ですが、ズラリと並ぶ様は中々壮観です。

Angel leaf
虫食い葉の穴の横に、小さくも詳細に切り出された天使が寄り添う作品。なんで天使が? と思いましたが、これは虫を育んだ葉に対するご褒美なんだとか。
今回も綿貫さんにお叱りを受けそうなセレクションですが、自分の文章と合わせて少しでも楽しんでいただけたようなら幸いです。
今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。
(しんざわ ゆう)
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