「画廊まわり」という言葉がある。美術愛好者、学芸員、ジャーナリストをはじめとする美術関係者、美術家、デザイナー、美術を学ぶ学生たちが、毎週開かれている画廊での主要な展覧会を効率よく見て回ることである。大阪では、とりわけ貸画廊がその一役を担っていることは誰もが認めるだろう。信濃橋画廊(2010年度閉廊)、ギャラリー白そして番画廊がその代表格である。
<番画廊とともに>
河﨑晃一(甲南女子大学教授・元兵庫県立美術館館長補佐)
~~~~
画廊の運営形態としては、「企画画廊」と「貸し画廊」に大きく区分することが一般的であり、番画廊は後者の「貸し画廊」と考えられているが、実際はそう単純なものではない。例えば、泉茂展などはその代表的なもので、作家の生前中は無論のこと、没後にも画廊主催で繰り返し企画展が開かれている。
(中略)
今回の資料集をまとめてみて、番画廊、そして松原光江さんが、多岐にわたって関西の現代美術の現場を支えてこられたことを改めて実感するとともに、750名超す京阪神を中心とした現代美術を志向する作家たちの活動の場として、積極的に寄与されてきたことに深く敬意を表する次第である。
最後に、この『番 33』が一画廊の記録集にとどまらず、1979年以降の関西の現代美術の一断面を証言する記録集として、皆様に活用していただければ幸いである。
<編集後記にかえて>
三木哲夫(兵庫陶芸美術館館長)
------------------------
1979年6月に<泉茂・三尾公三・元永定正3人展>で開廊した大阪の番画廊のオーナー松原光江さんが昨年10月死去されたことはこのブログでも少し書きました。
「番画廊」というユニークな名称は「様々な作家が順『番』に展示する作品の『番』をしたい」という松原さんの初心がこめられていました。
オーナーの死去(享年68)により、34年間のギャラリー活動は終焉しましたが、1600回に及んだその活動記録が出版されました。

『番33 plus one 番画廊1979-2013記録集』
2014年
番33記録集編集委員会 発行
134ページ
21.0x29.7cm
限定250部






『番33 plus one 番画廊1979-2013記録集』
番33記録集編集委員会
発起人
河﨑晃一 川島慶樹 岸野裕人 坂井淳二 菅谷富夫
中馬泰文 濱田弘明 三木哲夫 安井寿磨子
事務局
菅谷富夫 河﨑晃一 安井寿磨子 川島慶樹
連絡担当
中馬泰文 安井寿磨子
編集委員
三木哲夫 河﨑晃一 岸野裕人 菅谷富夫
design staff
中馬泰文 濱田弘明 坂井淳二
assist compilation
松谷博子 青木孝弘 松本まゆか
---------------------
まず、関西の現代美術史の断面を彩る貴重な資料をまとめられた上掲の皆さんに深い敬意を表します。
大阪・西天満のレトロな建物、大江ビルヂング(大正10年建築)の一階にあった「番画廊」の扉上の看板の文字は、グラフィックデザイナーの早川良雄さんのデザインでした。
亭主は行けませんでしたが、最後の展覧会「サ・ヨ・ナ・ラ bangarow」は昨年末12月23~25日に開かれ、今までここで展覧会を開いてきた作家ら約300人が出品し、「さよなら三角、またきて四角」の言葉になぞらえて10センチ角の小作品が展示されました。
亭主がお手伝いした展覧会も磯崎新、若林奮、永井桃子などいくつもありますが、あらためて生前のご厚情を感謝するとともに、松原さんのご冥福を祈ります。
松原さん、ありがとうございました。
--------------------------
●番画廊で展示した磯崎新先生の作品をご紹介します。
磯崎新 Arata ISOZAKI
「闇 2」
1999年 シルクスクリーン
イメージサイズ:58.3×77.0cm
シートサイズ:70.0×90.0cm
Ed.35 サインあり
磯崎新 Arata ISOZAKI
「影 1」
1999年 シルクスクリーン
イメージサイズ:58.3×77.0cm
シートサイズ:70.0×90.0cm
Ed.35 サインあり
磯崎新 Arata ISOZAKI
「霧 1」
1999年 シルクスクリーン
イメージサイズ:58.3×77.0cm
シートサイズ:70.0×90.0cm
Ed.35 サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
◆ときの忘れものは2014年4月19日[土]―5月6日[火 祝日]「わが友ウォーホル~X氏コレクションより」を開催しています(*会期中無休)。

日本で初めて大規模なウォーホル展が開催されたのは1974年(東京と神戸の大丸)でした。その前年の新宿マット・グロッソでの個展を含め、ウォーホル将来に尽力された大功労者がXさんでした。
アンディ・ウォーホルはじめX氏が交友した多くの作家たち、ロバート・ラウシェンバーグ、フランク・ステラ、ジョン・ケージ、ナム・ジュン・パイク、萩原朔美、荒川修作、草間彌生らのコレクションを出品します。
●イベントのご案内
