アートフェア東京2014レポート ~作品紹介編1~


アートフェア東京2014レポートの第二回は、新澤レポート恒例の出展作品紹介です。前回のART EDITION 2013ではひたすら画像を表示するばかりでしたので、今回は数を絞ってコメント付きで自分が特に気に入った作品をご紹介させていただきます。例によって自分の独断と趣味に偏ったセレクションであることを予めご了承ください。
ツァイト・フォト・サロン(東京)
北井一夫
《下北半島》
1970
北井一夫
シリーズ<村へ>より
《稲刈りのあと 岩手沢内村》
1973
都会生まれの都会育ちでも、思わず「ああ、故郷ってこんな感じなのかな」と感じてしまうような、日本人の原風景を捉えた作品群です。丁度先月ときの忘れものでも西村多美子写真展が開催されたばかりで、自然と強く印象に残りました。
KAYOKO Y UKI(東京)
今村洋平
2014
シルクスクリーン、油インク
立体のように見える平面作品…ではなく、色の層を幾つも幾つも重ねて立体を構築しているという我慢と根気の結晶のような作品です。表面のあちこちに気泡の発生によってできた無数の穴があるのですが、これがまた人の手では再現できないスケールの構造を作り出しており、じっくりと眺めていても不思議と飽きない一品です。
山本現代(東京)
田中圭介
《吐景》
2014
樟にアクリル絵の具
角材となった樟からこぼれ出る小さな森林、リサイクルテーマかなー爽やかだなーと感じ入りつつ題名に目をやり、《吐景》の二文字を見た瞬間、イメージが終電間近の駅のベンチを占拠して寝ゲロを吐く中年サラリーマンに固定されてしまいました。言葉の力ってムゴイ…もといスゴイ。
田中圭介
《見晴らしのいい場所》
2007
樟にアクリル
木の覆い茂る断崖絶壁の中腹にポツンと佇む墓石。イメージ的にも確かに見晴らしのいい場所ですが、この作品、二枚目の画像を見ればご理解いただけるように彫刻部分の上下1mづつ角材状態で素材が伸びており、物理的にも見晴らしがよくなっています。

株式会社 幻冬舎
西野亮廣
絵本「Zip&Candy -ロボットたちのクリスマス-」より掲載イラスト原画
20を超えるページを0.03mmのペン一本で、細かいところまで描き込んだ、良くぞここまでと言うべきか何でここまでと言うべきかと迷う作品です。ちなみに1ページあたりにかかる時間は約一ヶ月だとか。

ART GALLERY X(東京)
井上裕起
”Salamander [FIGHTER]”
FRP、彩色
ファンタジー小説やゲームではよく登場する火トカゲことサラマンダーの立体作品…なのですが、これどう見ても翼の生えたウーパールーパーですよね、とツッコミを入れずにはおれない一品。しかしそれは早計でした。調べてみると、ウーパールーパーはそもそも1985年に日清焼そばU.F.O.のCMで登場した際に付けられた流通名であり、正式名称はメキシコサラマンダーというのだそうです。まぁいずれにせよ、「戦うもの」という副題からは程遠い面構えではありますね。
林茂樹
”1/2(half)○○#8”
磁気、接着剤、ステンレスねじ
赤い近未来バイクに赤ん坊、この二つの言葉だけで自分はSFアニメの金字塔「AKIRA」(原作:大友克洋)を想像せずにはいられません。それとは別に、この作品の接合部以外は全て磁気製というのも驚きです。ちなみにこの赤ん坊、というか幼児は作家さんの息子が成長した姿を想像したものだとか。
明日も引き続き、新澤の独断と偏見による作品紹介を続けさせていただきます。
お時間があればどうぞお付き合いください。
(しんざわ ゆう)
◆「アートフェア東京」は本日が最終日です。
内外多数のギャラリーが出展しています、どうぞお見逃しなく。

