ただいま開催中の「第2回アートブック・ラウンジ~画廊のしごと(南画廊のカタログ)」には、南画廊に関連したカタログや画集、書籍を展示頒布しています。
1956(昭和31)年6月に志水楠男さんによって設立された南画廊の最初の展覧会は「駒井哲郎銅版画個展」でした。以来23年余にわたるギャラリー活動が繰り広げられ1979年11月末に閉廊しました。最後の展覧会のカタログも今回出品しています。
中でも目玉は、1968年10月南画廊で刊行記念展が開催された瀧口修造『マルセル・デュシャン語録』(瀧口修造、マルセル・デュシャン、荒川修作、ジャスパー・ジョーンズ、ジャン・ティンゲリーのマルチプル作品を挿入)で、完璧な保存状態のA版を出品します。

瀧口修造 Shuzo TAKIGUCHI『マルセル・デュシャン語録』
A版(限定50部)
1968年 本、版画とマルティプル
外箱サイズ:36.7×29.8×5.0cm
本サイズ:33.1×26.0cm
各作家のサインあり
発行:東京ローズ・セラヴィ
刊行日:1968年7月28日
販売:南画廊
なぜことさら、完璧な保存状態であることを強調するかといいますと、いまから約半世紀前に刊行されたこのオリジナル入り豪華本は、各作家の版画用紙も様々で、カビやシミの出やすいものも使われています。
年に一点か二点、市場に出てくるのですが、亭主が見た限りでは、完璧な保存状態のものはありませんでした。外箱の帯の緑が日に焼けて褪色してたり、あるいはもっとも重要な(市場的にです)J.ジョーンズの真っ白な画面にカビやシミが発生していたりする場合が少なくなく、それでも200万円以上の高額な値付けがされてきました。
今回出品するものは瀧口研究家の土渕信彦さんでさえ「私のよりいい、こんな保存状態の良いものは見たことがない」と言わしめるほどの素晴らしい保存状態です。

外箱もコンディション良好。緑も色あせることなく鮮やかです。

表紙

荒川修作 《静物》サイン入り

マルセル・デュシャン「プロフィールの自画像」複製

ジャン・ティンゲリー《コラージュ・デッサン》サイン入り

ジャスパー・ジョーンズ《夏の批評家》サイン入り

《ウィルソン・リンカーン・システムによるローズ・セラヴィ》マルセル・デュシャンのサイン入り
*マン・レイ撮影のデュシャンの若い頃の横顔(プロフィール)の写真にチェンジ・ピクチャ―の「ウィルソン・リンカーン・システム」によってRrose Sélavyのサインを組み合わせた作品。

瀧口修造 Shuzo TAKIGUCHI『マルセル・デュシャン語録』A版(限定50部)
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
瀧口修造は、現代美術の先駆者であるマルセル・デュシャンに対して、1930年代から深い関心を寄せ、たびたび論じてきましたが、1958年の欧州旅行でダリ宅を訪れた際にデュシャン本人を紹介され、以降は互いに著書を献呈するなど、直接の交流が生まれました。帰国後1960年代に入るとデュシャンに対する瀧口の傾倒はさらに深まり、その頃に構想した架空の「オブジェの店」についてもデュシャンに命名を依頼し、若き日の有名な変名「ローズ・セラヴィ」を贈られました。その返礼として瀧口が製作し、1968年に刊行したのが『マルセル・デュシャン語録』です。
デュシャンのメモや言葉の遊びを自ら編集・翻訳したもので、デュシャンだけでなく、ジャスパー・ジョーンズ、ジャン・ティンゲリー、荒川修作ら協力者たちの作品(マルチプルないし複製)も付属しています。
その後もデュシャンに対する瀧口の関心は継続し、手作り本『扉に鳥影』(1973年)や岡崎和郎との共作のマルチプル『檢眼圖』(1977年)、デュシャンについてのメモを収めた「シガー・ボックス」なども制作しています。
デュシャンを巡る考察は、後半生の瀧口の最も重要な課題のひとつであり、最も多くの時間が充てられていた、といっても過言ではないでしょう。(土渕信彦)
詳しくは、土渕信彦さんのエッセイをお読みください。
11.『マルセル・デュシャン語録』(その1)20150713
12.『マルセル・デュシャン語録』(その2)20150813
13.『マルセル・デュシャン語録』(その3)20150913
◆ときの忘れものは「第2回アートブック・ラウンジ~画廊のしごと(南画廊のカタログ)」を開催しています。
「第2回アートブック・ラウンジ~画廊のしごと(南画廊のカタログ)」
会期:2016年6月14日[火]~6月25日[土]
*日曜、月曜、祝日は休廊
志水楠男が設立した南画廊が1956年から79年に開催した199回の展覧会から、1959年の今や伝説となったフォートリエ展はじめ、ヤング・セブン展、中西夏之展、サム・フランシス展などのカタログ50冊を頒布します。南画廊の作家たちー靉嘔、オノサト・トシノブ、駒井哲郎、菅井汲、嶋田しづ、山口勝弘、山口長男、難波田龍起、加納光於の作品を展示し、1968年10月南画廊で刊行記念展が開催された瀧口修造『マルセル・デュシャン語録』(M・デュシャン、荒川修作、J・ジョーンズ、J・ティンゲリー)の完璧な保存状態のA版も出品します。
◆同時開催:ここから熊本へ~地震被災者支援展
1956(昭和31)年6月に志水楠男さんによって設立された南画廊の最初の展覧会は「駒井哲郎銅版画個展」でした。以来23年余にわたるギャラリー活動が繰り広げられ1979年11月末に閉廊しました。最後の展覧会のカタログも今回出品しています。
中でも目玉は、1968年10月南画廊で刊行記念展が開催された瀧口修造『マルセル・デュシャン語録』(瀧口修造、マルセル・デュシャン、荒川修作、ジャスパー・ジョーンズ、ジャン・ティンゲリーのマルチプル作品を挿入)で、完璧な保存状態のA版を出品します。