4月25日(金)18時より、ジョナス・メカス監督「ファクトリーの時代」の上映会を開催します(※要予約/参加費1,000円)。
※必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申込ください。
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●本日のウォーホル語録
<ファクトリーというのは、自分の「問題」を見せることができて、なおかつ誰もそのためにあなたを嫌ったりしないところだった。そして、もしあなたが自分の問題を日常の中で人が楽しめるほど盛り上げることができれば、みんなは、あなたが人とは違う奴だ、と充分に主張できるあなたの強さに対して、ますますあなたを気に入ってくれ、実際楽しむのだ。つまり、ファクトリーには何ひとつ偽善はなかったってことだ。そして思うに、ぼくらがこんなにも猛烈に攻撃されたのは、ぼくらが、常識を受け入れ、偽善者的に、本当の自分を隠してふるまうのを拒否したからだ。それは本当に、古いステレオタイプの生き方にとどまっていて欲しいと望んだたくさんの人々を怒らせた。「この手のイメージゲームを演ずる人たちは、いったい、世の中の、持ち合わせの役割に適応できない全ての哀れな人々のことを思いやったことがあるんだろうか?」と、ぼくはしょっちゅういぶかしんだものだ。もちろん、人々は、そこでは「何でもかでもアリ」だったものだから、ファクトリーは堕落している、と言ったものだが、ぼくは、すごくいいことだと思っている。たとえば、ある男が、2人の男がファックしているのを目撃したとすると、彼は2つのことを発見することになる――そのことで、彼がその気になったかならないかだ。それで、彼は生きていくうえで、どっちに立つか知ることになる。ぼくは、人は絶対的に全てを見て、それから自分で決めるべきだと思っている。誰かに決めてもらうのではなくね。別にそのことがどうなったであれ、ファクトリーは明らかに、多くの人の、決断の役にたった。
―アンディ・ウォーホル>
ときの忘れものでは4月19日~5月6日の会期で「わが友ウォーホル~X氏コレクションより」展を開催しますが、それに向けて、1988年に全国を巡回した『ポップ・アートの神話 アンディ・ウォーホル展』図録から“ウォーホル語録”をご紹介して行きます。
『ポップ・アートの神話 アンディ・ウォーホル展』図録
1988年
30.0x30.0cm
56ページ
図版:114点収録
価格:3,240円(税込)※送料別途250円
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<番画廊とともに>
河﨑晃一(甲南女子大学教授・元兵庫県立美術館館長補佐)
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画廊の運営形態としては、「企画画廊」と「貸し画廊」に大きく区分することが一般的であり、番画廊は後者の「貸し画廊」と考えられているが、実際はそう単純なものではない。例えば、泉茂展などはその代表的なもので、作家の生前中は無論のこと、没後にも画廊主催で繰り返し企画展が開かれている。
(中略)
今回の資料集をまとめてみて、番画廊、そして松原光江さんが、多岐にわたって関西の現代美術の現場を支えてこられたことを改めて実感するとともに、750名超す京阪神を中心とした現代美術を志向する作家たちの活動の場として、積極的に寄与されてきたことに深く敬意を表する次第である。
最後に、この『番 33』が一画廊の記録集にとどまらず、1979年以降の関西の現代美術の一断面を証言する記録集として、皆様に活用していただければ幸いである。
<編集後記にかえて>
三木哲夫(兵庫陶芸美術館館長)
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1979年6月に<泉茂・三尾公三・元永定正3人展>で開廊した大阪の番画廊のオーナー松原光江さんが昨年10月死去されたことはこのブログでも少し書きました。
「番画廊」というユニークな名称は「様々な作家が順『番』に展示する作品の『番』をしたい」という松原さんの初心がこめられていました。
オーナーの死去(享年68)により、34年間のギャラリー活動は終焉しましたが、1600回に及んだその活動記録が出版されました。

『番33 plus one 番画廊1979-2013記録集』
2014年
番33記録集編集委員会 発行
134ページ
21.0x29.7cm
限定250部






『番33 plus one 番画廊1979-2013記録集』
番33記録集編集委員会
発起人
河﨑晃一 川島慶樹 岸野裕人 坂井淳二 菅谷富夫
中馬泰文 濱田弘明 三木哲夫 安井寿磨子
事務局
菅谷富夫 河﨑晃一 安井寿磨子 川島慶樹
連絡担当
中馬泰文 安井寿磨子
編集委員
三木哲夫 河﨑晃一 岸野裕人 菅谷富夫
design staff
中馬泰文 濱田弘明 坂井淳二
assist compilation
