展覧会レポート 尾立麗子
植田実先生と綿貫さんと「磯崎新 都市ソラリス」展の内覧会に行ってきました。
会場となったNTTインターコミュニケーション・センター [ICC] は、日本の電話事業100周年(1990年)の記念事業として1997年4月19日に東京/西新宿・東京オペラシティタワーにオープンした文化施設です。
磯崎新 都市ソラリス
会期:2013年12月14日(土)—2014年3月2日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA

1960年代から今に至る磯崎新先生が手がけた都市計画プロジェクトが展示されています。

右は空中都市、左は孵化過程。『百二十の見えない都市』第二期(未完成)にも入っているプロジェクトです。第二期を早く完成させなければ!

磯崎新先生にご挨拶。磯崎先生は首にコルセットをはめていますが、いつも若々しいです。

模型は大分のアートプラザから持ってきたそうです。

1986年に実施された東京新都庁舎のコンペに提出するために制作されたシルクスクリーン。
刷りはもちろん石田了一さん。

磯崎新先生のドローイングと篠山紀信さんの写真。

1994年に中国珠海市からの依頼により構想が開始された「海市」。

磯崎新《海市計画(模型)》1996年制作
撮影:高瀬良夫

現在中国で進行中の最新プロジェクト「鄭州都市計画」。基本計画案はコンペ1等になった黒川紀章氏が立案し、2007年黒川氏亡き後は磯崎先生が引き継いでいるそうです。

とても実在するとは思えない都市に思えるのですが、いくつかは完成し、機能しているというので驚き。完成に近づいたときには、この眼でこの都市を見てみたいです。



植田実先生に東京新都庁舎のコンペ案模型の前で撮ってと頼まれました。「これから僕の写真はこれを使ってね」と。

中央は写真家の宮本隆司さん

建築家の石山修武先生(右)

この日はいつも会う、以前磯崎アトリエに在籍していた平田さんや藤本さんがここにいないことが少し淋しく感じました。みなさんそれぞれの舞台でご活躍されているので、それはそれで嬉しいのですが、なんだか一人しみじみとした気分になりました。(おだちれいこ)
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「都市ソラリス」展について
磯崎新
わが宇宙船地球号は,その表層をうずめる都市環境に狂いが生じて,航行不能に陥りつつあります.新しい操縦マニュアルを必要としています.
20年昔,グローバリゼーションの大津波がおそい,全球が領土化(テリトリアリゼーション)され,都市化したためです.
津波通過の跡には澱(おり)がたまり,これが触媒となり,あらたに〈しま〉が出現するだろうと予測され,かつて大航海の果てに発見されたといわれる「ユートピア」(トーマス・モア,1516)を手がかりに,「海市——もうひとつのユートピア」展(ICCオープニング企画展,1997)が立ち上げられ,プロトタイプ,シグネチャーズ,ヴィジターズ,インターネットの〈しまじま〉を生成させてみましたが,蜃気楼のごとくに消え去り,蘇東坡の詩『登州海市』にちなんで「海市」と呼ばれました.
〈しま〉に収容される住民は「海市」の作業のなかでは「リヴァイアサン」(トーマス・ホッブズ)に統治される〈ビオス〉(ミシェル・フーコー)として扱われていました.しかしモナドとしての〈ビオス〉には,「意識」,そして「知」がそなわっています.そこで地表の都市は,渾沌(『荘子』応帝王篇)=カオス(複雑系)状態をみせるのです.
〈しまじま〉がギャラクシーに成長しつつある現在,『惑星ソラリス』(スタニスワフ・レム原作,アンドレイ・タルコフスキー監督,1972)を参照しながら,集合知,免疫性(イムニタス)などを都市論として討議する場をつくりだしたいと考えます.今回もそのあげくに展覧会の正式呼称がきまるでしょう.
●展示概要
「磯崎新 都市ソラリス*」展は,ICCオープニング企画展「海市——もうひとつのユートピア」(1997)を監修した建築家磯崎新を再び迎えて,これまでの都市デザイン,アーキテクチャ論を超える新たな都市像を考える場として企画されました.会場では,1960年代から現在に至るまで磯崎が手がけてきた都市計画プロジェクトの変遷をたどりながら,複数の参加者の介入によって変化していくワーク・イン・プログレスの展示が展開されます.この舞台となるのは,2012年の展示「Run after Deer!(中原逐鹿)」(パラッツォ・ベンボ,ヴェネツィア建築ビエンナーレ)でも取り上げられた,現在中国で進行中の磯崎の最新のプロジェクト「鄭州都市計画」です.会期中は,祝祭空間としての都市をメディア・アーティストの提案によって実現するなど,ワークショップやディスカッションなどを通じて,高度情報化時代における都市像を模索しつつ,動的な「都市形成装置」としての都市を試みます.
*ソラリス(Solaris):スタニスワフ・レムによって宇宙開発時代さなかの1961年に発表されたSF小説.日本でも1964年に邦訳『ソラリスの陽のもとに』(飯田規和訳,早川書房)が,さらに2004年に新訳『ソラリス』(沼野充義訳,国書刊行会)が刊行されている.また,1972年に映画化された『惑星ソラリス』(アンドレイ・タルコフスキー監督)は,SF映画の名作として現在まで高い評価を得ている.(同館HPより)
「トークセッション テーマ『都庁』」
12月23日(月・祝)午後3時30分より
出演:高山明,磯崎新.
ゲスト:五十嵐太郎,宮本隆司.
会場:ICC4階特設会場.
定員:150名(当日先着順).
入場無料.
植田実先生と綿貫さんと「磯崎新 都市ソラリス」展の内覧会に行ってきました。
会場となったNTTインターコミュニケーション・センター [ICC] は、日本の電話事業100周年(1990年)の記念事業として1997年4月19日に東京/西新宿・東京オペラシティタワーにオープンした文化施設です。
磯崎新 都市ソラリス
会期:2013年12月14日(土)—2014年3月2日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA

1960年代から今に至る磯崎新先生が手がけた都市計画プロジェクトが展示されています。

右は空中都市、左は孵化過程。『百二十の見えない都市』第二期(未完成)にも入っているプロジェクトです。第二期を早く完成させなければ!

