亭主は40年前、版画をいっぱい詰めこんだカルトンケースを引きずりながら全国を行商して歩いていました。
既になじみのお客様や画廊がある町に向かうときは心も軽い。
反対に何のつてもない町の駅に降りたったときの心細さは今思い返してもせつなくなります。その県の電話帳をめくり画廊や画材屋さんを探し、公衆電話から電話をかける。
「東京から版画を持ってきました。見ていただけないでしょうか。」
けんもほろろに切られることが多いのですが、たまに「いらっしゃい」と言われたときの嬉しさ。
そうやって訪ね歩いた全国の町々、一度切りのところもあれば、幾度も通った町も数々あります。何回か行けば自然に立ち寄る店が出てきます。
「なじみのお店」ですね。
汽車の時間調整のために立ち寄る(古)本屋さん、喫茶店、夜だったら一杯飲み屋、そうだ床屋さんもありました。
ときの忘れものは時間潰しでもいい、青山(東京)に来たら寄ってみたい「なじみのお店」になりたい、そう思っています。
このブログはおかげさまで毎日たくさんのお客様に立ち寄っていただいています。いわばネット上の「なじみのお店」でしょうか。豪華な執筆陣のおかげで、寂れもせず続いております。
4月から始まった杉山幸一郎さんのエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は一日で3,000人近くの人が閲覧するという異例の人気番組になりつつありますが、普段のアクセスは300~500人の間で一定しています。更新は毎日午前零時1分に設定していますが、更新されると同時に10人近くのアクセスが一斉にあります。きっと毎日欠かさず見て(読んで)下さる固定客ですね。
アクセスした方々はその日の最新記事ばかりが読まれているわけではありません。私たちがとうに忘れているような古い記事が読まれることもしばしばです。
面白いのは、繰り返し繰り返し読まれる記事があることです。
古い順にならべてご紹介しましょう。
■ウォーホルを偲んで~サンデー・B・モーニング版 2007年02月20日
■佐伯修「雲と残像――現代美術を媒介にして」~coto Vol.17より 2009年02月14日
■「アウグスト・ザンダーと五味彬」展~原茂さんからの報告 2009年08月06日
及びそれを再録した■アウグスト・ザンダーと五味彬 2012年05月17日
■本物、ニセモノ 2010年06月27日
■大人のデートにどうぞ。 2012年05月19日
■磯崎新の「低層」都庁案と版画 2012年12月22日
注目すべきはその半分が五味彬先生の写真作品についてです。
●というわけで、今日のお勧め作品は五味彬の希少なコンタクト・プリントです。

