美術の秋、鎌倉、東京、桐生の三つの美術館で松本竣介の作品が展示されています。
竣介ファンの亭主としては嬉しい限り。
●鎌倉で「松本竣介 創造の原点」


会場:神奈川県立近代美術館鎌倉別館
〒248-0005 神奈川県鎌倉市雪ノ下2-8-1
会期:2016年10月8日~2016年12月25日
休館:月曜日
坂倉準三の設計になる本館はこの春、遂に閉鎖されましたたが、鎌倉にはもう一つ別館があります。
1984年に大高正人の設計により開館した神奈川県立近代美術館・鎌倉別館です。しかしこの別館も、今回の竣介展を最後に改修工事のためしばらく休館となるそうです。
改修前の最後の展覧会をお見のがしなく!

ひっそりと佇む本館。県の重要文化財に指定されるとかで、とりあえず建物は壊されずにすみそうです(ほっ)。
鎌倉駅からここまでだって老人の足では十分に遠い、ましてや観光地と化した小町通の歩きにくさといったらない。別館はさらにゆるやかな坂道をとぼとぼ数百メートル先にあります。

最後の50mが辛い!

ようやくたどり着きました。

選挙じゃあるまいし、のぼり旗というのも何かちょっと・・・・竣介には似合わないと思うんですが。

前庭の彫刻群はいいですね。
館内は撮影禁止だったので、写真レポートはここまでですが、亭主にとっては「立てる像」を見られただけでも来た甲斐がありました。
≪立てる像≫
1942
油彩・画布
162.0x130.0cm
神奈川県立近代美術館蔵
1973年の秋、薄暗い本館の松本竣介記念室(いまは無い)で対面して以来、鎌倉で、東京で、盛岡で幾度みたことでしょうか。この絵を見るたびに、亭主は美術を仕事にして良かったとしみじみ思うのであります。
『松本竣介 創造の原点』図録
2016年
88ページ
神奈川県立近代美術館 発行
1948年6月、松本竣介は病に倒れ36歳という若さで世を去りました。
東京に生まれ盛岡で少年時代を過ごした竣介は、戦前から活動を開始し、戦中には麻生三郎、靉光、寺田政明らと「新人画会」を結成。困難な時代においても自由な個の表現者であろうとする姿勢を貫きました。その彼の死から10年後の1958年、神奈川県立近代美術館では「松本竣介・島崎鶏二展」を開催しました。それが公立の美術館で松本竣介の作品がまとめて展示された初めての展覧会でした。
その後、当館はご遺族などからの寄贈を受け、1968年に旧鎌倉館の一室を「松本竣介記念室」として公開しました。1984年に鎌倉別館が開館してからしばらくの間、展示室の一部を「松本竣介コーナー」として展示替えしながら作品を紹介。さらに、2012年には生誕100年を記念し葉山館で大規模な回顧展を開催するなど、松本竣介は常に当館の活動のひとつの軸となってきました。
時代の不安な様相を独自の静謐さで包んだ都会風景や温かな視線が注がれた人物像、複雑に交錯するモンタージュと呼ばれる技法を応用した情景など、時代を超えて人々を魅了し続ける松本竣介の絵は、今や当館のコレクションにとって最も重要な位置を占めるばかりでなく、昭和前期の近代洋画史に欠くことのできないものとなっています。
今回の展覧会では、 2012年の回顧展を機に新たに発見された《聖橋風景》を含む油彩、素描とあわせて彼と関わりの深い作家の作品を展示するとともに、竣介が残したスケッチ帖などを手掛かりにして、その創造の原点を探ります。(同館HPより)
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●東京竹橋で「奈良美智がえらぶMOMATコレクション」


「近代風景~人と景色、そのまにまに~」
会期:2016年5月24日[火]~11月13日[日]
会場:東京国立近代美術館
休館:月曜
当代一の人気作家・奈良美智さんがセレクションした近美のコレクション展示です。
~~~
アーティスト、奈良美智がMOMATのコレクションから作品をセレクトします。
大学時代の恩師、麻生三郎や、麻生とともに戦争の時代を生きた松本竣介。村山槐多のたくましい少女像や、奈良が「手袋とスカーフの色が大事」と語る榎本千花俊の女性像。美術史にとらわれることなく好きな作品を選んだら、自然と1910-50年代の人と景色を描く作品にしぼられたといいます。
おもに「人」を描くアーティストと思われがちな奈良ですが、実は街や野原といった「景色」も「人」と同じぐらい重要なものと考えています。「人」と人の外にある「景色」、ふたつが合わさって「風景」になる、と奈良は語ります。
おなじみの名作からふだんあまり展示されない作品まで、約60点がずらりと並びます。奈良が作家、作品に寄せたコメントもご紹介します。奈良美智の目を通して、作品の新しい魅力に出会いましょう。(同館HPより)
~~~
奈良さんといえば贋作まで出回る超人気作家ですが、美術出版社が刊行した分厚いカタログレゾネの第1番は、レゾネ編集当時ときの忘れものにありました。旧蔵者は私たちの現代版画センター時代からの長年の顧客であった弘前のKさんです。
地元の若い作家たちの支援もずっと続けておられたKさんのコレクションによる「奈良美智24歳×瑛九24歳 画家の出発」展を開催したのは2010年9月でした。
奈良さんの初期作品3点(中の一点は奈良さんの意向でレゾネには収録されませんでしたが高校時代の作品で、他の2点が初個展出品作品でレゾネに収録されました)と、時代は遠く隔つとも初個展が奇しくも同じ24歳だった瑛九の初期作品を展示しました。詳しくは『奈良美智24歳×瑛九24歳 画家の出発』展カタログをお読みください。
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●群馬県桐生で「松本竣介と野田秀夫」