一般公開:2014年3月7日[金]―9日[日]
会場:東京国際フォーラム
ガラス棟地下2階、展示ホール1・2
ときの忘れものブースナンバー:L13
公式サイト:http://artfairtokyo.com/
出展作家:瑛九(油彩、フォトデッサン)、瀧口修造(デカルコマニー、水彩)、細江英公(写真)、井桁裕子(人形)、秋葉シスイ(油彩)
●ときの忘れものの出品作品からご紹介します。

瑛九 Q Ei
《林》
1959年
カンバスに油彩
130.4×97.3cm(F60)
サイン・年記あり
※日本経済新聞社『瑛九作品集』128ページ所収

瀧口修造 Shuzo TAKIGUCHI
デカルコマニー Decalcomania
Image size:9.7x13.6cm
Sheet size:9.9x13.6cm

瀧口修造 Shuzo TAKIGUCHI
デカルコマニー Decalcomania
Image size:12.5x8.6cm
Sheet size:19.2x13.1cm

細江英公 Eikoh HOSOE
《薔薇刑 作品32》"Ordeal by Roses #32"
1961年(printed later)
ゼラチンシルバープリント
20.0x30.0cm
サインあり

井桁裕子 Hiroko IGETA
《Fujita doll 精神分析医・藤田博史氏肖像》
2002年
石塑粘土、水彩、ガラス塗料
H45.0cm×2
-----------------------------
●本日のウォーホル語録
「愛に関して、もっともエキサイティングなことは、それをしないことだ。もし誰かと恋に落ちても、決して愛を交わさなければ、もっともっとわくわくする。人々が15歳でセックスについて学び、35歳で死んでいた頃、彼らは、8歳かそこらでセックスのことを知り、80歳まで生きる今日の人々より、明らかに悩みはずっと少なかっただろう。同じ問題、あいも変わらぬ退屈な問題をもて遊ぶには、人生は長い。
―アンディ・ウォーホル」
ときの忘れものでは4月19日~5月6日の会期で「わが友ウォーホル」展を開催しますが、それに向けて、1988年に全国を巡回した『ポップ・アートの神話 アンディ・ウォーホル展』図録から“ウォーホル語録”をご紹介して行きます。
『ポップ・アートの神話 アンディ・ウォーホル展』図録
1988年
30.0x30.0cm
56ページ
図版:114点収録
価格:3,150円(税込)※送料別途250円
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから


アートフェア東京2014レポートの第二回は、新澤レポート恒例の出展作品紹介です。前回のART EDITION 2013ではひたすら画像を表示するばかりでしたので、今回は数を絞ってコメント付きで自分が特に気に入った作品をご紹介させていただきます。例によって自分の独断と趣味に偏ったセレクションであることを予めご了承ください。
ツァイト・フォト・サロン(東京)

《下北半島》
1970

シリーズ<村へ>より
《稲刈りのあと 岩手沢内村》
1973
都会生まれの都会育ちでも、思わず「ああ、故郷ってこんな感じなのかな」と感じてしまうような、日本人の原風景を捉えた作品群です。丁度先月ときの忘れものでも西村多美子写真展が開催されたばかりで、自然と強く印象に残りました。
KAYOKO Y UKI(東京)

2014
シルクスクリーン、油インク

山本現代(東京)

《吐景》
2014
樟にアクリル絵の具
角材となった樟からこぼれ出る小さな森林、リサイクルテーマかなー爽やかだなーと感じ入りつつ題名に目をやり、《吐景》の二文字を見た瞬間、イメージが終電間近の駅のベンチを占拠して寝ゲロを吐く中年サラリーマンに固定されてしまいました。言葉の力ってムゴイ…もといスゴイ。

《見晴らしのいい場所》
2007
樟にアクリル
木の覆い茂る断崖絶壁の中腹にポツンと佇む墓石。イメージ的にも確かに見晴らしのいい場所ですが、この作品、二枚目の画像を見ればご理解いただけるように彫刻部分の上下1mづつ角材状態で素材が伸びており、物理的にも見晴らしがよくなっています。