瀧口修造 Shuzo TAKIGUCHI『マルセル・デュシャン語録』
A版(限定50部)
1968年 本、版画とマルティプル
外箱サイズ:36.7×29.8×5.0cm
本サイズ:33.1×26.0cm
各作家のサインあり
発行:東京ローズ・セラヴィ
刊行日:1968年7月28日
販売:南画廊
なぜことさら、完璧な保存状態であることを強調するかといいますと、いまから約半世紀前に刊行されたこのオリジナル入り豪華本は、各作家の版画用紙も様々で、カビやシミの出やすいものも使われています。
年に一点か二点、市場に出てくるのですが、亭主が見た限りでは、完璧な保存状態のものはありませんでした。外箱の帯の緑が日に焼けて褪色してたり、あるいはもっとも重要な(市場的にです)J.ジョーンズの真っ白な画面にカビやシミが発生していたりする場合が少なくなく、それでも200万円以上の高額な値付けがされてきました。
今回出品するものは瀧口研究家の土渕信彦さんでさえ「私のよりいい、こんな保存状態の良いものは見たことがない」と言わしめるほどの素晴らしい保存状態です。

外箱もコンディション良好。緑も色あせることなく鮮やかです。

表紙

荒川修作 《静物》サイン入り

マルセル・デュシャン「プロフィールの自画像」複製

ジャン・ティンゲリー《コラージュ・デッサン》サイン入り

ジャスパー・ジョーンズ《夏の批評家》サイン入り

《ウィルソン・リンカーン・システムによるローズ・セラヴィ》マルセル・デュシャンのサイン入り
*マン・レイ撮影のデュシャンの若い頃の横顔(プロフィール)の写真にチェンジ・ピクチャ―の「ウィルソン・リンカーン・システム」によってRrose Sélavyのサインを組み合わせた作品。

瀧口修造 Shuzo TAKIGUCHI『マルセル・デュシャン語録』A版(限定50部)
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
瀧口修造は、現代美術の先駆者であるマルセル・デュシャンに対して、1930年代から深い関心を寄せ、たびたび論じてきましたが、1958年の欧州旅行でダリ宅を訪れた際にデュシャン本人を紹介され、以降は互いに著書を献呈するなど、直接の交流が生まれました。帰国後1960年代に入るとデュシャンに対する瀧口の傾倒はさらに深まり、その頃に構想した架空の「オブジェの店」についてもデュシャンに命名を依頼し、若き日の有名な変名「ローズ・セラヴィ」を贈られました。その返礼として瀧口が製作し、1968年に刊行したのが『マルセル・デュシャン語録』です。
デュシャンのメモや言葉の遊びを自ら編集・翻訳したもので、デュシャンだけでなく、ジャスパー・ジョーンズ、ジャン・ティンゲリー、荒川修作ら協力者たちの作品(マルチプルないし複製)も付属しています。
その後もデュシャンに対する瀧口の関心は継続し、手作り本『扉に鳥影』(1973年)や岡崎和郎との共作のマルチプル『檢眼圖』(1977年)、デュシャンについてのメモを収めた「シガー・ボックス」なども制作しています。
デュシャンを巡る考察は、後半生の瀧口の最も重要な課題のひとつであり、最も多くの時間が充てられていた、といっても過言ではないでしょう。(土渕信彦)
詳しくは、土渕信彦さんのエッセイをお読みください。
11.『マルセル・デュシャン語録』(その1)20150713
12.『マルセル・デュシャン語録』(その2)20150813
13.『マルセル・デュシャン語録』(その3)20150913
◆ときの忘れものは「第2回アートブック・ラウンジ~画廊のしごと(南画廊のカタログ)」を開催しています。

会期:2016年6月14日[火]~6月25日[土]
*日曜、月曜、祝日は休廊
志水楠男が設立した南画廊が1956年から79年に開催した199回の展覧会から、1959年の今や伝説となったフォートリエ展はじめ、ヤング・セブン展、中西夏之展、サム・フランシス展などのカタログ50冊を頒布します。南画廊の作家たちー靉嘔、オノサト・トシノブ、駒井哲郎、菅井汲、嶋田しづ、山口勝弘、山口長男、難波田龍起、加納光於の作品を展示し、1968年10月南画廊で刊行記念展が開催された瀧口修造『マルセル・デュシャン語録』(M・デュシャン、荒川修作、J・ジョーンズ、J・ティンゲリー)の完璧な保存状態のA版も出品します。
◆同時開催:ここから熊本へ~地震被災者支援展
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