<菅井汲展@ときの忘れもの(2016/08/19)
今日の夕方はときの忘れものに。開催中だったのは菅井汲展。今回展示されているのは1970~80年代の版画で、幾何学的な抽象図形の作品が並ぶ。
菅井汲の作品は日本の戦後美術を扱う展示の中で何度も見たことがあるが、彼の作品だけをまとめて見るのは初めて。とても理知的な、クールな印象のある作品たちなんだけど、それぞれの作品を見比べることで、作家が作品ごとに色彩や形状、余白の使い方をどのように考え、選んできたのかがなんとなく伝わってくる気がした。作品を色々な環境で見るって、新しい視点をくれるものなんだな。
Luv Pop TYO (Pop U NYC跡地)より>
毎回、私どもの企画展にいらっしゃってくださる林光一郎さんが菅井汲展についてコメントしてくださいました。
夏の暑い時期だったのであまり期待していなかったのですが、なぜか連日海外の方たちが来廊されました。菅井さんの画集やレゾネ(いずれも英文併記)を一時間もかけて読みながら作品を鑑賞されていった女性もいました。最終日にいらしたフランス人に聞くと、何とかという英文のサイトで紹介されたらしい。
閉店間際にお買い上げになった最後の客もタイのバンコクの人で、支払いはカード、即壁から作品を外してお持ち帰りになりました。
偶然ですが夕方には一年ぶりにロスから関根伸夫先生が来廊され、スタッフやゲストの皆さんとにぎやかに会食しました。
8月4日のブログで書いたとおり、そもそも亭主が菅井汲先生を口説いて多数のエディションをつくることができたのは関根先生の助言によってでした。
ときの忘れものは29日(月)まで夏休みをいただいております。
このブログは年中無休なので、休み中、幾日かは亭主が書かねばならない日があり、休み前にはない知恵を絞ってブログの画面を埋める作業に没頭しておりました。
さて本日は画廊コレクションからアメリカポップアートを代表するジェームス・ローゼンクイストとメル・ラモスの作品をご紹介しましょう。
第二次世界大戦後、アメリカに代表される大量生産・大量消費社会をテーマとするポップアート(pop art)が世界を席捲します。1950年代にイギリスで誕生し、1960年代にアメリカでロイ・リキテンスタインやアンディ・ウォーホルたちが従来のオリジナル信仰をひっくりかえし、雑誌や広告、漫画、報道写真などそのまま素材として描き、一躍スターとなります。それを擁護する新しい画商やコレクターたちの出現がそれを支えたことは間違いありません。
20世紀の美術はさまざまな潮流を生みましたが、なかでもポップアートの広がり、次々と現われる作家群、すでに半世紀を経ても衰えることのないパワーは他の潮流を圧倒しています。
●ジェームス・ローゼンクイスト(James Rosenquist,1933年~ )
《Hot Lake》
1978年 銅版
イメージサイズ:44.6×90.0cm
シートサイズ:57.9×101.8cm
Ed.78 Signed
この作品は銅版画としてはかなりのサイズです。もともとローゼンクイストは若い頃は看板画家として生計を立てていたくらいだから、そのテクニックを巧みに応用した巨大サイズの作品をつくり一躍名をあげます。版画でも同様で、1992年作の『Time Dust』にいたっては2.1m x 10.6mの特大サイズ。10メートルの版画なんてときの忘れものでは展示はおろかドアからも入らない(笑)。
●メル・ラモス(Mel RAMOS, 1935年~ )
《女と鳥》
1969年
シルクスクリーン
65.0x50.6cm
Ed.100 Signed
ウォーホル、リキテンスタインなどNYなどを拠点とした作家たちと一線を画して、独自の道を歩んだのが西海岸を代表するポップ・アーティスト、メル・ラモス。裸のピンナップ・ガールと日用雑貨、たとえば、タバコやワイン、ゴルフボールといった身の回りのありふれた商品を組み合わせたスタイルは彼の真骨頂です。
もはや古典ともいえるポップアートの市場的価値はますます高騰していますが、盛者必衰は世のならい、果たして次の時代は。
尊敬する某コレクター氏によれば、具体やもの派などの再評価のうねりを考えると、次の時代を牽引するのはマルセル・デュシャンに始まりローレンス・ウェイナー、河原温、松澤宥、ブルース・ナウマン等にいたるコンセプチュアル・アートの流れではないか、とのこと。
日本は作家たちが高く評価されるのに反比例して画商やコレクター、美術館の世界への影響力は残念ながらとても低い。忸怩たる思いがありますが、世界の潮流をリードする存在にはなっていません。若い世代に期待しましょう。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。
●ときの忘れものは、ただいま夏季休廊中です(2016年8月21日[日]~8月29日[月])。
休み中のお問合せ等への返信は直ぐにはできませんので、ご了承ください。
