野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第14回

四度目のKIAFに向けて

10月頭にソウルで開催されるアートフェア KIAFに、4年連続でときの忘れものさんのブースから出展させて頂く事になりました。
いつもアートフェアには空や海の風景の作品や、LandscapeやHANABIなど、色々なタイプの作品を混合で出す事が多かったのですが、今回は統一感を出す為にも、空や海の風景の作品ばかり4点程を出展する事にしました。
青、赤、金、銀、色々な色の風景作品を出そうと思っています。
メインの大作は今春京都での親子展に出展した「Remember me」(110×200cm)で、他3点は新作になります。

2012年のKIAF2012年のKIAF


2013年のKIAF2013年のKIAF


2014年のKIAF2014年のKIAF


思い返せば2012年2月、翻訳家の木下哲夫さんにときの忘れものの綿貫さんご夫妻をご紹介頂き、初めてときの忘れものさんから出展させて頂いた展示が2012年の韓国でのアートフェアKIAFでした。
観るのも出すのも初めての海外アートフェア、KIAFは日本国内のフェアよりも規模が大きく、欧州のギャラリーの出展も多く、大作や著名な作家の高額な作品もあり、その迫力にただただ圧倒されていたのを今でもはっきりと覚えています。
しかし、その割には会場に毎日いる事なく、初めての韓国訪問だったのもあり、数日は観光に費やし、会期中に一足早く帰国していました。
今から思えば何故あんな余裕があったのか…多分自分の作品で勝負しに行っているという感覚が薄かったのかと思います。
今はフェアが始まると毎日ブースに張り付きながら、なかなか結果が出ないと血の気がひいてきて、笑えなくなります…
昨年のKIAFはなかなか厳しく、自分一人だけ結果が出ず、毎日様子を見にときの忘れものブースに来られていたギャラリーエデルの堀居さんに、最終日「野口、背中が泣いてるぞ!」と言われました 笑
もちろん売上だけが手応えや評価では無く、作家が売れる売れないにこだわりすぎるのも良くないのだと思いますが、やはり、出展させて頂いている恩をお返しする為にも、できる事ならば売上に貢献したいと、いつも思います。
そんな昨年のKIAFの最終日前日、日本の綿貫さんに、なかなか結果を出せない事の内容のメールをお送りした時、「勝敗は時の運、兵家も期すべからず。禍転じて福となす。大丈夫、あれだけいい作品を作れば、いいことがあります。」
とのお返事を頂き、とても救われ、感謝した事ははっきりと覚えています。

KIAF程に会場が広いと、すべての来場者の方が、180以上もあるすべてのブースをご覧になるわけではなく、もしも私の作品をとても好まれる方が来場されていたとしても、運悪く見逃される事はある事なので、やはり勝敗は時の運、まずは最善を尽くした良い作品を制作し、気負う事無く4度目のKIAFに臨みたいと思います。

Remember me野口琢郎
「Remember me」
2015年
箔画
110x200cm サインあり


のぐち たくろう

野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。

●今日のお勧め作品は、野口琢郎です。
20150915_noguchi_28_hope
野口琢郎
「Quiet hope」
2014年
箔画(木パネル、漆、金・銀箔、石炭、樹脂、透明アクリル絵具)
42.5x91.0cm
サインあり

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