百瀬恒彦写真展「祝・列・聖」
ときの忘れものからもそう遠くないプロモ・アルテギャラリーで百瀬恒彦先生の個展が開催されます。
百瀬先生からのメッセージを再録させていただきます。


(画面をクリックしてください、拡大されます)
昨年暮に、マザー・テレサが聖人に列聖される事が決まったというバチカンからのニュースが世界中を駆け巡りました。列聖式はこの9月4日だそうです。亡くなってから、聖人に列聖されるには時に数百年かかると聞いていました。マザー・テレサが亡くなったのは1997年(87歳でした)。20年も経っていません。まさか僕が生きている間に!
昨今、眼にまた耳にするニュースはあまりにも殺伐、血なまぐさい出来事ばかり、人がひととして人に対してどうして? あまりに色々な出来事があって、どんどんと記憶の片隅に押し込まれてしまっていますが、今一度マザー・テレサを思い起こして、愛・優しさ・思いやりの心、考えてみたいと思います。
今回の写真展は一昨年世界遺産に決まった和紙を使ったものです。高知県いの町の手漉きの和紙です。今、写真というとまずデジタル写真しか思い浮かびません。つい最近までは、写真というとフィルムを使っての撮影、暗室の中でのプリントでした。その印画紙を、和紙を使って自分で作って、何か表現できたらと思いました。すべて暗室での作業です。薄暗く赤い電球の下で、まず和紙にモノクロ感光用の乳剤を塗ります。その乳剤も去年には生産中止になってしまいました。残りわずかの乳剤、大切に刷毛を使ってムラなく塗ります。刷毛も、硬いもの、柔らかいもの、4種類くらいを手元に、プリントする写真の絵柄によって使い分けます。塗り終わったら、薄暗い赤い電球の中、ドライヤーを使って乾燥! 水分をたっぷり含んでいるので結構な時間がかかります。そり曲がってしまった印画紙をプレス機で75度位の熱を加えながらプレスします。これで和紙の印画紙の出来上がりですが、とにかく暗室の中、出来上がりはまったく予想もつきません。神のみぞ知る!
やっとプリントを始められます。引き伸ばし機にフィルムをセット、ピントを合わせて、出来上がった和紙の印画紙に露光します。もっと白く、もっと黒く、露光時間を長くしたり短くしたり、部分的に光を加えたり減らしたり、絵柄によってのイメージ作業です。現像液をつけるまで全くどうなるのかわかりません。普通は感光させた印画紙全体を現像液につけるのですが、僕は刷毛を使ってイメージする所だけに現像液を塗布していきます。真っ白な和紙の印画紙に像がジワーっと浮かび上がってきます。この手法では同じものは二つと出来ません。文字どおりの一点物です。そのあと停止液、定着液に漬け、定着させます。ここまでが暗室の中での作業です。一時間流水での水洗、そして丸一日かけて自然乾燥、やっと出来上がりました!