磯崎新先生にご挨拶。磯崎先生は首にコルセットをはめていますが、いつも若々しいです。

模型は大分のアートプラザから持ってきたそうです。

1986年に実施された東京新都庁舎のコンペに提出するために制作されたシルクスクリーン。
刷りはもちろん石田了一さん。

磯崎新先生のドローイングと篠山紀信さんの写真。

1994年に中国珠海市からの依頼により構想が開始された「海市」。

磯崎新《海市計画(模型)》1996年制作
撮影:高瀬良夫

現在中国で進行中の最新プロジェクト「鄭州都市計画」。基本計画案はコンペ1等になった黒川紀章氏が立案し、2007年黒川氏亡き後は磯崎先生が引き継いでいるそうです。

とても実在するとは思えない都市に思えるのですが、いくつかは完成し、機能しているというので驚き。完成に近づいたときには、この眼でこの都市を見てみたいです。



植田実先生に東京新都庁舎のコンペ案模型の前で撮ってと頼まれました。「これから僕の写真はこれを使ってね」と。

中央は写真家の宮本隆司さん

建築家の石山修武先生(右)

この日はいつも会う、以前磯崎アトリエに在籍していた平田さんや藤本さんがここにいないことが少し淋しく感じました。みなさんそれぞれの舞台でご活躍されているので、それはそれで嬉しいのですが、なんだか一人しみじみとした気分になりました。(おだちれいこ)
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「都市ソラリス」展について
磯崎新
わが宇宙船地球号は,その表層をうずめる都市環境に狂いが生じて,航行不能に陥りつつあります.新しい操縦マニュアルを必要としています.
20年昔,グローバリゼーションの大津波がおそい,全球が領土化(テリトリアリゼーション)され,都市化したためです.
津波通過の跡には澱(おり)がたまり,これが触媒となり,あらたに〈しま〉が出現するだろうと予測され,かつて大航海の果てに発見されたといわれる「ユートピア」(トーマス・モア,1516)を手がかりに,「海市——もうひとつのユートピア」展(ICCオープニング企画展,1997)が立ち上げられ,プロトタイプ,シグネチャーズ,ヴィジターズ,インターネットの〈しまじま〉を生成させてみましたが,蜃気楼のごとくに消え去り,蘇東坡の詩『登州海市』にちなんで「海市」と呼ばれました.
〈しま〉に収容される住民は「海市」の作業のなかでは「リヴァイアサン」(トーマス・ホッブズ)に統治される〈ビオス〉(ミシェル・フーコー)として扱われていました.しかしモナドとしての〈ビオス〉には,「意識」,そして「知」がそなわっています.そこで地表の都市は,渾沌(『荘子』応帝王篇)=カオス(複雑系)状態をみせるのです.
〈しまじま〉がギャラクシーに成長しつつある現在,『惑星ソラリス』(スタニスワフ・レム原作,アンドレイ・タルコフスキー監督,1972)を参照しながら,集合知,免疫性(イムニタス)などを都市論として討議する場をつくりだしたいと考えます.今回もそのあげくに展覧会の正式呼称がきまるでしょう.
●展示概要
「磯崎新 都市ソラリス*」展は,ICCオープニング企画展「海市——もうひとつのユートピア」(1997)を監修した建築家磯崎新を再び迎えて,これまでの都市デザイン,アーキテクチャ論を超える新たな都市像を考える場として企画されました.会場では,1960年代から現在に至るまで磯崎が手がけてきた都市計画プロジェクトの変遷をたどりながら,複数の参加者の介入によって変化していくワーク・イン・プログレスの展示が展開されます.この舞台となるのは,2012年の展示「Run after Deer!(中原逐鹿)」(パラッツォ・ベンボ,ヴェネツィア建築ビエンナーレ)でも取り上げられた,現在中国で進行中の磯崎の最新のプロジェクト「鄭州都市計画」です.会期中は,祝祭空間としての都市をメディア・アーティストの提案によって実現するなど,ワークショップやディスカッションなどを通じて,高度情報化時代における都市像を模索しつつ,動的な「都市形成装置」としての都市を試みます.
*ソラリス(Solaris):スタニスワフ・レムによって宇宙開発時代さなかの1961年に発表されたSF小説.日本でも1964年に邦訳『ソラリスの陽のもとに』(飯田規和訳,早川書房)が,さらに2004年に新訳『ソラリス』(沼野充義訳,国書刊行会)が刊行されている.また,1972年に映画化された『惑星ソラリス』(アンドレイ・タルコフスキー監督)は,SF映画の名作として現在まで高い評価を得ている.(同館HPより)
「トークセッション テーマ『都庁』」
12月23日(月・祝)午後3時30分より
出演:高山明,磯崎新.
ゲスト:五十嵐太郎,宮本隆司.
会場:ICC4階特設会場.
定員:150名(当日先着順).
入場無料.
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