五味彬
「村上麗奈 CP vintage(1989-22)」
1989
Vintage Gelatin Silver Print
13.5x10.6cm
Signed
五味彬
「村上麗奈 CP Vintage 1989-6」
1989
Vintage Gelatin Silver Print
14.2x10.8cm
Siged
五味彬
「村上麗奈 CP Vintage 1989-7」
1989
Vintage Gelatin Silver Print
13.8x10.8cm
Siged
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。
上掲3点の被写体(モデル)の村上麗奈は1988年からの僅か一年余、AV女優として34本のビデオに出演し、その美貌と肢体によって一世を風靡しました。
コンタクトプリント(contact print)とは、写真フィルムを印画紙に密着させて原寸プリントしたもの、またはそのための技法を指す。べた焼き、密着印画(みっちゃくいんが)などとも呼ばれます。
村上麗奈の撮影にはポラロイドが使われましたが、五味先生の使っていたカメラは4×5のポラロイド写真を引き剥がした後、ネガフィルムが出来るシステムでした。そのネガからのコンタクトプリントが今回ご紹介の作品です。
密着印画を作成するには、通常の引き伸ばし機を用いる。引き伸ばし機のネガキャリアは空のまま、印画紙の上に現像済みのフィルムを直接載せて並べる。このとき、フィルムの反りを避け密着させるために上にガラス板を置く。フィルムと印画紙が密着しているため、厳密なピント合わせの必要はなく、印画紙全面に均一に光が当たるようにすれば十分である。露光後は通常のプリントと同じように現像から乾燥までの処理を行う。
今回の村上麗奈のコンタクトプリントに白い汚れなどがあるのはガラス板に垂れた液や埃、ゴミなどによるものです。
要するに本焼きの前に、どのように写っているかを確認するためのものですから、色鉛筆でフィルムの番号が書き込まれていたり、五味先生の指紋がついたりと個々のコンディション(状態)には大きな差があります。
もともと「作品」として焼いたものではありませんが、それが30年近くを経てみると、それぞれが一枚こっきりの「稀少なビンテージプリント」になってしまったという次第です。
既になじみのお客様や画廊がある町に向かうときは心も軽い。
反対に何のつてもない町の駅に降りたったときの心細さは今思い返してもせつなくなります。その県の電話帳をめくり画廊や画材屋さんを探し、公衆電話から電話をかける。
「東京から版画を持ってきました。見ていただけないでしょうか。」
けんもほろろに切られることが多いのですが、たまに「いらっしゃい」と言われたときの嬉しさ。
そうやって訪ね歩いた全国の町々、一度切りのところもあれば、幾度も通った町も数々あります。何回か行けば自然に立ち寄る店が出てきます。
「なじみのお店」ですね。
汽車の時間調整のために立ち寄る(古)本屋さん、喫茶店、夜だったら一杯飲み屋、そうだ床屋さんもありました。
ときの忘れものは時間潰しでもいい、青山(東京)に来たら寄ってみたい「なじみのお店」になりたい、そう思っています。
このブログはおかげさまで毎日たくさんのお客様に立ち寄っていただいています。いわばネット上の「なじみのお店」でしょうか。豪華な執筆陣のおかげで、寂れもせず続いております。
4月から始まった杉山幸一郎さんのエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は一日で3,000人近くの人が閲覧するという異例の人気番組になりつつありますが、普段のアクセスは300~500人の間で一定しています。更新は毎日午前零時1分に設定していますが、更新されると同時に10人近くのアクセスが一斉にあります。きっと毎日欠かさず見て(読んで)下さる固定客ですね。
アクセスした方々はその日の最新記事ばかりが読まれているわけではありません。私たちがとうに忘れているような古い記事が読まれることもしばしばです。
面白いのは、繰り返し繰り返し読まれる記事があることです。
古い順にならべてご紹介しましょう。
■ウォーホルを偲んで~サンデー・B・モーニング版 2007年02月20日
■佐伯修「雲と残像――現代美術を媒介にして」~coto Vol.17より 2009年02月14日
■「アウグスト・ザンダーと五味彬」展~原茂さんからの報告 2009年08月06日
及びそれを再録した■アウグスト・ザンダーと五味彬 2012年05月17日
■本物、ニセモノ 2010年06月27日
■大人のデートにどうぞ。 2012年05月19日
■磯崎新の「低層」都庁案と版画 2012年12月22日
注目すべきはその半分が五味彬先生の写真作品についてです。
●というわけで、今日のお勧め作品は五味彬の希少なコンタクト・プリントです。

五味彬
「村上麗奈 CP vintage(1989-22)」
1989
Vintage Gelatin Silver Print
13.5x10.6cm
Signed

「村上麗奈 CP Vintage 1989-6」
1989
Vintage Gelatin Silver Print
14.2x10.8cm
Siged

「村上麗奈 CP Vintage 1989-7」
1989
Vintage Gelatin Silver Print
13.8x10.8cm
Siged
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ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。
上掲3点の被写体(モデル)の村上麗奈は1988年からの僅か一年余、AV女優として34本のビデオに出演し、その美貌と肢体によって一世を風靡しました。
コンタクトプリント(contact print)とは、写真フィルムを印画紙に密着させて原寸プリントしたもの、またはそのための技法を指す。べた焼き、密着印画(みっちゃくいんが)などとも呼ばれます。
村上麗奈の撮影にはポラロイドが使われましたが、五味先生の使っていたカメラは4×5のポラロイド写真を引き剥がした後、ネガフィルムが出来るシステムでした。そのネガからのコンタクトプリントが今回ご紹介の作品です。
密着印画を作成するには、通常の引き伸ばし機を用いる。引き伸ばし機のネガキャリアは空のまま、印画紙の上に現像済みのフィルムを直接載せて並べる。このとき、フィルムの反りを避け密着させるために上にガラス板を置く。フィルムと印画紙が密着しているため、厳密なピント合わせの必要はなく、印画紙全面に均一に光が当たるようにすれば十分である。露光後は通常のプリントと同じように現像から乾燥までの処理を行う。
今回の村上麗奈のコンタクトプリントに白い汚れなどがあるのはガラス板に垂れた液や埃、ゴミなどによるものです。
要するに本焼きの前に、どのように写っているかを確認するためのものですから、色鉛筆でフィルムの番号が書き込まれていたり、五味先生の指紋がついたりと個々のコンディション(状態)には大きな差があります。
もともと「作品」として焼いたものではありませんが、それが30年近くを経てみると、それぞれが一枚こっきりの「稀少なビンテージプリント」になってしまったという次第です。
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