明後日8月6日~8月20日の会期で「菅井汲展」を開催します。

主力スタッフはインドネシアに出張中で、ジャカルタで開催されるアートフェアに挑戦します。
留守を守るのは亭主と社長、新人スタッフたちですが、ジャカルタ組に負けないよう頑張りたいと思います。
ときの忘れものとしては2000年7月以来、実に16年ぶりの菅井展です。
菅井汲先生が亡くなられたのが1996年(享年77)、今年は没後20年の節目にあたりますが、美術館レベルでの回顧展は亭主の知るかぎり、神戸のBBプラザ美術館での長谷川三郎との二人展くらいでしょうか(既に展覧会は終了していますが)。

甲南学園ゆかりの作家たち 長谷川三郎と菅井汲 抽象への眼差し
会期:2016/04/05(火) ~ 2016/06/05(日)
主催:BBプラザ美術館・館・株式会社シマブンコーポレーション

明治以来、芸術の都パリに渡った日本人作家は多数いますが、最も大きな成功を収めたのは戦前・戦後を通じての藤田嗣治と、戦後彗星のように現れた菅井汲の二人でした。
日本ではまったく無名だった菅井先生は1952年に渡仏、たちまちチャンスをつかみ重厚なマチエールと単純化された士俗的なフォルムによる抽象絵画や版画で次々と国際展で受賞し、一躍パリ画壇の寵児となります。
1967年に自動車事故で重傷を負ってからは、それまでの有機的なフォルムによる抽象表現から、無機的で記号的な図像と明快な色彩による構成へと移行しました。
事故後の作風の激変は、「信号みたいだ」と揶揄され、例によって「以前は良かったのに」とか、「初期はいいけれど、今のは」というコレクターたちの保守的な視線にさらされます。
そんなことも全く知らずに、一時帰国中の菅井先生の滞在先である皇居前のパレスホテルにのこのこ出かけていったのが30歳になったばかりの亭主でした。

「スガイを口説け」と助言してくれたのは関根伸夫先生でした。
亭主:関根先生と島州一先生の全国縦断展(1975年)はおかげさまでうまく行っていますが、さて次はどなたを口説いたらいいでしょうか?
関根:作家を口説くんだったら先ずトップ(一番上のクラス)からよ。断られたら次を口説けばいいんだから。でもその逆(下のクラスから)は絶対駄目だよ、作家も相手(画廊、版元)を見ている。自分より格下の作家をやっているところなんか相手にしないよ。
亭主:そんなもんですか。でもいまどきトップクラスで他がやっていない作家なんていますかね。
関根:それがいるんだ。ワタヌキ君、パリのスガイクミって知ってる?
亭主:誰ですかそれ、女性ですか。

てな頓珍漢なやりとりがあり、菅井先生が戦後パリに渡り、まれにみる成功をおさめた作家だということを知った亭主は、先ずラブレターを書き、面会にこぎつけました。
エディション制作と全国巡回展の依頼に対して、菅井先生は即答せず、後日はっきりと理由を告げ、「だからワタヌキさん、お断りします」といったんは拒絶されました。菅井先生があげた理由に反論し(誤解をとき)再アタックし、契約成立。以後1984年まで、数多くの版画をエディションすることができました。
ボクは誰の助けもかりず、一人で世界で戦ってきた」と語っていたとおり、日本的なウエットなやり取りを好まず、実にはっきりとモノを言う方でした。
亭主が付き合った作家たちの中で、「ワタヌキさん、お金持ってきましたか」などと、画料やサイン料について率直に注文をつけるのは菅井先生くらいでした。
菅井汲サイン 猿楽町マンション
1980年 現代版画センター事務局の近くにあった社長の自宅にて、
刷り上がった新作「GROUP 4-B」にサインをする菅井汲先生
傍らで助手をつとめるのが若き日の社長
右の霞んでいるのが亭主

版元と作家は、プロの発注者と受注者の関係であること。作家、工房、版元らのあり方について、実に多くのことを教えていただきました。
今回展示する作品の多くは、そうやって亭主が菅井先生に教えられながらプロデュースしてきた作品です。
(1,2,35,36,37番以外は全て現代版画センターのエディション)
会場が狭いので実際に展示できるのは20点ほどですが、他のシート作品についてはスタッフにお声かけください。
どうぞご高覧ください。

