スタッフSの海外ネットサーフィン No.18

ソウル発:スタッフSのKIAF/14レポート その3


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読者の皆様こんばんわ。KIAF/14も無事終了し、懸念していた帰国当日の納品もスムーズに終わり、日本に帰り着き税関を通過した所で家の鍵を失くしていたことに気付いたスタッフSこと新澤です。帰り道に管理会社からスペアの鍵が借りられたので大事にはなりませんでしたが、流石に気付いた瞬間はイヤな汗が出ました。

さて、そんな阿呆な私事は置いておきまして、アートフェアレポート恒例、スタッフSの作品紹介のお時間です。
去年一昨年とKIAFは規模の大きさを理由に大量の画像を掲載するだけでしたが、流石に横着が過ぎると亭主に怒られたので(あれだけの数の画像を掲載するのは、アレはアレで手間なのですが)数を絞ってコメント付での紹介です。

それではお時間のある方はお付き合いください。
なお、画廊名と作家名は敬称を略しております。

RIMG1800_600DURU ART SPACE (韓国・ソウル)
Lim Chae wook
"Seorak 3D1401"

紙に印刷した風景の内容に沿って紙に凹凸を付けて立体化した作品。切り抜いて重ね合わせたりはせず、あくまでも一枚の紙として造形されています。

RIMG1817_600BAUDOIN LEBON (フランス・パリ)
Shin Sung-hy
《(タイトル不明)》

着彩したカンバスに細長い切れ目を入れて、それらを互いに結び合わせている作品。近くによって見てみると積層構造になっており、カンバスの内側にも無数の結び目が連なっています。

RIMG1832_600ELEMENT ART SPACE (シンガポール)
Erianto
"Mencari Tengah, 2013"

一般公開中にも関わらずブース内にあるのは未開封の木箱だけ。ところが寄って見ると実は木箱の形のカンバスに描かれたアクリル画という作品。コーションシールにはイスラム教の教えの一文が書かれていました。
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RIMG1836_600GALLERY DOLL (韓国・ソウル)
Ha, Myoung Eun
《(タイトル不明)》

2012年にときの忘れもので個展を開催したハ・ミョンウン(河明殷)さんのブラシシリーズ。また日本での個展を開催するため、現在企画が進行中です。
RIMG1837_600
RIMG1796_600お忙しい中、ときの忘れものブースに旦那様とご挨拶に来てくださいました。
野口琢郎の新作を背景に作家の秋葉シスイさんと記念に一枚。

RIMG1844_600GALERIE BHAK (韓国・ソウル)
Han, YoungWook
"strangers"

縦2.6×幅8.8mという、文字通り壁一面を埋め尽くす超大型作品。この作家の作品はどれも不思議な光沢があるので何かと思っていたのですが、カンバスではなくアルミの板に油彩を塗り、それを引っかいて地肌を覗かせているからでした。

RIMG1857_600GALLERY YEH (韓国・ソウル)
Julian Opie
"Student" (左)
"Detective" (右)

見る角度によって画像が変わり、コマ撮りアニメのように人物画が歩いているように見えるレンティキュラー作品。この作家に限らず、KIAFにはこの技法を使う作家が多い気がします。ちなみにこの作家、他の作品ではアイコン化された人物が次々と画面を横切っていく本当のアニメーション作品も制作されています。

RIMG1863_600RHO GALLERY (韓国・ソウル)
Kim Tae Ho
《(タイトル不明)》

複数の塗料を幾層も重ねて塗っていき、積み重なった色の層を削りだすことで何ともサイケな色合いを、色が混じりあうことなく実現している作品。左の作品は、乳白色の下に見える様々な色の組み合わせが金太郎飴を彷彿させます。
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RIMG1871_600BRUNO ART GROUP (シンガポール)
Arnaud Nazare-Aga
《(タイトル不明)》

全体的にコミカルさが目立つ丸々しい造形ですが、それだけではない美術作品としての雰囲気も併せ持つ逸品達。しかし何故に相撲なのか…

RIMG1902_600BICHA GALLERY (英国・ロンドン)
Christopher Boffoli
"Rock Candy Icefall" 他2点

個人的な今回イチオシのシリーズ。キャンディーの絶壁を登るクライマー、チョコに粉砂糖を撒く農家、潰されたベリーの検死を行う科研など。極小スケールを鮮明に撮影し、それを大きくプリントすることで被写体の大きさが曖昧になっている所が面白いです。
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RIMG1890_600THE PAGE GALLERY (韓国・ソウル)
Nam June Paik
"Photosynthesis II"

最後にご紹介するのはナム・ジュン・パイクの作品群です。今回はウチの画廊からも出品したせいか彼方此方で目に留まりました。なかでも一番大きかったのがこちら。
RIMG1825_600ART WORKS PARIS SEOUL (韓国・ソウル)
Nam June Paik
"Dharma Wheel Turns"
RIMG1847_600GALLERY EDEL (日本・大阪)
Nam June Paik
"A TRIBUTE to JOHN CAGE"

他にもパイク作品はまだあったのですが、残念ながら撮影禁止などで許可が出ませんでした。

社長夫妻不在の大型海外アートフェア、どうなることかとハラハラしておりましたが、どうにか無事終了でき、まずは一安心です。とはいえ、次は来月にシンガポール行きが控えており、まだまだ気は抜けません。以前住んでいたこともあり、英語圏であることもあって韓国よりは幾分気が楽と言えば楽なのですが…さてどうなることやら。

ともあれ、今回も自分の拙い文章にお付き合いいただきありがとうございました。
次回は26日の「スタッフSの海外ネットサーフィン」でお会いしましょう。

(しんざわ ゆう)

●今日のお勧め作品はKIAFでも好評だったナム・ジュン・パイクです。
パイク 板
ナム・ジュン・パイク Nam June Paik
作品
木・油彩
136.3x75.7cm
サインあり

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