中村茉貴「美術館に瑛九を観に行く」第9回
平塚市美術館「サラリーマンコレクターの知られざる名品 わの会展」
「わの会」とは、埋もれた美術品をコレクションし、作品公開と美術普及活動の推進を目的とする団体であり、2003年5月設立の「わたくし美術館の会」を経て、2010年8月にNPO法人となる。具体的な活動内容は、コレクションの公開の他に、講演会、対談会(作品持ち寄り)、埋もれた作家の発掘・顕彰・普及、会誌(年4回)・図書・会報(毎月)の発行など、なかなか忙しい。
2015年12月の段階で会員は71名(うちコレクター50名)となり、「わたくし美術館」として作品を公開しているところは15館におよぶという。
平塚市美術館前
今回は、この「わの会」会員のコレクションが公開されている平塚市美術館に伺うことになった。もちろん、取材の目当ては「瑛九」である。個人コレクションは、滅多なことがないと拝見出来ないので、期待に胸をふくらませて取材へ向かった。
会場入口。
ロビーでは「前田哲明の彫刻-Recent Work-」展も開催中。
平塚市美術館の学芸員安部氏によると、本展の発起人は平塚市在住の「わの会」会員平園賢一氏であり、彼はしばしば美術館に通い「ここで展覧会をやりたい」と述懐していたようだ。
「美術館」は制度によって固められているため、思い入れの強い有志団体の願望を引き受け、展覧会を成り立たせるのは、難しかったのではないかと私は想像した。不躾ながら、安部氏に展覧会の背景を詳しく知りたいと伝えたところ、次のような申し合わせの上で行ったことを明かしてくれた。
◆作品を美術館に持ってこられる会員の方。(搬入・搬出は会で行う)
◆チラシやポスター(マスコミ対応含む)などの広報は美術館で行う。
◆作品選定は会員の自由。ただし、物故作家であること。
◆作品の並び、順路の決定などの展示作業は美術館側が行う。
◆『わの会の眼―コレクターたちの静かな情熱』(NPO法人あーと・わの会)を図録の変わりに再販
以上のような取り決めで、美術館と「わの会」が主催する展覧会は実施されている。平園氏が10年ほど前から抱いていた夢はこうして現実のものとなったのだ。
彫刻は、向かって右側が土方久功《マスク》1924年、ブロンズ (平園賢一氏蔵)で左側は柳原義達《赤毛の女》1956年、ブロンズ(木村悦雄氏蔵)である。
奥には、桂ゆき《みみずく》1947・48年頃、油彩・キャンバス(小倉敬一氏蔵)がある。
一番手前の作品は、麻田浩《物たちのおもい》1983年、油彩・キャンバス(金井徳重氏蔵)。その隣は、奥村光正《コルシカ風景》1980年、油彩・キャンバス(金井徳重氏蔵)。奥の肖像画は、御園繁《伝副島種臣像》1878年、油彩・キャンバス(佐々木征氏蔵)
蒐集も亦 芸術である(梅野隆)
「わの会」には、様々な業種の人たちが集まっているようだけれども、上記の言葉に思いを寄せて活動を展開している。
なるほど会場に足を踏み入れるとあまり目にしたことのない作家名に面を食らう。個性的で魅力ある作品の前では、おもわず足が止まってしまう。なかなか会場から出られなかった。
橋げたを描いた作品は、菅野圭介《哲学の橋(ハイデルベルク)》1953年、油彩・キャンバス(梅野コレクション)。再販された『わの会の眼』の表紙を飾っている作品でもある。
瑛九《遊園地》1957年、パステル・油彩・キャンバス(中村儀介氏蔵)、左下にサインあり。本展では、所蔵者が書いた作品解説が添えられている。本作の解説では作品と出会った瞬間のことを、まるで恋に落ちたように綴っている。下記に一部転載する。
この瑛九の《遊園地》は一五~一六年前、銀座のある画廊のショーウインドーに飾られており、たまたま通りがかった私が、一目惚れをしてしまった作品です。それは、私が今迄見たことの無いようなクレーを思わせる洒落た絵でした。(中村儀介、『わの会の眼』210‐211頁)
手前の壁には、大塚武《ベニス》1975年頃、油彩・キャンバス(小山美枝氏蔵)。奥には、向かって左から「わたくし美術館」を開館した梅野木雨《自像》1996年、水彩・紙(野原弘氏蔵)が展示され、右隣は斎藤与里、阿以田治修、相吉沢久、津田青楓、田中保、鳥海青児の作品が並ぶ。
向かって右は瑛九《ともしび》1959年、リトグラフ・紙(野原弘氏蔵)。サイン、Ed.なし。左は瑛九《旅人》1957年、リトグラフ・紙(野原弘氏蔵)。Ed.なし、鉛筆で「QEi」のサインあり。
ところで、久保貞次郎(1909-1996)は、周知のとおり瑛九の大コレクターであると同時に、コレクターの養成に尽力した人物である。彼は、1955年頃から「小コレクター」という新語を使い普及につとめ、1956年7月「よい絵を安く売る会」を発足する。翌1957年8月に長野県湯田中で開かれた「小コレクターの会」をかわきりに全国に運動が展開していった。
