近年、大学内に設けられたギャラリーや大学美術館の活動が活発です。
このブログでも筑波大学福井大学の例をご紹介してきました。

本日ご紹介するのは慶応義塾大学。
1950年代東京・神田に存在していたタケミヤ画廊の歴史を振り返る展覧会が慶応義塾大学アート・スペースで開催されます。

タケミヤ画廊は、戦後筧正人が神田にあった竹見屋画材店を再興するにあたって、新人のための無料画廊を店に併設することからスタートしました。
阿部展也の発案で瀧口修造に作家の選択と斡旋を依頼し、閉廊するまでの間に200余りの展覧会を開催しました。
その内容は、既存画壇から距離を置いてアンデパンダン展などで作品を発表していた若手が中心であり、そのなかには野見山曉治、河原温、草間彌生などがいました。また、タケミヤ画廊でデビューを飾った美術家には、靉嘔池田満寿夫加納光於等がいます。
十年に満たない期間にその後活躍する多数の新人を発掘し、既存の画壇展や貸画廊とは異なる批評家主導の展覧会の方向性を示したという点で、美術界に大きな影響を与えました。
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タケミヤからの招待状」展
会期:2014年3月3日(月)~3月28日(金)
会場:慶応義塾大学アート・スペース
時間:11:00~18:00
休館:土・日・祝日
入場無料

神田小川町にあった竹見屋洋画材店は、戦後に再開するにあたって新しいかたちの店を開きたいと考えて、店の大部分を画廊として提供することになります。こうして誕生したタケミヤ画廊では、阿部展也等の発案で、展示する作家の選考を瀧口修造に託しました。今回のアーカイヴ資料展では、このタケミヤ画廊の案内状に焦点をあて、それを総覧することを目的とした展示を行います。1951年の開廊から1957年の閉廊までに開催された200余りの展覧会を見渡そうとする作業は、その活動期――1950年代を見つめる作業に他なりません。
また、案内状というアイテムに集中して総覧しようとする態度は、我々がアート・センターで実践しているアーカイヴ活動の姿勢を示すものでもあります。コレクション集積とは違うアーカイヴ的な知の在り方としての取り組みを展示を通してご覧いただければ幸いです。(同展HPより)

●関連イベント
20140303タケミヤからの招待状 イベント


池田龍雄さんによるトーク
「タケミヤ画廊、瀧口修造と1950年代」

日時:2014年3月7日(金)18時より
会場:慶応義塾大学アート・スペース(三田キャンパス、正門前の南別館1階)
入場無料
お問い合わせ先:慶応義塾大学アート・センター
       Tel. 03-5427-1621
       E-mail. ac-tenji@adst.keio.ac.jp
戦後の前衛芸術家として今日まで多彩な活動をしている池田さんが、タケミヤ画廊や瀧口修造との思い出、1950年代の美術界などについてトークします。


■池田龍雄(いけだ・たつお)1928(昭和3)年、佐賀県伊万里市生まれ。1948年多摩造形芸術専門学校(現・多摩美術大学)に入学。まもなくアヴァンギャルド芸術運動に参加。タケミヤ画廊では1955年に個展を開催。その後多数の個展、展覧会を各地で開催する。

*池田さんには、ときの忘れもので1月に開催した「瀧口修造展 I」でギャラリートークをしていただきました。

◆ときの忘れものでは2014年3月12日[水]―3月29日[土]まで「瀧口修造展 IIを開催します。本展ではデカルコマニー30点をご覧いただきます。
●イベントのご案内
3月15日(土)18時より、大谷省吾さん(東京国立近代美術館主任研究員)によるギャラリートークを開催します。
※要予約(会費1,000円)