野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第10回
Father/Son Hakuga Exhibition by Yasushi & Takuro NOGUCHI


京都での親子展が終わりました

先月のエッセイで告知させて頂いていました、京都で開催していた父との親子展、箔画 野口康・琢郎展、13日間の会期が無事に終了しました。
ご来場頂いた皆様、遠方から応援頂いた皆様には心より感謝致します。

会場風景1会場風景


会場風景2


会場風景3


会場風景4


2年ごとに開催しておりました親子展も今回が節目の3回目、今回も多くのお客様にご来場頂く事ができ、有り難い日々でした。
このギャラリーでの親子展開催は今回をもって終了となりますが、また数年経って親子展を開催したくなれば、実家の箔屋野口で開催してもいいかなと思っております。
親子で展示するというのは少し恥ずかしいような気がするものですが、なかなか経験できる事では無いと思うので、3回も開催できた事は幸せでした。

父と父と


今回の親子展に出展した作品の中でメインの大作は「Remember me」(200×110cm)という作品でした。
この作品に関して、完成した時にfacebookに書いた文章があるので、転用させて頂きます。

「Remember me」
忘れたくない風景というのはあるもので、その風景と共に忘れたくない記憶もあります。
でも、年月と共に記憶は薄れ、断片的に残るものもあれば、完全に忘れてしまう風景も、記憶もあって、
歳をとって、いつか自分の名前さえ忘れてしまう時も来るかもしれない。
そんな事を思いながら、この作品は、私にとってどうしても忘れたくない夕暮れの海の風景を描きました。

そして、いつか自分もこの世からいなくなる時は来るもの、その後100年も経てば存在そのものも世界から忘れられる。
でも、画家という仕事が幸せなのは、自分がこの世に生きた証を残せる事。
これからどれだけ名を残せる画家になれるかはわかりませんが、
せっかく画家をやっているのなら、没後100年後どこかの国で、好きな画家は?という質問をされた子供が、タクロウ ノグチと答えてくれたなら、がんばって作品を作った甲斐があったと、あの世で喜べるのかなと思います。

またはどこかの国で箔を使った作家の作品を観たお客さんが「クリムトみたいね」ではなく「ノグチみたいね」と言ったなら(笑)あの世でハハハと笑えるのかなと思います。

そんな夢も込めて、私を覚えていますか、私を思い出して、という意味を込めて、
大好きなバンド、くるりの曲の名をもらって「Remember me」と名付けました。

Remember me野口琢郎
「Remember me」
2015年
箔画
110x200cm サインあり


のぐち たくろう

野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。

●今日のお勧め作品は、野口琢郎です。
20150515_noguchi_02_mukouhe野口琢郎
「向こうへ」
2010年
箔画(木パネルに漆、金・銀・プラチナ箔、石炭)
130.0x227.0cm サインあり


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