関東は梅雨明けとなり、暑い日が続きますが、ときの忘れものでは7月25日(土)~8月8日(土)の会期で「オノサト・トシノブ展 初期具象から晩年まで」開催します。

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オノサト・トシノブ
「二つの丸 黒と赤」
1958年
油彩・キャンバス
16.2×23.2cm Signed

15
オノサト・トシノブ
「64-B」
1964年
リトグラフ
17.0x25.0cm
Ed.120 Signed

16
オノサト・トシノブ
「Silk-2」
1966年
シルクスクリーン
32.0x40.0cm
Ed.120 Signed
※レゾネNo.20


6月に開催した元永定正展と同様、随分と久しぶりになります。
前回のオノサト・トシノブ展は、2000年9月でしたから15年ぶりですね。

その間、オノサト作品を扱わなかったかというとそんなことは全くなく油彩、水彩、版画など、むしろ看板の瑛九以上にたくさん販売してきました。
そもそも亭主が美術界に入り現代版画センターを設立したとき、ご指導いただいた久保貞次郎先生はじめ小コレクター運動を展開していた方々が熱心に推していた現存作家はオノサト・トシノブ先生と靉嘔先生でした。
オノサト先生とほぼ同じ歳の瑛九は既に亡くなっていて亭主は会っていません。
亭主が生まれて初めて接し仕事をした「作家」はオノサト・トシノブ先生、靉嘔先生、そして現代版画センターのロゴマークを提供してくれた吉原英雄先生たちでした。
この三人の先生には美術のイロハ、版画の基本的な考え方を教わりました。

現代版画センターが発表した第一号の作品は靉嘔先生の「I love you」(1974年 シルクスクリーン Ed.11,111)という世界最大のエディションでしたが、同時に会員(現代版画センターは全国の会員たちによる共同版元を理念としてスタートしました)に贈る初年度のプレミアム作品はオノサト・トシノブ先生の10cm角の小品でした。
創立して間もない時期は、当然ながら自前のエディション作品はほとんどなく、各地で開催した展覧会「現代版画への招待展」の出品作品は、ほぼ全てが久保先生や小コレクター運動の尾崎正教先生たちから提供されたものでした。
中でもオノサト・トシノブ先生の版画作品が圧倒的に多かった。
当時(1974年)既に100種類近い版画作品をオノサト先生は制作されていましたが、各30部づつ計3,000点を買い取り、最初のコレクションとしました。
ですから、オノサト作品は売るほどありました。
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今回15年ぶりにオノサト展を開催するにあたっては、1934年の長崎風景をはじめとする戦前戦後の具象作品から、1950年代のベタ丸を経て晩年までの油彩、水彩、版画まで92点を用意しました。
狭い展示スペースに飾れっこないのに、なぜ92点も用意したかといいますと、数年前にあるお客様との間におこった苦いやりとりが亭主の胸にずっと残っていたからです。

上にくどくどしく書いたとおり、オノサト作品は「ときの忘れもの」にとってもコレクションの多数を占めており、いくらでも点数はあるのですが、あり過ぎるというのも考えもので、あまり多いと整理が追いつかず問い合わせや注文があっても直ぐに対応できない。

あるときメールで「オノサトの●●●はありますか」という問い合わせがありました。
それに対して当方から「あるはずですが倉庫の整理がつかず確認できません、見つかり次第お知らせします」とお答えしたのですが、その後も整理が進まず、そのお客様へのご案内もせずに時間がたってしまいました。
その一年後くらいでしたか、同じ方から再び「オノサトの●●●はありますか」という問い合わせがあり、こちらもうっかりしていて同じ方からだと気付かず、「あるはずですが倉庫の整理がつかず確認できません、見つかり次第お知らせします」とやってしまいました。お客様はかんかんで「あるあるといって実はないのだろう、今後一切おたくとは取引しない」という苦い結末になってしまいました。

とはいえ、毎月の企画、アートフェアへの出展、次から次へと入ってくる新たなコレクションの仕分けなどなど、日々の作業に追われるスタッフたちに迷路の如き倉庫に分け入り「昔のコレクションを整理せよ」と命じてもなかなか難しい。
15年ぶりにオノサト展を開催することによって、倉庫の整理作業を一挙に進め、とりあえず版画を中心に92点をピックアップしました。

会場が狭いので実際に展示するのは20数点ですが、お声をかけてくれればば全作品をご覧にいれます。
全92点のリストは本日21日夕方までにはホームページに掲載予定です
価格リストをご希望の方は、「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してメールにてお申し込みください。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから

●作家と作品については亭主の駄文「オノサト・トシノブの世界」をお読みください。