久保貞次郎が考えた「小コレクター」とは、「版画でも、ドローイングでも、とにかく三点以上持っているひとをコレクターと呼ぼう。ただし、コレクターの上に、けんそんして、「小」の字を付けよう。そうすれば、ひとびとは気楽にコレクターの名を自称することができる」というもので、戦後の貧しい生活環境でひとりでも多くのひとに作品を持つ喜びを分かち、コレクターの意識を持つようにと編み出した啓蒙活動であった。
なぜ「小コレクター運動」について紹介したのかというと、「わの会」のホームページに「戦後間もないころ故久保貞次郎は人口10万人に1つ美術館をつくろうと唱え。その意思を継いだ故尾崎正教は、一つの街に一つの美術館をという『わたくし美術館』運動を提唱して展開しました。/戦後の復興、経済発展に伴い全国にわたくし美術館が作られていきました」と掲載されていたからである。「わの会」のわたくし美術館もまた久保の意思を継承しているようだ。
彫刻3点は、武井直也、建畠大夢、菊池一雄の作でいずれも平園賢一氏蔵。後ろに菅野圭介《静物(飛騨の箪笥)》1958年頃、油彩・キャンバス(野原弘氏蔵)。
左から小松義雄《岩と海》1958年、油彩・キャンバス。三上誠《作品》1965年、ミクストメディア・紙。下村良之介《作品》制作年不詳、淡彩・紙粘土・板。鬼頭曄《酔いどれ天使》1992年、鉛筆・水彩・紙(いずれも堀良慶氏蔵)。
左から増田誠《オー・ボン・ロワン・ビストロ》1985年、油彩・キャンバス。となりは、永田精二《静物(果物)》制作年不詳、油彩・キャンバス(いずれも増田一郎氏蔵)
外国の風景3点。右上は三井良太郎《ブリーズ・ミシェ通り》1933年、油彩・板。その下は、相馬其一《ヴェニス風景》1923年、油彩・ボード。左は矢崎千代二《ポン・ヌフ》1923年、パステル・紙。(いずれも福井豊氏蔵)
左から栗原忠二、河合新蔵、武内鶴之助の作品。(いずれも福井豊氏蔵)本展では、入口で一番気に入った作品を一点選ぶ投票用紙を配布している。会場出口に白い投票箱が設置されている。
さて、最後に久保が1958年「小コレクター運動の意義」のパンフレットに記した内容の中で、「わの会」に通じる思想がみえるため、ここに引用したい。
3.もうひとつの目的は、美術のマスコミがその実力を正当に評価しないために売れないで貧乏している作家を支持し、これを社会にひろめる役割をはたす。この運動に携わるひとびとは、自分の支持する芸術家たちの作品を買い、これを公衆に持たせようと努める。この運動が健全に発展していけば、ぼくたちの思想を、独創的な芸術家を通して公衆社会に一歩一歩訴えることができる。これは通俗主義とのたたかいであり、冒険に興味をいだく諸君自らのたたかいである。
***
ちょっと寄り道....
平塚八幡宮。かつては、鶴峯山八幡宮と呼ばれた。平塚駅から美術館へ徒歩で行くときには、立ち寄りたくなるところ。
旧横浜ゴム平塚製造所記念館。国の登録有形文化財である。現在は、「八幡山の洋館」と呼ばれ、市民活動の場として親しまれている。
華やかな内装。館内には、建物の平面図や模型が展示されている。観覧無料。
美術館から徒歩5分、株式会社パイロットコーポレーションの敷地内にある「蒔絵工房 NAMIKI」。もとは海軍の火薬庫として使用されていた建物で、万が一爆発しても耐えられるよう壁が非常に分厚い。2015年1月15日に開館したばかりで月曜~金曜日(土日・祝日休)10~12時、13~16時に営業。事前予約制で展示解説をしてくれる。
漆と蒔絵を施した万年筆が展示されている風景。「PILOT」は創業1918年の国産万年筆の会社であり、もとは「並木製作所」という社名であった。工房内では、時代に応じた万年筆の材質の変化を手に取りながら説明を受けることができる。現在、PILOTで蒔絵等を施す万年筆の職人は70名。万年筆1本つくるのに6カ月ほど要するという。
初期の万年筆が並ぶ展示ケース。当時は、現在のような贈答品や記念品として購買される万年筆と違い、実用品であった。スリムでシンプルなデザインが多い。
廊下には、パイロットの歴代のポスターが展示されている。手前は、1931年に発行されたポスター(「バランス型万年筆とダンヒルナミキ」)。イギリスの高級ブランド、ダンヒルと並木製作所が手を組んで製作した万年筆を宣伝するものである。奥には、1938年発行のポスターがある。ビン詰のパイロットインキと戦地用固形インキが掲載されている。このころ、万年筆のペン先も細い字が書けるよう改良された。万年筆は、緻密なモノづくりの精神と適応力の高い日本人の特徴をかためた結晶のようであった。
※今回の取材には、平塚市美術館学芸員の安部沙耶香氏、株式会社パイロットコーポレーション(平塚営業所 蒔絵工房「NAMIKI」)の小林京子氏にご協力いただきました。ありがとうございました。
(なかむら まき)
●展覧会のご案内


