スタッフSの海外ネットサーフィン No.8 「Isa Genzken: Retrospective」

Museum of Modern Art, New York, USA.


新年の挨拶を申し上げるにはいささか時期を逸した気がしますが、皆様、あけましておめでとうございます。
今年も月の一度のお目汚し、なるべく目新しいものをご紹介できるよう、頑張らせていただきます。

今回の舞台はアメリカ、ニューヨークです。とはいえあまり自分に縁のある場所ではなく、前回のニュージーランド同様、1990年代半ばに当時あちらに住んでいた親戚の家に夏休みを利用して一度遊びに行っただけです。なのでお話のネタになるようなことと言えば、せいぜい自由の女神像を昇った時に、高所恐怖症で一番上に着いてもろくに外も見ず(そもそもガラスが汚れていて殆ど外が見えませんでしたが)、螺旋階段の段差が急すぎて降りる時に片足を攣ったこととか、日本の食品を扱っているスーパーに連れて行ってもらった際に、併設された日本の書店に3時間ほど張り付いてマンガを立ち読みし続けたりしたこと(言い訳をさせてもらうと、当時は既にイギリスの全寮制学校に入っていたので、日本語に飢えていた…ということにしておいて下さい)あたりでしょうか。我がことながら、「お前何しにアメリカまで行ってきたの?」という感じですね。ちなみにそれら以外で特に印象に残っているのは、道も車も横に広いことでした。「住んでる人も横に広いから…」と当時の自分が思ったかは定かではありません。今言うと「お前が言うな」と突っ込まれるに決まっているので言いませんが。

そんなズッコケてすらいない私事は横に置きまして、今回ご紹介するのはMoMAことニューヨーク近代美術館。マンハッタンのミッドタウン53丁目に位置し、1920年代から「ザ・モダン」と呼ばれたモダンアートの殿堂で、20世紀以降の現代美術の発展と普及に多大な貢献をしてきています。建物は典型的な「国際様式(インターナショナル・スタイル)」建築ですが、戦後2回の増築を経て複雑化した全体の整理とさらなる展示スペースの増築を兼ねて国際建築コンペが行われ、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館や豊田市美術館などで知られる日本人建築家・谷口吉生の設計案が選ばれました。
MoMA

このMoMAで昨年11月から今年3月まで開催されているのが、 「Isa Genzken: Retrospective」です。
Isa Genzken: Retrospective

日本では2009年にRAT HOLL GALLERYで個展「OIL XV / XVI」展を開催したドイツ人女性作家イザ・ゲンツケン(1948~)をアメリカ国内では初の、かつ過去最大規模の回顧展として取り上げています。作家の40年もの活動を時代ごとに区切った9つの展示スペースと館内各所を用いて展示しており、立体作品だけではなく、絵画、写真、コラージュ、ドローイング、スケッチブック、動画等、150以上のアメリカでは初展示となる作品が集められています。中でも、「Ground Zero」シリーズはかの9.11を題材とした作品群ですが、だからこそニューヨークで展示されるに相応しいのか、それとも相応しくないのか。展示されている作品のみならず、その作品を見に来る人々を含めて気になる企画です。

イザ・ゲンツケン「Schauspieler (Actors)」2013Isa Genzken
Schauspieler (Actors) (detail)

2013
Mannequins, clothes, shoes, fabric, and paper
Dimensions variable
Courtesy the artist and Galerie Buchholz, Cologne/Berlin.
© Isa Genzken. Photo: Jens Ziehe, Berlin

(しんざわ ゆう)

MoMA公式サイト:http://www.moma.org/
ユーチューブでインタビューが公開されています。

This is ISA GENZKEN」をぜひご覧ください。
I展覧会詳細ページ:http://moma.org/interactives/exhibitions/2013/isagenzken/

カタログのご案内
表紙『瀧口修造展 I』図録
2013年
ときの忘れもの 発行
図版:44点
英文併記
21.5x15.2cm
ハードカバー
76ページ
執筆:土渕信彦「瀧口修造―人と作品」
再録:瀧口修造「私も描く」「手が先き、先きが手」
価格:2,100円(税込)
※送料別途250円(お申し込みはコチラへ)。
ときの忘れものでは3月と12月にも瀧口修造展を開催します。このブログでは関係する記事やテキストを「瀧口修造の世界」として紹介します。土渕信彦のエッセイ「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。