誰もが人生の中で様々な出会いを持つ。或るものの出会いは強く印象に残り、他は忘却の彼方に消え去っていく。建築家の私も建築にかかわった中だけでも、様々な出会いに遭遇してきた。場所、建物、人、そして建築にまつわる事件……それらの多くは極めて離れた空間と時間の中の出来事であり、それぞれが私の記憶の室に収められている。しかし、何か一つの出来事が起きた時、それまで一見関係がなかったような記憶が室から引き出され、お互いに関連した一つの思考の世界を形づくっていく。
 最近、新国立競技場案がメディアに発表され、そのイメージを見た時に私の遠い場所と過去の出会いも含めて様々な出会いが鮮明に浮かび上がってきた。


槇文彦
「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」より

新国立競技場、何が問題か

槇文彦・大野秀敏=編著
『新国立競技場、何が問題か
オリンピックの17日間と神宮の杜の100年』

2014年 平凡社 198ページ
18.5x13.1cm
執筆:槇文彦、大野秀敏、元倉眞琴、古市徹雄、陣内秀信、宮台真司、吉良森子、越澤明、松隈洋、進士五十八、森まゆみ、長島孝一

昨秋から建築界だけではなく広く社会各方面の論議を呼び、10月11日に日本青年館で開催された「シンポジウム 新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」の模様を収録、それに関連した記事を収録した本が平凡社より刊行されました。
出版記念シンポジウムとパーティがときの忘れもののすぐ近くの建築家会館で開催されます。
一般の方も参加できるとのこと、関心あるかたはぜひどうぞ。

『新国立競技場、何が問題か』出版記念シンポジウム
総合司会 元倉真琴
一部:対談 槇文彦 大野秀敏 進行 古市徹雄
二部:出版記念パーティー

日時:2014年4月23日18:00~
会場:建築家会館1階大ホール
申込:先着順
費用:無料
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CIMG5254
2013年12月7日
宮脇愛子展レセプションにいらした槇文彦先生ご夫妻(左)と宮脇先生

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●ル・コルビュジエの新着作品をご紹介します。
ル・コル闘牛
ル・コルビュジエ Le Corbusier
《闘牛(牡牛)》
1963年
リトグラフ(カラー)
110.0×75.0cm
刷込サイン

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◆ときの忘れものは2014年4月19日[土]―5月6日[火 祝日]「わが友ウォーホル~氏コレクションより」を開催します(*会期中無休)。
ウォーホル展DM
日本で初めて大規模なウォーホル展が開催されたのは1974年(東京と神戸の大丸)でした。その前年の新宿マット・グロッソでの個展を含め、ウォーホル将来に尽力された大功労者がさんでした。
アンディ・ウォーホルはじめ氏が交友した多くの作家たち、ロバート・ラウシェンバーグ、フランク・ステラ、ジョン・ケージ、ナム・ジュン・パイク、萩原朔美、荒川修作、草間彌生らのコレクションを出品します。

●イベントのご案内
4月25日(金)18時より、ジョナス・メカス監督「ファクトリーの時代」の上映会を開催します(※要予約/参加費1,000円)。
※必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申込ください。

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本日のウォーホル語録

<今、ぼくのことを、最低6人の「お供」を引き連れてパーティ会場に出向き、メディアの注目を浴びた60年代のパーティ荒し、と想像する人は、まあこの人は自分のことを「孤独」だなんてよくも言えるものだと思われるだろうけど、ぼくが本気でそう思い、どう本当なのか、説明させてほしい。ぼくの人生で、いちばん友だちといたいと思い、真の友情を切望していたときに、それを受け止めてくれる人はいなかった。本当にひとりぽっちだったときが、実はいちばんひとりでいたくなかったときだった。そして、もう、ひとりでいたほうがいい、悩みを分かちあえる人もいなくていい、と決めたそのときになって、人生で今までに会ったこともないような誰かれもが、ぼくを追っかけはじめ、もう聞くなんていい考えだとは思えないとちょうど決めたばかりの彼らの悩みをぼくに話しはじめたのだ。
―アンディ・ウォーホル>


ときの忘れものでは4月19日~5月6日の会期で「わが友ウォーホル~氏コレクションより」展を開催しますが、それに向けて、1988年に全国を巡回した『ポップ・アートの神話 アンディ・ウォーホル展』図録から“ウォーホル語録”をご紹介して行きます。