「サラリーマンコレクターの知られざる名品 わの会展」
会期:2015年12月5日[土]~2016年2月7日[日]
会場:平塚市美術館
時間:9:30~17:00(入館は30分前まで)
休館:毎週月曜日
主催:平塚市美術館、NPO法人あーと・わの会
出品作家:脇田和/古茂田守介/宮下勝行/品川工/小寺健吉/中村研一/解良常夫/小出三郎/相原求一朗/喜多村知/吉川三伸/金子周次/山縣章/長谷川潾二郎/南条一夫/木村荘八/野口謙蔵/木田金次郎/金山平三/林倭衛/清宮質文/星野眞吾/桂ゆき/太田聴雨/竹久夢二/小泉清/恩地孝四郎/小堀四郎/小山田二郎/麻田浩/奥村光正/芝田米三/三岸黄太郎/藤井令太郎/御園紫/水木伸一/島崎蓊助/須田輝洲/油井夫山/山本森之助/松山忠三/中村忠二/菅野圭介/中沢弘光/児島丹平/中野和高/大沢鉦一郎/横井礼以/松永敏太郎/澤田利一/福地敬治/瑛九/須田国太郎/児島善三郎/岩崎巴人/佐分眞/柳瀬正夢/長谷川利行/松本竣介/今西中通/大塚武/田淵安一/大沢昌助/駒井哲郎/国吉康雄/楠瓊州/箕口博/梅野木雨/斎藤与里/阿以田治修/相吉沢久/津田青楓/田中保/鳥海青児/菅創吉/広本季与丸/小川千甕/森田恒友/吉岡憲/荒井龍男/北岡文雄/遠山五郎/中山巍/清水敦次郎/本荘赳/二見利節/林重義/森田勝/林武/里見勝蔵/真田久吉/仲田菊代/丸木俊/伊藤慶之助/井上長三郎/中村義夫/綱谷義郎/峰村リツ子/中間冊夫/矢崎千代二/伊庭伝次郎/小松義雄/三上誠/下村良之介/鬼頭曄/中村正義/山下菊二/増田誠/永田精二/小出三郎/髙野卯港/正木隆/牧野義雄/三井良太郎/相馬其一/大橋了介/大橋エレナ/玉之内満雄/栗原忠二/河合新蔵/武内鶴之助/山本弘/二世五姓田芳柳/丸山晩霞/渡辺與平/土方久功/柳原義達/菊池一雄/建畠大夢/武井直也/戸田海笛/川上邦世
※東御市梅野記念絵画館(長野県)に巡回予定。2016年2月16日[火]~3月27日[日]
この展覧会は、美術品コレクターの集まりである「わの会」会員の秘蔵のコレクションを公立美術館で初めて公開するものです。
「わの会」にはサラリーマンをはじめ、公務員、医師など様々な職種の会員がいます。会員は皆、本業の傍ら熱心に美術品を蒐集し、研究し、愉しんでいます。彼らの共通点は、情熱と愛情をもって美術
品を蒐集していることです。この情熱と愛情を共通の理念とし、会員間で情報の交換、作品を発表しコレクションのさらなる充実に努めています。
そのコレクションは決して派手なものではありません。しかし、一点一点、いぶし銀の魅力を放ち、美術館のコレクションとはまた違った魅力を持っています。思いもかけぬ、名品、珍品、いつの間にか忘れられた画家の傑作、有名画家の隠れた一面を示す作品等々、まさにコレクターの情熱と愛情によって発掘された作品ばかりです。
今回の展覧会では、「わの会」会員の秘蔵のコレクションのなかから、これぞ、という自慢の作品約150点を厳選し、コレクターのコメントと併せて展示します。
普段、美術館で展示する作品とはひと味もふた味も違うサラリーマンコレクターの思いの詰まった珠玉のコレクションをお楽しみ下さい。(同展HPより転載)
●今日のお勧め作品は、瑛九です。
瑛九
「逓信博物館 A」
1941年
油彩
46.0x61.1cm
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
平塚市美術館「サラリーマンコレクターの知られざる名品 わの会展」
「わの会」とは、埋もれた美術品をコレクションし、作品公開と美術普及活動の推進を目的とする団体であり、2003年5月設立の「わたくし美術館の会」を経て、2010年8月にNPO法人となる。具体的な活動内容は、コレクションの公開の他に、講演会、対談会(作品持ち寄り)、埋もれた作家の発掘・顕彰・普及、会誌(年4回)・図書・会報(毎月)の発行など、なかなか忙しい。
2015年12月の段階で会員は71名(うちコレクター50名)となり、「わたくし美術館」として作品を公開しているところは15館におよぶという。