朝1)
《朝 Matin》
*レゾネNo.143(阿部出版)
1969年
シルクスクリーン
Image size: 32.5×23.5cm
Sheet size: 34.0×25.7cm
Ed.80
Signed

太陽と地球2)
《太陽と地球 Soleilet Terre》
*レゾネNo.144(阿部出版)
1969年
リトグラフ
Image size: 34.0×25.7cm
Sheet size: 34.0×25.7cm
Ed.80
Signed

sugai_04_aka-kuro3)
《赤と黒 ROUGE ET NOIR》
*レゾネNo.245(阿部出版)
1976年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
10.0×10.0cm
Ed.2000
スタンプサインあり

sugai_08_festival4)
《FESTIVAL》
*レゾネNo.247(阿部出版)
1976年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
20.0×15.0cm
Ed.750
Signed

sugai_05_variation5)
《VARIATION》
*レゾネNo.248(阿部出版)
1976年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
10.0×10.0cm
Ed.500
Signed

菅井汲_SIGNAL A6)
《SIGNAL A》
*レゾネNo.249(阿部出版)
1976年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
Image size: 34.0×14.0cm
Sheet size: 40.5×28.6cm"
E.A.
Signed

菅井汲_SIGNAL B7)
《SIGNAL B》
*レゾネNo.250(阿部出版)
1976年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
Image size: 31.3×23.0cm
Sheet size: 40.5×28.6cm
Ed.150
Signed

sugai0608148)
《SIGNAL C》
*レゾネNo.251(阿部出版)
1976年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
Image size: 33.0×19.0cm
Ed.150
Signed


sugai0608159)
SIGNAL D
*レゾネNo.252(阿部出版)
1976
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
Image size:
31.5×22.0cm
Ed.150
Signed


菅井汲_SIGNAL E10)
《SIGNAL E》
*レゾネNo.253(阿部出版)
1976
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
Image size:
34.8×18.4cm
Sheet size:
40.5×28.5cm
Ed.150
Signed


菅井汲_SIGNAL F11)
《SIGNAL F》
*レゾネNo.254(阿部出版)
1976
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
Image size: 33.0×23.5cm
Sheet size: 40.5×28.5cm
Ed.150
Signed


sugai06082112)
《SIGNAL G》
*レゾネNo.255(阿部出版)
1976
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
Image size: 31.5×22.0cm
Ed.150
Signed


sugai_02_miti13)
《道 ROUTE》
*レゾネNo.272(阿部出版)
1976
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
15.0×10.0cm
Ed.200
Signed


菅井汲_CROSSING_214)
《CROSSING 2》
*レゾネNo.278(阿部出版)
1978
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
Image size: 18.0×18.0cm
Sheet size: 25.1×29.2cm
Ed.250
Signed


菅井汲_CROSSING_315)
《CROSSING 3》
*レゾネNo.279(阿部出版)
1978
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
Image size: 18.0×18.0cm
Sheet size: 25.1×29.2cm
E.A.
Signed

菅井汲_CROSSING_516)
《CROSSING 5》
*レゾネNo.280(阿部出版)
1978
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
Image size: 18.0×18.0cm
Sheet size: 25.1×29.2cm
Ed.250
Signed

sugai_HOLIDAY117)
《HOLIDAY 1》
※レゾネNo282(阿部出版)
1978
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
22.0×16.0cm
Ed.250
Signed

sugai_HOLIDAY218)
《HOLIDAY 2》
※レゾネNo283(阿部出版)
1978
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
22.0×16.0cm
Ed.250
Signed

sugai_HOLIDAY319)
《HOLIDAY 3》
※レゾネNo284(阿部出版)
1978
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
22.0×16.0cm
Ed.250
Signed

sugai_HOLIDAY520)
《HOLIDAY 5》
※レゾネNo286(阿部出版)
1978
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
22.0×16.0cm
Ed.250
Signed

菅井汲_DIRECTION_221)
《DIRECTION 2》
*レゾネNo.288(阿部出版)
1978
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
Image size: 12.3×22.0cm
Sheet size: 25.1×29.2cm
Ed.250
Signed