百瀬恒彦
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百瀬先生は、1947年長野県に生まれ、武蔵野美術大学商業デザイン科を卒業。在学中から現在に至るまで世界各地を旅行し、風景でありながら人間、生活に重きを置いた写真を撮り続けています。
マザー・テレサなど各界著名人の肖像写真(ポートレート)にも優れた実績があり、和紙にモノクロプリントして日本画の顔料で着彩した作品を制作するなど、独自の写真表現を追求しています。
案内状にもあるとおり、今年もギャラリー内が臨時写真館になって百瀬先生が来場者のポートレート撮影をしてくれます。亭主と社長も撮っていただき、葬式のときはこれを使うと決めております。
やっぱりプロが撮ってくれる写真は違いますね。ぜひ皆さんもどうぞ。
文筆家の鳥取絹子さんに一年にわたりブログで連載していただいたエッセイ「百瀬恒彦の百夜一夜」も合わせてお読みください。
●今日のお勧めは百瀬恒彦です。


百瀬恒彦ポートフォリオ
『無色有情』
限定12部(1/12~12/12)
・たとう箱入オリジナルプリント10点組
・各作品に限定番号と作家サイン入り
テキスト:谷川俊太郎/百瀬恒彦
技法:ゼラチンシルバープリント
用紙:バライタ紙
撮影:1990年
シートサイズ:203×254mm(六つ切り)
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◆中藤毅彦さんのfacebookから、もうひとつ写真展のご案内です。
<少し先になりますが、トップミュージアムこと東京都写真美術館で11月23日より来年1月29日まで開催される、総合開館20周年記念「東京•TOKYO日本の新進作家vol13」に6人の展示作家の1人として参加します。
12月10日には、尊敬する写真家である田原桂一さんとのトークショーも開催します。
同時に展示するのは、元田敬三さん、野村恵子さん、佐藤信太郎さん、小島康敬さん、田代一倫さんのいずれ劣らぬ実力者の方々です。(新進とは言えない様な‥?)全く異なる6人の捉えた「東京」によって、展示空間でどんな東京の姿が立ち上がるのか今から楽しみです。
東京都写真美術館は2年間の改装を終えて来月の杉本博司展よりリニューアルオープンし、20周年記念の企画が続きます。
思えば、学生時代に、今の建物が出来る前の仮屋の頃から様々な一級の展示を見て刺激を受け学んだ場であるので、今回展示出来る運びとなったのは大変光栄で嬉しい限りです。
図録の作成の関係もあり、既に作品構成は出来上がりましたが、6年の撮影期間をかけた自分なりの渾身の東京曼荼羅になりました。ご期待下さい。
また、今回の6人の作品によるグラビアと東京と写真美術館のリニューアルに関する記事が、発売中のアサヒカメラ誌9月号に掲載されております。是非ご覧下さい。
(中藤毅彦さんのfacebookより)>
●ときの忘れものは、ただいま夏季休廊中です(2016年8月21日[日]~8月29日[月])。
休み中のお問合せ等への返信は直ぐにはできませんので、ご了承ください。
ときの忘れものからもそう遠くないプロモ・アルテギャラリーで百瀬恒彦先生の個展が開催されます。
百瀬先生からのメッセージを再録させていただきます。


(画面をクリックしてください、拡大されます)
昨年暮に、マザー・テレサが聖人に列聖される事が決まったというバチカンからのニュースが世界中を駆け巡りました。列聖式はこの9月4日だそうです。亡くなってから、聖人に列聖されるには時に数百年かかると聞いていました。マザー・テレサが亡くなったのは1997年(87歳でした)。20年も経っていません。まさか僕が生きている間に!
昨今、眼にまた耳にするニュースはあまりにも殺伐、血なまぐさい出来事ばかり、人がひととして人に対してどうして? あまりに色々な出来事があって、どんどんと記憶の片隅に押し込まれてしまっていますが、今一度マザー・テレサを思い起こして、愛・優しさ・思いやりの心、考えてみたいと思います。
今回の写真展は一昨年世界遺産に決まった和紙を使ったものです。高知県いの町の手漉きの和紙です。今、写真というとまずデジタル写真しか思い浮かびません。つい最近までは、写真というとフィルムを使っての撮影、暗室の中でのプリントでした。その印画紙を、和紙を使って自分で作って、何か表現できたらと思いました。すべて暗室での作業です。薄暗く赤い電球の下で、まず和紙にモノクロ感光用の乳剤を塗ります。その乳剤も去年には生産中止になってしまいました。残りわずかの乳剤、大切に刷毛を使ってムラなく塗ります。刷毛も、硬いもの、柔らかいもの、4種類くらいを手元に、プリントする写真の絵柄によって使い分けます。塗り終わったら、薄暗い赤い電球の中、ドライヤーを使って乾燥! 水分をたっぷり含んでいるので結構な時間がかかります。そり曲がってしまった印画紙をプレス機で75度位の熱を加えながらプレスします。これで和紙の印画紙の出来上がりですが、とにかく暗室の中、出来上がりはまったく予想もつきません。神のみぞ知る!