今回は、この「わの会」会員のコレクションが公開されている平塚市美術館に伺うことになった。もちろん、取材の目当ては「瑛九」である。個人コレクションは、滅多なことがないと拝見出来ないので、期待に胸をふくらませて取材へ向かった。

ロビーでは「前田哲明の彫刻-Recent Work-」展も開催中。
平塚市美術館の学芸員安部氏によると、本展の発起人は平塚市在住の「わの会」会員平園賢一氏であり、彼はしばしば美術館に通い「ここで展覧会をやりたい」と述懐していたようだ。
「美術館」は制度によって固められているため、思い入れの強い有志団体の願望を引き受け、展覧会を成り立たせるのは、難しかったのではないかと私は想像した。不躾ながら、安部氏に展覧会の背景を詳しく知りたいと伝えたところ、次のような申し合わせの上で行ったことを明かしてくれた。
◆作品を美術館に持ってこられる会員の方。(搬入・搬出は会で行う)
◆チラシやポスター(マスコミ対応含む)などの広報は美術館で行う。
◆作品選定は会員の自由。ただし、物故作家であること。
◆作品の並び、順路の決定などの展示作業は美術館側が行う。
◆『わの会の眼―コレクターたちの静かな情熱』(NPO法人あーと・わの会)を図録の変わりに再販
以上のような取り決めで、美術館と「わの会」が主催する展覧会は実施されている。平園氏が10年ほど前から抱いていた夢はこうして現実のものとなったのだ。

