先日、外苑前に在る画廊、ときの忘れものを訪れたとき、主人の綿貫不二夫さんから、美術評論家の久保貞次郎さんの処に、私の字の作品が数点あるという話を伺った。
確かに久保さんが、字の作品を1点、買い上げてくださったことは覚えているが、数点となると分らない。
 買い上げてくれることは若い作家には、大きな励みになる。
 美術評論家久保貞次郎さんは、学長をしていた跡見女子大に、私を呼んでくれて、友人のアメリカ人の女性と二人で朗唱を行わせてくれたこともあった。
この時、有楽町西武に在ったミッソーニから、彼女の衣装を借りての公演だった。
衣装:協力ミッソーニ,と紹介すると、教場が大歓声に包まれた。
終わるとギャラとヘンリー・ミラーの版画を二人にくださった。
 しかし、字作品を買われたことは、一度も久保さんの口から、聞いた覚えがないのだ。
一点は、1988年 銀座 夢土画廊で開催した「源初展」に、出品された作品のはずだ。参加作家は大沢昌助(画家)・村井正誠(画家)・中川幸夫(いけばな作家)・砂澤ビッキ(彫刻家)・酒井忠康(評論家)・天童大人<三童人>(詩人)の六作家。
今では、酒井忠康と私しか生き残っていない。

天童大人さんのfacebookより)
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ただいま開催中の「第25回 瑛九展 瑛九と久保貞次郎」では、瑛九と時代を共にし、久保貞次郎先生が支持した作家たちの作品を展示しています。
とはいえ、久保先生が支持した(つまり買った)作家は膨大な数にのぼりとても一度や二度では紹介しきれません。
地味な展覧会ですが、久保先生の跡見の教え子さんはじめ、久保先生にお世話になった方が各地から来廊されています。
上掲の詩人・朗唱家・字家の天童大人さんもそのお一人です。
支持することは買うことだ」というのが、久保先生の教えでした。
とにかく有名無名を問わず、いいと思ったら先ず買う、というのが久保流で、だからといって恩着せがましく作家に言うこともない。
天童さんが<確かに久保さんが、字の作品を1点、買い上げてくださったことは覚えているが、数点となると分らない。>とおっしゃるので、ここは証拠を見せねばなりませんね。
天童大人「無一物」天童大人詩

2点とも久保貞次郎先生旧蔵の天童さんの作品です。
天童さん、この作品、間違いないですよね。
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CIMG5665来廊された久保先生の教え子たち。
授業の様子はコチラをお読みください。

◆ときの忘れものは2014年6月11日[水]―6月28日[土]「第25回 瑛九展 瑛九と久保貞次郎」を開催しています(*会期中無休)。
DM
大コレクター久保貞次郎は瑛九の良き理解者であり、瑛九は久保の良き助言者でした。
遺された久保コレクションを中心に、瑛九と時代を共にし、久保が支持した作家たちー北川民次、オノサト・トシノブ、桂ゆき、磯辺行久、靉嘔、瀧口修造、駒井哲郎、細江英公、泉茂、池田満寿夫らの油彩、水彩、オブジェ、写真、フォトデッサン、版画などを出品します。
また5月17日に死去した木村利三郎の作品を追悼の心をこめて特別展示します。