「松本竣介と野田秀夫」
会期:2016年10月1日[土]~12月18日[日]
会場:大川美術館
休館:月曜(ただし9月19日[月・祝]は開室)
サラリーマン・コレクターの典型ともいうべき大川栄二さんがおそるべき執念で集めたのが松本竣介(1912~48年)と野田英夫(1908~39年)の若くして亡くなった画家の作品でした。日本近代洋画を中心に約6,500点を数える収蔵作品を持つ大川美術館ですが、山の斜面に建つ建物(某企業の社員寮だった)の改装設計を担当したのが、竣介のご子息・松本莞さんです。
大川美術館といえば竣介と言われるように、質量ともに(もっとも竣介の遺した総点数は他の巨匠たちに比べればごく僅かですが)日本有数のコレクションです。
今回の展示では、松本竣介と野田英夫の同館所蔵のコレクションのほぼすべてを展示するらしい(すいません、亭主はまだ行っていません)。昨年新しく発見され、アメリカの所蔵家より寄贈された野田英夫の油彩画《ポキプシー》と、松本竣介《街》を起点に信濃デッサン館をはじめ、個人の所蔵家による魅力的な水彩、素描作品などもあわせて展観されます。
ときの忘れものも少しお手伝いしました。
近日中に詳しいレポートをお届けします。
●本日のお勧め作品は、松本竣介と野田英夫です。
松本竣介
「女の横顔(2)」
※「松本竣介没後50年展―人と街の風景―」(1997年 南天子画廊)図録19ページ所収
1945年頃
紙にインク、墨
イメージサイズ:25.5x19.0cm
シートサイズ:27.3x19.7cm
野田英夫
「風景」
紙に油彩・ペン
24.0x33.3cm
※1979年の熊本県立美術館「野田英夫展」出品作品
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
竣介ファンの亭主としては嬉しい限り。
●鎌倉で「松本竣介 創造の原点」


会場:神奈川県立近代美術館鎌倉別館
〒248-0005 神奈川県鎌倉市雪ノ下2-8-1
会期:2016年10月8日~2016年12月25日
休館:月曜日
坂倉準三の設計になる本館はこの春、遂に閉鎖されましたたが、鎌倉にはもう一つ別館があります。
1984年に大高正人の設計により開館した神奈川県立近代美術館・鎌倉別館です。しかしこの別館も、今回の竣介展を最後に改修工事のためしばらく休館となるそうです。
改修前の最後の展覧会をお見のがしなく!

ひっそりと佇む本館。県の重要文化財に指定されるとかで、とりあえず建物は壊されずにすみそうです(ほっ)。
鎌倉駅からここまでだって老人の足では十分に遠い、ましてや観光地と化した小町通の歩きにくさといったらない。別館はさらにゆるやかな坂道をとぼとぼ数百メートル先にあります。

最後の50mが辛い!

ようやくたどり着きました。

選挙じゃあるまいし、のぼり旗というのも何かちょっと・・・・竣介には似合わないと思うんですが。

前庭の彫刻群はいいですね。
館内は撮影禁止だったので、写真レポートはここまでですが、亭主にとっては「立てる像」を見られただけでも来た甲斐がありました。

1942
油彩・画布
162.0x130.0cm
神奈川県立近代美術館蔵
1973年の秋、薄暗い本館の松本竣介記念室(いまは無い)で対面して以来、鎌倉で、東京で、盛岡で幾度みたことでしょうか。この絵を見るたびに、亭主は美術を仕事にして良かったとしみじみ思うのであります。