奥には、桂ゆき《みみずく》1947・48年頃、油彩・キャンバス(小倉敬一氏蔵)がある。

蒐集も亦 芸術である(梅野隆)
「わの会」には、様々な業種の人たちが集まっているようだけれども、上記の言葉に思いを寄せて活動を展開している。
なるほど会場に足を踏み入れるとあまり目にしたことのない作家名に面を食らう。個性的で魅力ある作品の前では、おもわず足が止まってしまう。なかなか会場から出られなかった。


この瑛九の《遊園地》は一五~一六年前、銀座のある画廊のショーウインドーに飾られており、たまたま通りがかった私が、一目惚れをしてしまった作品です。それは、私が今迄見たことの無いようなクレーを思わせる洒落た絵でした。(中村儀介、『わの会の眼』210‐211頁)


ところで、久保貞次郎(1909-1996)は、周知のとおり瑛九の大コレクターであると同時に、コレクターの養成に尽力した人物である。彼は、1955年頃から「小コレクター」という新語を使い普及につとめ、1956年7月「よい絵を安く売る会」を発足する。翌1957年8月に長野県湯田中で開かれた「小コレクターの会」をかわきりに全国に運動が展開していった。
久保貞次郎が考えた「小コレクター」とは、「版画でも、ドローイングでも、とにかく三点以上持っているひとをコレクターと呼ぼう。ただし、コレクターの上に、けんそんして、「小」の字を付けよう。そうすれば、ひとびとは気楽にコレクターの名を自称することができる」というもので、戦後の貧しい生活環境でひとりでも多くのひとに作品を持つ喜びを分かち、コレクターの意識を持つようにと編み出した啓蒙活動であった。
なぜ「小コレクター運動」について紹介したのかというと、「わの会」のホームページに「戦後間もないころ故久保貞次郎は人口10万人に1つ美術館をつくろうと唱え。その意思を継いだ故尾崎正教は、一つの街に一つの美術館をという『わたくし美術館』運動を提唱して展開しました。/戦後の復興、経済発展に伴い全国にわたくし美術館が作られていきました」と掲載されていたからである。「わの会」のわたくし美術館もまた久保の意思を継承しているようだ。





さて、最後に久保が1958年「小コレクター運動の意義」のパンフレットに記した内容の中で、「わの会」に通じる思想がみえるため、ここに引用したい。
3.もうひとつの目的は、美術のマスコミがその実力を正当に評価しないために売れないで貧乏している作家を支持し、これを社会にひろめる役割をはたす。この運動に携わるひとびとは、自分の支持する芸術家たちの作品を買い、これを公衆に持たせようと努める。この運動が健全に発展していけば、ぼくたちの思想を、独創的な芸術家を通して公衆社会に一歩一歩訴えることができる。これは通俗主義とのたたかいであり、冒険に興味をいだく諸君自らのたたかいである。
***
ちょっと寄り道....







