<先日、会社休んで、栃木県立美術館に、行きました。
久保氏らの前衛版画は、なかなかよかった。あのような、学芸力の高い企画は、素晴らしい。最近は、客集めだけが目的の企画が巷多いけど、客が入らなくて良いので、学芸力の高い企画を、切に、願います。
宇都宮の餃子を、食べてきました。
初めて、栃木県美術館に行きましたが、良い感じでした。意外に古いようで、メンテナンスが大変だと美術館の方が言っていました。保田春彦、多田美波、清水九兵衛、関根伸夫らの野外彫刻も、堪能させていただきました。勿論、本題の、瑛九、靉嘔、池田満寿夫らの版画も、秀逸ですが。また、よろしく。>
(Iさんからのメールより)
Iさんが出かけた宇都宮の栃木県立美術館では「真岡発:瑛九と前衛画家たち展―久保貞次郎と宇佐美コレクションを中心に」が6月22日[日]まで開催されています。
展示風景はユーチューブでご覧になれます。
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◆久保貞次郎のエッセイ~靉嘔(1966年執筆)
靉嘔近作展によせて
久保貞次郎
謎を秘めたような名をもったこの青年の大作「田園」が、一九五六年、読売アンデパンダン展に出されたとき、瑛九がこの無名の画家の仕事は注目すべきだと告げたので、ぼくは会場にいき、黄色い背景に、裸の男女が二人ずつ、肩をくんで脚をあげ、遠く地平線のかなたまでひろがって並ぶ群像の前に立って、グロテスクな印象のなかに、大胆、明快、自由さを感じて、その絵が新しい時代の象徴のように思われ、これを買おうと決心した。それからぼくはかれに近づいた。
二年たって、ニューヨークに渡ったかれから、ときどき送られてくるかれの作品は、そのたびにぼくを驚かせ、とまどいさせ、眉をひそめさせたが、時間がたつと、それらは豊かで、着実な思想のこもった緊密さをもって迫ってくるのだった。
一九六六年六月、ベネチアの日本館で、すでにニューヨークで七か月を費して制作した「虹のエンバイラメントNo.3、あるいはベニスの虹の触覚の部屋」を構築するために、十数日大工のように多種類の器具を使い、汗にまみれて、激しい肉体労働をするかれを、ぼくは見た。
最近、ぼくのところに送られてきたイタリアの一新聞は、ベネチア・ビエンナーレ展は、一八万一三八三人の入場者をえて十月十六日終了したが、全会場でもっとも公衆の興味をひいたのは、アルゼンチンのル・パルクの 「ゲーム」と、日本の靉嘔の 「穴」 であった、と報じている。
(くぼさだじろう)
(一九六六年 靉嘔近作展目録 南画廊)
『久保貞次郎 美術の世界2 瑛九と仲間たち』(1985年、叢文社)より転載
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●第25回 瑛九展 瑛九と久保貞次郎」出品作品を順次ご紹介します。

出品No.26)
靉嘔
「move by raibow an animale! #13」
1963年
オブジェ
47.2x47.9x17.2cm
Signed
出品No.27)
靉嘔
「I love you」
1974年
シルクスクリーン
53.0x34.0cm
Ed.11,111 Signed
出品No.28)
靉嘔
「I love you」ユニークバージョン
シルクスクリーン
61.1x44.2cm
Ed.1 Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
◆ときの忘れものは2014年6月11日[水]―6月28日[土]「第25回 瑛九展 瑛九と久保貞次郎」を開催しています(*会期中無休)。

