韓国ソウルのアートフェアKIAFが終了し、昨夜遅くスタッフたちが帰国しました。
京都から参加してくださった出展作家の野口琢郎さん、通訳として遠路釜山から遠征してくださった井手さん、ご苦労さまでした。
フェアの様子は26日のブログにスタッフSがレポートする予定です。
出張の疲れを癒す間もなく、来月は台湾のアート台北に出展するので、スタッフはたいへんです。毎月海外というのは少しきついなぁと反省しています。

亭主は昨日も朝から昼まで病院で、リハビリとレントゲン、診察でへとへとになりました。おかげさまで回復は歳相応に順調らしいのですが、まだまだ先は長いようです。

10月12日のブログで「山口長男とM氏コレクション展」で展示している駒井哲郎をはじめ、古茂田守介、加納光於の珍しい銅版画作品をご紹介しました。
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(右から桂ゆき、加納光於、駒井哲郎3点)

中でも「夜の中の女」と「悪僧」は、数多ある駒井作品の中でも希少中の希少作品であると強調しました。
駒井追っかけ歴、半世紀を誇る亭主も、「夜の中の女」に市場でめぐりったのはただの一回だけ(それも大魚を逸してしまった)、「悪僧」は回顧展で見ただけで入手の機会は一度もありませんでした。
11駒井哲郎
「夜の中の女」
1951年
インタリオ
22.9×18.0cm
Ed.25(5/25)    Signed
*Raisonne No.45(『駒井哲郎版画作品集』美術出版社 1979年)
*1/25~8/25のみ刷られた

12駒井哲郎
「悪僧」
1950年
アクアチント
17.6×14.6cm
Ed.20(1/20)  Signed
*Raisonne No.30(『駒井哲郎版画作品集』美術出版社 1979年)
*1/20~8/20のみ刷られた

いずれも作家自身によって各8部が刷られただけで、原版は失われており、セカンド・エディションはもちろん、没後の後刷りもありません。
この2点の駒井作品がいかに貴重かつ希少かについては、先日のブログで述べたとおりです。
代表作とされる束の間の幻影」は生前に幾度も刷られており、この2点に比べたら入手するのは数十倍も簡単です。
駒井《悪僧》1/20サイン

駒井《悪僧》1/20エディション番号

上掲は、今回展示している「悪僧」のサインと限定番号の拡大図版です。
入手できただけでも「奇跡」なのに、限定番号が1/20ですから、亭主の興奮をご理解いただけると思います。

駒井《悪僧》8/20
いくら興奮したからと言って同じ作品図版を幾度も載せるな、くどい、と言われそうですが、よくご覧になってください。上掲の1/20とは異なる「悪僧」です。

駒井《悪僧》8/20サイン

駒井《悪僧》8/20エディション番号

奇跡が二度起こった!
駒井作品の最も入手が難しいといわれる「悪僧」を、それも1/20を入手できた亭主は、有頂天になっていたのですが、なんと、2点目の「悪僧」、それも最後の8/20と記載された作品が突然舞い込んできたのです
長い画商人生でもこのようなことははじめてです。
70年近く前、僅か8部しか刷られなかった小さな銅版画のうち2部が数ヶ月の間に一箇所に集まってきた、これを奇跡と言わず何と言おうか。
いま亭主は、人生で二度とないような幸運を得た喜びと、その代償がはたしてどんなことになるのかと震える思いであります。

◆ときの忘れものは「山口長男とM氏コレクション展」を開催しています。
201609_Mcollection
会期:2016年10月12日[水]~10月22日[土]
*日曜、月曜、祝日休廊

出品作家:津田青楓、仙波均平、山口長男、緑川廣太郎、オノサト・トシノブ桂ゆき、古茂田守介、駒井哲郎、高橋秀、加納光於

1950年代から70年代にかけて王様クレヨンや画廊を経営していたM氏は多くの画家たちと親交し、彼らのパトロン的存在でもありました。本展では山口長男の代表作「五つの線」(1954年、油彩、180×180cm、第39回二科展、翌年の第3回サンパウロ・ビエンナーレ展出品作品)をはじめ、M氏がコレクションした作品20点をご覧いただきます。
●出品全作品を収録した「山口長男とM氏コレクション展」カタログを制作しました。

201610_M氏カタログ_600『山口長男とM氏コレクション展』カタログ
2016年
ときの忘れもの 発行
テキスト:三上豊(和光大学)
和英併記、20ページ
25.7×18.2cm
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