今日の夕方はときの忘れものに。開催中だったのは菅井汲展。今回展示されているのは1970~80年代の版画で、幾何学的な抽象図形の作品が並ぶ。
菅井汲の作品は日本の戦後美術を扱う展示の中で何度も見たことがあるが、彼の作品だけをまとめて見るのは初めて。とても理知的な、クールな印象のある作品たちなんだけど、それぞれの作品を見比べることで、作家が作品ごとに色彩や形状、余白の使い方をどのように考え、選んできたのかがなんとなく伝わってくる気がした。作品を色々な環境で見るって、新しい視点をくれるものなんだな。
Luv Pop TYO (Pop U NYC跡地)より>
毎回、私どもの企画展にいらっしゃってくださる林光一郎さんが菅井汲展についてコメントしてくださいました。
夏の暑い時期だったのであまり期待していなかったのですが、なぜか連日海外の方たちが来廊されました。菅井さんの画集やレゾネ(いずれも英文併記)を一時間もかけて読みながら作品を鑑賞されていった女性もいました。最終日にいらしたフランス人に聞くと、何とかという英文のサイトで紹介されたらしい。
閉店間際にお買い上げになった最後の客もタイのバンコクの人で、支払いはカード、即壁から作品を外してお持ち帰りになりました。
偶然ですが夕方には一年ぶりにロスから関根伸夫先生が来廊され、スタッフやゲストの皆さんとにぎやかに会食しました。
8月4日のブログで書いたとおり、そもそも亭主が菅井汲先生を口説いて多数のエディションをつくることができたのは関根先生の助言によってでした。
ときの忘れものは29日(月)まで夏休みをいただいております。
このブログは年中無休なので、休み中、幾日かは亭主が書かねばならない日があり、休み前にはない知恵を絞ってブログの画面を埋める作業に没頭しておりました。
さて本日は画廊コレクションからアメリカポップアートを代表するジェームス・ローゼンクイストとメル・ラモスの作品をご紹介しましょう。
第二次世界大戦後、アメリカに代表される大量生産・大量消費社会をテーマとするポップアート(pop art)が世界を席捲します。1950年代にイギリスで誕生し、1960年代にアメリカでロイ・リキテンスタインやアンディ・ウォーホルたちが従来のオリジナル信仰をひっくりかえし、雑誌や広告、漫画、報道写真などそのまま素材として描き、一躍スターとなります。それを擁護する新しい画商やコレクターたちの出現がそれを支えたことは間違いありません。
20世紀の美術はさまざまな潮流を生みましたが、なかでもポップアートの広がり、次々と現われる作家群、すでに半世紀を経ても衰えることのないパワーは他の潮流を圧倒しています。
●ジェームス・ローゼンクイスト(James Rosenquist,1933年~ )

1978年 銅版
イメージサイズ:44.6×90.0cm
シートサイズ:57.9×101.8cm
Ed.78 Signed
この作品は銅版画としてはかなりのサイズです。もともとローゼンクイストは若い頃は看板画家として生計を立てていたくらいだから、そのテクニックを巧みに応用した巨大サイズの作品をつくり一躍名をあげます。版画でも同様で、1992年作の『Time Dust』にいたっては2.1m x 10.6mの特大サイズ。10メートルの版画なんてときの忘れものでは展示はおろかドアからも入らない(笑)。
●メル・ラモス(Mel RAMOS, 1935年~ )

1969年
シルクスクリーン
65.0x50.6cm
Ed.100 Signed
ウォーホル、リキテンスタインなどNYなどを拠点とした作家たちと一線を画して、独自の道を歩んだのが西海岸を代表するポップ・アーティスト、メル・ラモス。裸のピンナップ・ガールと日用雑貨、たとえば、タバコやワイン、ゴルフボールといった身の回りのありふれた商品を組み合わせたスタイルは彼の真骨頂です。
もはや古典ともいえるポップアートの市場的価値はますます高騰していますが、盛者必衰は世のならい、果たして次の時代は。
尊敬する某コレクター氏によれば、具体やもの派などの再評価のうねりを考えると、次の時代を牽引するのはマルセル・デュシャンに始まりローレンス・ウェイナー、河原温、松澤宥、ブルース・ナウマン等にいたるコンセプチュアル・アートの流れではないか、とのこと。
日本は作家たちが高く評価されるのに反比例して画商やコレクター、美術館の世界への影響力は残念ながらとても低い。忸怩たる思いがありますが、世界の潮流をリードする存在にはなっていません。若い世代に期待しましょう。
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。
●ときの忘れものは、ただいま夏季休廊中です(2016年8月21日[日]~8月29日[月])。
休み中のお問合せ等への返信は直ぐにはできませんので、ご了承ください。
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