松谷博子 青木孝弘 松本まゆか
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まず、関西の現代美術史の断面を彩る貴重な資料をまとめられた上掲の皆さんに深い敬意を表します。
大阪・西天満のレトロな建物、大江ビルヂング(大正10年建築)の一階にあった「番画廊」の扉上の看板の文字は、グラフィックデザイナーの早川良雄さんのデザインでした。
亭主は行けませんでしたが、最後の展覧会「サ・ヨ・ナ・ラ bangarow」は昨年末12月23~25日に開かれ、今までここで展覧会を開いてきた作家ら約300人が出品し、「さよなら三角、またきて四角」の言葉になぞらえて10センチ角の小作品が展示されました。
亭主がお手伝いした展覧会も磯崎新、若林奮、永井桃子などいくつもありますが、あらためて生前のご厚情を感謝するとともに、松原さんのご冥福を祈ります。
松原さん、ありがとうございました。
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●番画廊で展示した磯崎新先生の作品をご紹介します。

「闇 2」
1999年 シルクスクリーン
イメージサイズ:58.3×77.0cm
シートサイズ:70.0×90.0cm
Ed.35 サインあり

「影 1」
1999年 シルクスクリーン
イメージサイズ:58.3×77.0cm
シートサイズ:70.0×90.0cm
Ed.35 サインあり

「霧 1」
1999年 シルクスクリーン
イメージサイズ:58.3×77.0cm
シートサイズ:70.0×90.0cm
Ed.35 サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
◆ときの忘れものは2014年4月19日[土]―5月6日[火 祝日]「わが友ウォーホル~X氏コレクションより」を開催しています(*会期中無休)。

日本で初めて大規模なウォーホル展が開催されたのは1974年(東京と神戸の大丸)でした。その前年の新宿マット・グロッソでの個展を含め、ウォーホル将来に尽力された大功労者がXさんでした。
アンディ・ウォーホルはじめX氏が交友した多くの作家たち、ロバート・ラウシェンバーグ、フランク・ステラ、ジョン・ケージ、ナム・ジュン・パイク、萩原朔美、荒川修作、草間彌生らのコレクションを出品します。
●イベントのご案内
4月25日(金)18時より、ジョナス・メカス監督「ファクトリーの時代」の上映会を開催します(※要予約/参加費1,000円)。
※必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申込ください。
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●本日のウォーホル語録
<ファクトリーというのは、自分の「問題」を見せることができて、なおかつ誰もそのためにあなたを嫌ったりしないところだった。そして、もしあなたが自分の問題を日常の中で人が楽しめるほど盛り上げることができれば、みんなは、あなたが人とは違う奴だ、と充分に主張できるあなたの強さに対して、ますますあなたを気に入ってくれ、実際楽しむのだ。つまり、ファクトリーには何ひとつ偽善はなかったってことだ。そして思うに、ぼくらがこんなにも猛烈に攻撃されたのは、ぼくらが、常識を受け入れ、偽善者的に、本当の自分を隠してふるまうのを拒否したからだ。それは本当に、古いステレオタイプの生き方にとどまっていて欲しいと望んだたくさんの人々を怒らせた。「この手のイメージゲームを演ずる人たちは、いったい、世の中の、持ち合わせの役割に適応できない全ての哀れな人々のことを思いやったことがあるんだろうか?」と、ぼくはしょっちゅういぶかしんだものだ。もちろん、人々は、そこでは「何でもかでもアリ」だったものだから、ファクトリーは堕落している、と言ったものだが、ぼくは、すごくいいことだと思っている。たとえば、ある男が、2人の男がファックしているのを目撃したとすると、彼は2つのことを発見することになる――そのことで、彼がその気になったかならないかだ。それで、彼は生きていくうえで、どっちに立つか知ることになる。ぼくは、人は絶対的に全てを見て、それから自分で決めるべきだと思っている。誰かに決めてもらうのではなくね。別にそのことがどうなったであれ、ファクトリーは明らかに、多くの人の、決断の役にたった。
―アンディ・ウォーホル>
ときの忘れものでは4月19日~5月6日の会期で「わが友ウォーホル~X氏コレクションより」展を開催しますが、それに向けて、1988年に全国を巡回した『ポップ・アートの神話 アンディ・ウォーホル展』図録から“ウォーホル語録”をご紹介して行きます。

1988年
30.0x30.0cm
56ページ
図版:114点収録
価格:3,240円(税込)※送料別途250円
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