2016年
88ページ
神奈川県立近代美術館 発行
1948年6月、松本竣介は病に倒れ36歳という若さで世を去りました。
東京に生まれ盛岡で少年時代を過ごした竣介は、戦前から活動を開始し、戦中には麻生三郎、靉光、寺田政明らと「新人画会」を結成。困難な時代においても自由な個の表現者であろうとする姿勢を貫きました。その彼の死から10年後の1958年、神奈川県立近代美術館では「松本竣介・島崎鶏二展」を開催しました。それが公立の美術館で松本竣介の作品がまとめて展示された初めての展覧会でした。
その後、当館はご遺族などからの寄贈を受け、1968年に旧鎌倉館の一室を「松本竣介記念室」として公開しました。1984年に鎌倉別館が開館してからしばらくの間、展示室の一部を「松本竣介コーナー」として展示替えしながら作品を紹介。さらに、2012年には生誕100年を記念し葉山館で大規模な回顧展を開催するなど、松本竣介は常に当館の活動のひとつの軸となってきました。
時代の不安な様相を独自の静謐さで包んだ都会風景や温かな視線が注がれた人物像、複雑に交錯するモンタージュと呼ばれる技法を応用した情景など、時代を超えて人々を魅了し続ける松本竣介の絵は、今や当館のコレクションにとって最も重要な位置を占めるばかりでなく、昭和前期の近代洋画史に欠くことのできないものとなっています。
今回の展覧会では、 2012年の回顧展を機に新たに発見された《聖橋風景》を含む油彩、素描とあわせて彼と関わりの深い作家の作品を展示するとともに、竣介が残したスケッチ帖などを手掛かりにして、その創造の原点を探ります。(同館HPより)
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●東京竹橋で「奈良美智がえらぶMOMATコレクション」


「近代風景~人と景色、そのまにまに~」
会期:2016年5月24日[火]~11月13日[日]
会場:東京国立近代美術館
休館:月曜
当代一の人気作家・奈良美智さんがセレクションした近美のコレクション展示です。
~~~
アーティスト、奈良美智がMOMATのコレクションから作品をセレクトします。
大学時代の恩師、麻生三郎や、麻生とともに戦争の時代を生きた松本竣介。村山槐多のたくましい少女像や、奈良が「手袋とスカーフの色が大事」と語る榎本千花俊の女性像。美術史にとらわれることなく好きな作品を選んだら、自然と1910-50年代の人と景色を描く作品にしぼられたといいます。
おもに「人」を描くアーティストと思われがちな奈良ですが、実は街や野原といった「景色」も「人」と同じぐらい重要なものと考えています。「人」と人の外にある「景色」、ふたつが合わさって「風景」になる、と奈良は語ります。
おなじみの名作からふだんあまり展示されない作品まで、約60点がずらりと並びます。奈良が作家、作品に寄せたコメントもご紹介します。奈良美智の目を通して、作品の新しい魅力に出会いましょう。(同館HPより)
~~~
奈良さんといえば贋作まで出回る超人気作家ですが、美術出版社が刊行した分厚いカタログレゾネの第1番は、レゾネ編集当時ときの忘れものにありました。旧蔵者は私たちの現代版画センター時代からの長年の顧客であった弘前のKさんです。
地元の若い作家たちの支援もずっと続けておられたKさんのコレクションによる「奈良美智24歳×瑛九24歳 画家の出発」展を開催したのは2010年9月でした。
奈良さんの初期作品3点(中の一点は奈良さんの意向でレゾネには収録されませんでしたが高校時代の作品で、他の2点が初個展出品作品でレゾネに収録されました)と、時代は遠く隔つとも初個展が奇しくも同じ24歳だった瑛九の初期作品を展示しました。詳しくは『奈良美智24歳×瑛九24歳 画家の出発』展カタログをお読みください。
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●群馬県桐生で「松本竣介と野田秀夫」


「松本竣介と野田秀夫」
会期:2016年10月1日[土]~12月18日[日]
会場:大川美術館
休館:月曜(ただし9月19日[月・祝]は開室)
サラリーマン・コレクターの典型ともいうべき大川栄二さんがおそるべき執念で集めたのが松本竣介(1912~48年)と野田英夫(1908~39年)の若くして亡くなった画家の作品でした。日本近代洋画を中心に約6,500点を数える収蔵作品を持つ大川美術館ですが、山の斜面に建つ建物(某企業の社員寮だった)の改装設計を担当したのが、竣介のご子息・松本莞さんです。
大川美術館といえば竣介と言われるように、質量ともに(もっとも竣介の遺した総点数は他の巨匠たちに比べればごく僅かですが)日本有数のコレクションです。
今回の展示では、松本竣介と野田英夫の同館所蔵のコレクションのほぼすべてを展示するらしい(すいません、亭主はまだ行っていません)。昨年新しく発見され、アメリカの所蔵家より寄贈された野田英夫の油彩画《ポキプシー》と、松本竣介《街》を起点に信濃デッサン館をはじめ、個人の所蔵家による魅力的な水彩、素描作品などもあわせて展観されます。
ときの忘れものも少しお手伝いしました。
近日中に詳しいレポートをお届けします。
●本日のお勧め作品は、松本竣介と野田英夫です。

「女の横顔(2)」
※「松本竣介没後50年展―人と街の風景―」(1997年 南天子画廊)図録19ページ所収
1945年頃
紙にインク、墨
イメージサイズ:25.5x19.0cm
シートサイズ:27.3x19.7cm

「風景」
紙に油彩・ペン
24.0x33.3cm
※1979年の熊本県立美術館「野田英夫展」出品作品
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