株式会社 幻冬舎

絵本「Zip&Candy -ロボットたちのクリスマス-」より掲載イラスト原画
20を超えるページを0.03mmのペン一本で、細かいところまで描き込んだ、良くぞここまでと言うべきか何でここまでと言うべきかと迷う作品です。ちなみに1ページあたりにかかる時間は約一ヶ月だとか。

ART GALLERY X(東京)

”Salamander [FIGHTER]”
FRP、彩色
ファンタジー小説やゲームではよく登場する火トカゲことサラマンダーの立体作品…なのですが、これどう見ても翼の生えたウーパールーパーですよね、とツッコミを入れずにはおれない一品。しかしそれは早計でした。調べてみると、ウーパールーパーはそもそも1985年に日清焼そばU.F.O.のCMで登場した際に付けられた流通名であり、正式名称はメキシコサラマンダーというのだそうです。まぁいずれにせよ、「戦うもの」という副題からは程遠い面構えではありますね。

”1/2(half)○○#8”
磁気、接着剤、ステンレスねじ
赤い近未来バイクに赤ん坊、この二つの言葉だけで自分はSFアニメの金字塔「AKIRA」(原作:大友克洋)を想像せずにはいられません。それとは別に、この作品の接合部以外は全て磁気製というのも驚きです。ちなみにこの赤ん坊、というか幼児は作家さんの息子が成長した姿を想像したものだとか。
明日も引き続き、新澤の独断と偏見による作品紹介を続けさせていただきます。
お時間があればどうぞお付き合いください。
(しんざわ ゆう)
◆「アートフェア東京」は本日が最終日です。
内外多数のギャラリーが出展しています、どうぞお見逃しなく。

一般公開:2014年3月7日[金]―9日[日]
会場:東京国際フォーラム
ガラス棟地下2階、展示ホール1・2
ときの忘れものブースナンバー:L13
公式サイト:http://artfairtokyo.com/
出展作家:瑛九(油彩、フォトデッサン)、瀧口修造(デカルコマニー、水彩)、細江英公(写真)、井桁裕子(人形)、秋葉シスイ(油彩)
●ときの忘れものの出品作品からご紹介します。

瑛九 Q Ei
《林》
1959年
カンバスに油彩
130.4×97.3cm(F60)
サイン・年記あり
※日本経済新聞社『瑛九作品集』128ページ所収

瀧口修造 Shuzo TAKIGUCHI
デカルコマニー Decalcomania
Image size:9.7x13.6cm
Sheet size:9.9x13.6cm

瀧口修造 Shuzo TAKIGUCHI
デカルコマニー Decalcomania
Image size:12.5x8.6cm
Sheet size:19.2x13.1cm

細江英公 Eikoh HOSOE
《薔薇刑 作品32》"Ordeal by Roses #32"
1961年(printed later)
ゼラチンシルバープリント
20.0x30.0cm
サインあり

井桁裕子 Hiroko IGETA
《Fujita doll 精神分析医・藤田博史氏肖像》
2002年
石塑粘土、水彩、ガラス塗料
H45.0cm×2
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●本日のウォーホル語録
「愛に関して、もっともエキサイティングなことは、それをしないことだ。もし誰かと恋に落ちても、決して愛を交わさなければ、もっともっとわくわくする。人々が15歳でセックスについて学び、35歳で死んでいた頃、彼らは、8歳かそこらでセックスのことを知り、80歳まで生きる今日の人々より、明らかに悩みはずっと少なかっただろう。同じ問題、あいも変わらぬ退屈な問題をもて遊ぶには、人生は長い。
―アンディ・ウォーホル」
ときの忘れものでは4月19日~5月6日の会期で「わが友ウォーホル」展を開催しますが、それに向けて、1988年に全国を巡回した『ポップ・アートの神話 アンディ・ウォーホル展』図録から“ウォーホル語録”をご紹介して行きます。

1988年
30.0x30.0cm
56ページ
図版:114点収録
価格:3,150円(税込)※送料別途250円
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