菅井汲_DIRECTION_322)
《DIRECTION 3》
*レゾネNo.289(阿部出版)
1978
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
Image size: 12.7×20.7cm
Sheet size: 25.2×29.4cm
Ed.250
Signed

菅井汲_DIRECTION_423)
《DIRECTION 4》
*レゾネNo.290(阿部出版)
1978
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
Image size: 12.3×22.0cm
Sheet size: 25.1×29.2cm
Ed.250
Signed

sugai_06_hoshi24)
《星 ETOILE》
*レゾネNo.270(阿部出版)
1980
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
15.0×10.0cm
Ed.200
Signed

sugai_GUEST125)
《GUEST I》
※レゾネNo298(阿部出版)
1980
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
57.0×38.0cm
Ed.150
Signed

sugai_GUEST226)
《GUEST II》
※レゾネNo299(阿部出版)
1980
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
57.5×44.0cm
Ed.150
Signed

sugai_GUEST327)
《GUEST III》
※レゾネNo300(阿部出版)
1980年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
62.0×46.5cm
Ed.150
Signed

sugai_GUEST428)
《GUEST IV》
※レゾネNo301(阿部出版)
1980
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
60.0×46.5cm
Ed.150
Signed

sugai_GROUP129)
《GROUP 1》 
※レゾネNo.303(阿部出版)
1980
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
50.5×44.0cm
Ed.150
Signed

sugai_GROUP230)
《GROUP 2》
※レゾネNo.304(阿部出版)
1980
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
48.0×33.0cm
Ed.150
Signed

sugai_GROUP331)
《GROUP 3》
※レゾネNo.305(阿部出版)
1980
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
54.0×38.0cm
Ed.150
Signed

sugai_GROUP432)
《GROUP 4》
※レゾネNo.306(阿部出版)
1980
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
53.0×40.0cm
Ed.150
Signed

sugai_GROUP4B33)
《GROUP 4-B》
※レゾネNo.307(阿部出版)
1980
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
58.5×43.0cm
Ed.150
Signed

菅井汲_ROUGEEET NOIR DU FESTIVAL34)
《ROUGEET NOIR DU FESTIVAL》
※レゾネNo.308(阿部出版)
1980
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
Image size: 27.5×19.0cm
Sheet size: 34.4×27.1cm
Ed.28
Signed

sugai_11_group-s35)
《GROUPE -S》
※レゾネNo.335(阿部出版)
1989
リトグラフ
56.0×76.0cm
Ed.100
Signed

菅井汲_作品236)
《S PRINTEMPS》
*レゾネNo.349(阿部出版)
1990
リトグラフ
Image size: 26.0×20.5cm
Sheet size: 28.7×24.3cm
Ed.99
Signed

菅井汲_作品137)
《SS》
*レゾネNo.350(阿部出版)
1990
リトグラフ
Image size: 23.0×15.0cm
Sheet size: 28.5×24.0cm
Ed.99
Signed

菅井赤い太陽38)
《赤い太陽》
1976年
マルチプル(アクリル+シルクスクリーン)
(刷り:石田了一)
10.0×7.0×2.0cm
Ed.150 Signed

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ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

●皆様にご協力いただいた「ここから熊本へ~地震被災者支援展」での売上げ総額634,500円は、一番被害の大きかった益城町でお年よりや子供たちのケアに尽力されている木山キリスト教会に400,000円を、熊本市の城下町の風情を残す唐人町で被災した築100年の商家(カフェアンドギャラリーなどが入居、一時は解体も検討された)の西村家の復興資金に234,500円を、それぞれ送金いたしました。
詳しくはコチラをお読みください。

◆ときの忘れものは菅井汲展を開催します。
会期:2016年8月6日[土]~8月20日[土] *日曜、月曜、祝日休廊
sugai_11_group-sときの忘れものでは16年ぶりに菅井汲展を開催します。
1919年神戸に生まれた菅井は中村貞以に日本画を学び、1952年渡仏。渡仏間もないクラヴェン画廊での個展が大きな反響を呼び、たちまちパリ美術界のスターとなりました。1955年からは版画制作を開始し、生涯に約400点を制作。1959年リュブリアナ国際版画展、1965年サンパウロ・ビエンナーレ最優秀賞など数多くの国際展で受賞しました。本展では、菅井の1970年代の版画を中心にご覧いただきます。