※今回の取材には、平塚市美術館学芸員の安部沙耶香氏、株式会社パイロットコーポレーション(平塚営業所 蒔絵工房「NAMIKI」)の小林京子氏にご協力いただきました。ありがとうございました。
(なかむら まき)
●展覧会のご案内


「サラリーマンコレクターの知られざる名品 わの会展」
会期:2015年12月5日[土]~2016年2月7日[日]
会場:平塚市美術館
時間:9:30~17:00(入館は30分前まで)
休館:毎週月曜日
主催:平塚市美術館、NPO法人あーと・わの会
出品作家:脇田和/古茂田守介/宮下勝行/品川工/小寺健吉/中村研一/解良常夫/小出三郎/相原求一朗/喜多村知/吉川三伸/金子周次/山縣章/長谷川潾二郎/南条一夫/木村荘八/野口謙蔵/木田金次郎/金山平三/林倭衛/清宮質文/星野眞吾/桂ゆき/太田聴雨/竹久夢二/小泉清/恩地孝四郎/小堀四郎/小山田二郎/麻田浩/奥村光正/芝田米三/三岸黄太郎/藤井令太郎/御園紫/水木伸一/島崎蓊助/須田輝洲/油井夫山/山本森之助/松山忠三/中村忠二/菅野圭介/中沢弘光/児島丹平/中野和高/大沢鉦一郎/横井礼以/松永敏太郎/澤田利一/福地敬治/瑛九/須田国太郎/児島善三郎/岩崎巴人/佐分眞/柳瀬正夢/長谷川利行/松本竣介/今西中通/大塚武/田淵安一/大沢昌助/駒井哲郎/国吉康雄/楠瓊州/箕口博/梅野木雨/斎藤与里/阿以田治修/相吉沢久/津田青楓/田中保/鳥海青児/菅創吉/広本季与丸/小川千甕/森田恒友/吉岡憲/荒井龍男/北岡文雄/遠山五郎/中山巍/清水敦次郎/本荘赳/二見利節/林重義/森田勝/林武/里見勝蔵/真田久吉/仲田菊代/丸木俊/伊藤慶之助/井上長三郎/中村義夫/綱谷義郎/峰村リツ子/中間冊夫/矢崎千代二/伊庭伝次郎/小松義雄/三上誠/下村良之介/鬼頭曄/中村正義/山下菊二/増田誠/永田精二/小出三郎/髙野卯港/正木隆/牧野義雄/三井良太郎/相馬其一/大橋了介/大橋エレナ/玉之内満雄/栗原忠二/河合新蔵/武内鶴之助/山本弘/二世五姓田芳柳/丸山晩霞/渡辺與平/土方久功/柳原義達/菊池一雄/建畠大夢/武井直也/戸田海笛/川上邦世
※東御市梅野記念絵画館(長野県)に巡回予定。2016年2月16日[火]~3月27日[日]
この展覧会は、美術品コレクターの集まりである「わの会」会員の秘蔵のコレクションを公立美術館で初めて公開するものです。
「わの会」にはサラリーマンをはじめ、公務員、医師など様々な職種の会員がいます。会員は皆、本業の傍ら熱心に美術品を蒐集し、研究し、愉しんでいます。彼らの共通点は、情熱と愛情をもって美術
品を蒐集していることです。この情熱と愛情を共通の理念とし、会員間で情報の交換、作品を発表しコレクションのさらなる充実に努めています。
そのコレクションは決して派手なものではありません。しかし、一点一点、いぶし銀の魅力を放ち、美術館のコレクションとはまた違った魅力を持っています。思いもかけぬ、名品、珍品、いつの間にか忘れられた画家の傑作、有名画家の隠れた一面を示す作品等々、まさにコレクターの情熱と愛情によって発掘された作品ばかりです。
今回の展覧会では、「わの会」会員の秘蔵のコレクションのなかから、これぞ、という自慢の作品約150点を厳選し、コレクターのコメントと併せて展示します。
普段、美術館で展示する作品とはひと味もふた味も違うサラリーマンコレクターの思いの詰まった珠玉のコレクションをお楽しみ下さい。(同展HPより転載)
●今日のお勧め作品は、瑛九です。

「逓信博物館 A」
1941年
油彩
46.0x61.1cm
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
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