大コレクター久保貞次郎は瑛九の良き理解者であり、瑛九は久保の良き助言者でした。
遺された久保コレクションを中心に、瑛九と時代を共にし、久保が支持した作家たちー北川民次、オノサト・トシノブ、桂ゆき、磯辺行久、靉嘔、瀧口修造、駒井哲郎、細江英公、泉茂、池田満寿夫らの油彩、水彩、オブジェ、写真、フォトデッサン、版画などを出品します。
また5月17日に死去した木村利三郎の作品を追悼の心をこめて特別展示します。
久保氏らの前衛版画は、なかなかよかった。あのような、学芸力の高い企画は、素晴らしい。最近は、客集めだけが目的の企画が巷多いけど、客が入らなくて良いので、学芸力の高い企画を、切に、願います。
宇都宮の餃子を、食べてきました。
初めて、栃木県美術館に行きましたが、良い感じでした。意外に古いようで、メンテナンスが大変だと美術館の方が言っていました。保田春彦、多田美波、清水九兵衛、関根伸夫らの野外彫刻も、堪能させていただきました。勿論、本題の、瑛九、靉嘔、池田満寿夫らの版画も、秀逸ですが。また、よろしく。>
(Iさんからのメールより)
Iさんが出かけた宇都宮の栃木県立美術館では「真岡発:瑛九と前衛画家たち展―久保貞次郎と宇佐美コレクションを中心に」が6月22日[日]まで開催されています。
展示風景はユーチューブでご覧になれます。
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◆久保貞次郎のエッセイ~靉嘔(1966年執筆)
靉嘔近作展によせて
久保貞次郎
謎を秘めたような名をもったこの青年の大作「田園」が、一九五六年、読売アンデパンダン展に出されたとき、瑛九がこの無名の画家の仕事は注目すべきだと告げたので、ぼくは会場にいき、黄色い背景に、裸の男女が二人ずつ、肩をくんで脚をあげ、遠く地平線のかなたまでひろがって並ぶ群像の前に立って、グロテスクな印象のなかに、大胆、明快、自由さを感じて、その絵が新しい時代の象徴のように思われ、これを買おうと決心した。それからぼくはかれに近づいた。
二年たって、ニューヨークに渡ったかれから、ときどき送られてくるかれの作品は、そのたびにぼくを驚かせ、とまどいさせ、眉をひそめさせたが、時間がたつと、それらは豊かで、着実な思想のこもった緊密さをもって迫ってくるのだった。
一九六六年六月、ベネチアの日本館で、すでにニューヨークで七か月を費して制作した「虹のエンバイラメントNo.3、あるいはベニスの虹の触覚の部屋」を構築するために、十数日大工のように多種類の器具を使い、汗にまみれて、激しい肉体労働をするかれを、ぼくは見た。
最近、ぼくのところに送られてきたイタリアの一新聞は、ベネチア・ビエンナーレ展は、一八万一三八三人の入場者をえて十月十六日終了したが、全会場でもっとも公衆の興味をひいたのは、アルゼンチンのル・パルクの 「ゲーム」と、日本の靉嘔の 「穴」 であった、と報じている。
(くぼさだじろう)
(一九六六年 靉嘔近作展目録 南画廊)
『久保貞次郎 美術の世界2 瑛九と仲間たち』(1985年、叢文社)より転載
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●第25回 瑛九展 瑛九と久保貞次郎」出品作品を順次ご紹介します。


靉嘔
「move by raibow an animale! #13」
1963年
オブジェ
47.2x47.9x17.2cm
Signed

靉嘔
「I love you」
1974年
シルクスクリーン
53.0x34.0cm
Ed.11,111 Signed

靉嘔
「I love you」ユニークバージョン
シルクスクリーン
61.1x44.2cm
Ed.1 Signed
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◆ときの忘れものは2014年6月11日[水]―6月28日[土]「第25回 瑛九展 瑛九と久保貞次郎」を開催しています(*会期中無休)。

大コレクター久保貞次郎は瑛九の良き理解者であり、瑛九は久保の良き助言者でした。
遺された久保コレクションを中心に、瑛九と時代を共にし、久保が支持した作家たちー北川民次、オノサト・トシノブ、桂ゆき、磯辺行久、靉嘔、瀧口修造、駒井哲郎、細江英公、泉茂、池田満寿夫らの油彩、水彩、オブジェ、写真、フォトデッサン、版画などを出品します。
また5月17日に死去した木村利三郎の作品を追悼の心をこめて特別展示します。
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