やっとプリントを始められます。引き伸ばし機にフィルムをセット、ピントを合わせて、出来上がった和紙の印画紙に露光します。もっと白く、もっと黒く、露光時間を長くしたり短くしたり、部分的に光を加えたり減らしたり、絵柄によってのイメージ作業です。現像液をつけるまで全くどうなるのかわかりません。普通は感光させた印画紙全体を現像液につけるのですが、僕は刷毛を使ってイメージする所だけに現像液を塗布していきます。真っ白な和紙の印画紙に像がジワーっと浮かび上がってきます。この手法では同じものは二つと出来ません。文字どおりの一点物です。そのあと停止液、定着液に漬け、定着させます。ここまでが暗室の中での作業です。一時間流水での水洗、そして丸一日かけて自然乾燥、やっと出来上がりました!
百瀬恒彦
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百瀬先生は、1947年長野県に生まれ、武蔵野美術大学商業デザイン科を卒業。在学中から現在に至るまで世界各地を旅行し、風景でありながら人間、生活に重きを置いた写真を撮り続けています。
マザー・テレサなど各界著名人の肖像写真(ポートレート)にも優れた実績があり、和紙にモノクロプリントして日本画の顔料で着彩した作品を制作するなど、独自の写真表現を追求しています。
案内状にもあるとおり、今年もギャラリー内が臨時写真館になって百瀬先生が来場者のポートレート撮影をしてくれます。亭主と社長も撮っていただき、葬式のときはこれを使うと決めております。
やっぱりプロが撮ってくれる写真は違いますね。ぜひ皆さんもどうぞ。
文筆家の鳥取絹子さんに一年にわたりブログで連載していただいたエッセイ「百瀬恒彦の百夜一夜」も合わせてお読みください。
●今日のお勧めは百瀬恒彦です。


百瀬恒彦ポートフォリオ
『無色有情』
限定12部(1/12~12/12)
・たとう箱入オリジナルプリント10点組
・各作品に限定番号と作家サイン入り
テキスト:谷川俊太郎/百瀬恒彦
技法:ゼラチンシルバープリント
用紙:バライタ紙
撮影:1990年
シートサイズ:203×254mm(六つ切り)
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◆中藤毅彦さんのfacebookから、もうひとつ写真展のご案内です。
<少し先になりますが、トップミュージアムこと東京都写真美術館で11月23日より来年1月29日まで開催される、総合開館20周年記念「東京•TOKYO日本の新進作家vol13」に6人の展示作家の1人として参加します。
12月10日には、尊敬する写真家である田原桂一さんとのトークショーも開催します。
同時に展示するのは、元田敬三さん、野村恵子さん、佐藤信太郎さん、小島康敬さん、田代一倫さんのいずれ劣らぬ実力者の方々です。(新進とは言えない様な‥?)全く異なる6人の捉えた「東京」によって、展示空間でどんな東京の姿が立ち上がるのか今から楽しみです。
東京都写真美術館は2年間の改装を終えて来月の杉本博司展よりリニューアルオープンし、20周年記念の企画が続きます。
思えば、学生時代に、今の建物が出来る前の仮屋の頃から様々な一級の展示を見て刺激を受け学んだ場であるので、今回展示出来る運びとなったのは大変光栄で嬉しい限りです。
図録の作成の関係もあり、既に作品構成は出来上がりましたが、6年の撮影期間をかけた自分なりの渾身の東京曼荼羅になりました。ご期待下さい。
また、今回の6人の作品によるグラビアと東京と写真美術館のリニューアルに関する記事が、発売中のアサヒカメラ誌9月号に掲載されております。是非ご覧下さい。
(中藤毅彦さんのfacebookより)>
●ときの忘れものは、ただいま夏季休廊中です(2016年8月21日[日]~8月29日[月])。
休み中のお問合せ等への返信は直ぐにはできませんので、ご了承ください。
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