スタッフSの海外ネットサーフィン No.22 「Claude Leveque - Sous le plus grand chapiteau du monde」

読者の皆様こんにちわ。今月に入って三回目のお目汚しとあって、流石に前口上のネタも尽きているスタッフSこと新澤です。いよいよ2014年も残す所1週間を切り、仕事も明日1日のみ、何とはなしにシンミリと…する前に年始の挨拶を考えなければなりません。さて来年は何を言ったものやら。

ここの所、現地レポート以外はイギリスに話題が偏っていたこの連載、今回は河岸を変えてフランス、パリの美術館、その中でも大御所中の大御所であるルーヴル美術館を取り上げさせていただきたいと思います。思えば連載開始当初は世界各地のマイナー美術館のマイナーイベント紹介みたいな感じで書いていたハズなのに、気付けば大英博物館だのオルセーだの、何故こうなってしまったのか…

Paris July 2011-27a.jpg
"Paris July 2011-27a" by Alvesgaspar - 投稿者自身による作品. Licensed under CC BY-SA 3.0 via ウィキメディア・コモンズ.


ともあれ、まずはルーヴルの背景から。
フランスの国立美術館であるルーヴル美術館(Musee du Louvre)は、世界最大級の美術館であると同時に、世界最大級の史跡のひとつでもあります。パリ中心部1区、セーヌ川の右岸に位置し、先史時代から19世紀までの様々な美術品35,000点近くが、総面積60,600平方メートルの展示場所で公開されています。世界で最も入場者数の多い美術館で、毎年800万人を超える入場者が訪れており、名実共に世界最高峰の美術館です。建物は12世紀に要塞として建設されたルーヴル城が基となっており、フランソワ1世以来フランス王の王宮として使用されてきましたが、1682年にルイ14世が自身の王宮にヴェルサイユ宮殿を選び、ルーヴル宮殿の主たる役割は1692年以来収集されてきた古代彫刻などの王室美術品コレクションの収蔵、展示場所となり、これが今日のルーヴル美術館の前身です。美術館として正式に開館したのは1793年のことで、この時には王室所有だった、あるいは教会財産から没収された絵画を中心として、537点の絵画が展示されていました。しかしながら、建物の構造上の問題から1796年にいったん閉館されており、1801年に再度開館しました。フランス皇帝ナポレオン1世が、諸国から美術品を収奪したことにより所蔵品は増大した時には、名前を一時「ナポレオン美術館」と改名したこともありました。現在ルーヴルのエントランスとして知られているルーヴル・ピラミッドは1983年に当時のフランス大統領ミッテランが推進した「パリ大改造計画」の一環である「大ルーヴル計画」によるもので、建築家イオ・ミン・ペイによって提案され、1988年に完成したものです。

20141226_louvre

そんなルーヴル・ピラミッドで来年の1月2日まで展示されているのが、フランスの造形芸術家クロード・レヴェック(Claude Leveque)によるネオンで造られた稲妻、正式名称"Sous le plus grand chapiteau du monde(世界一の天蓋の下で)"。ルーヴルではこれまでにもアンリ・ロワレット前館長の頃に企画された現代アートプログラムとして、2011年のトニー・クラッグ(Tony Cragg)、2012年のヴィム・デルボワ(Wim Delvoye)、そして2013年のロリス・グレオ(Loris Greaud)の作品を展示してきており、今回のクロード・レヴェックの展示は4期目となります。
1980年代から光や音を使い、時に挑戦的で時に詩的な作品を発表し続けるクロード・レヴェック。彼は日本でも2002年に水戸芸術館現代美術センター、2012年には越後妻有大地の芸術祭等に参加しており、2015年秋にはルーヴル美術館の中世要塞跡にて企画展の第二弾も予定されています。
ルーヴルと言えばレオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》やミロのヴィーナスサモトラケのニケ等の古典大作が目立ちますが、そんな場所に国家政策としてルーヴル・ピラミッドのようなデザインを導入し、尚且つそこで現代アートプログラムという企画を実行してしまう辺り、流石にパリの美的感覚は違うなぁと思わされます。

自分がときの忘れものに入社して、早いものでもう3年…経った割りに成長がまったく感じられませんが、来年も自分に出来る範囲で皆様にささやかな笑いを提供できればと思います。

それでは皆様、良いお年を。

(しんざわ ゆう)

ルーヴル美術館公式サイト:http://www.louvre.fr/en
現代アートプログラム紹介ページ:http://www.louvre.fr/en/expositions/contemporary-artclaude-leveque-sous-le-plus-grand-chapiteau-du-monde