スタッフSの海外ネットサーフィン No.51
「Imprimer le monde」
The Centre Pompidou, Paris
読者の皆様こんにちわ、ゴールデンウイークも早々に過ぎ去り、大分寒さも和らいできたなぁ…等と思っていたらあっという間に日中気温29℃などという洒落にならん暑さになってしまい、自宅でエアコンを全力運転させて環境破壊に勤しんでおります、スタッフSこと新澤です。
1977年に開館し、今年で40周年を迎えたパリの現代美術の最先端・ポンピドゥーセンター。
現在はMUTATIONS-CREATIONSという主題の下、幾つかの企画展を開催していますが、今回ご紹介させていただくのはその内の一つ、「Imprimer le monde」です。

直訳すると「世界を印刷する」という意味のタイトルですが、この企画展では昨今技術の躍進が著しい3Dプリンターを用いた作品が展示されています。40の出展者の内訳は作家に限らず、3Dプリンターを解析や実験目的で使用するデザイナーや建築家等、多岐に渡ります。
3Dプリンターと聞くと一般には最近、2010年代以降の技術と思われるかもしれませんが、その起源は1860年代にフランス人作家・彫刻家・写真家であるフランソワ・ウィレーム(Francois Willeme)の写真彫刻まで遡ることができます。とはいえ、現在知られるコンピューターを介してのモデルの出力が1980年代に実現されるまでは、コンピューター自体の誕生までに100年、そこから更に技術の発展に20年が必要とされましたが。
今日、3Dプリンターは一般家庭が所有できるほどにサイズと価格が手軽となり、逆にハイエンドにおいては様々な素材を用いて精密な出力を可能とするだけではなく、通常であれば実現できない形状の出力も可能としました。
今回の出品作品で自分が特に興味を惹かれた作品は以下の2点です。
"Grotto II"
Benjamin Dillenburger、Michael Hansmeyer作
およそ7トンの砂岩を材料に制作された、縦横3mを超える立体作品です。
デジタルデータを基に制作されているからこそ分かることですが、作品を構成している面の数、実に13億以上! 制作はデザイン作業に2年が費やされたものの、パーツの出力は全自動で1ヶ月、組み立てに人力で2日。
c Photo by Fabrice Dall'Anese
"Stranger Visions, Portraits and samples from New York, 2012"
Heather Dewey-Hagborg作
道端に落ちている髪の毛、ガムの固まり、たばこの吸い殻からDNAを抽出し、それを材料にコンピュータがDNA保持者の顔を算出、3Dで出力するという、生物学の実験との境界が非常に曖昧に感じるシリーズ。
自分の痕跡から知らぬ間に自分の外観が複製されている、と書くとゾッとしませんが、作家と作家本人のDNAポートレートを見比べると、やはり髪の毛一本じゃ人間なんて分からんモンだなとも思います。
他にもいかにも3Dプリンターで出力したのだろうなと察せられるものから、「えっ、これが!?」というものまで、様々な作品が展示されています。
この展覧会は6月19日(月)まで、11:00から21:00の間、ポンピドゥーセンターのギャラリー4にて開催しております。
先端技術が多種多様なクリエイターの手によって活かされる様子にご興味がある方は、是非以下より公式ページもご覧になってみてください。
(しんざわ ゆう)
ポンピドゥーセンター公式サイト(英語)
MUTATIONS-CREATIONS / IMPRIMER LE MONDE展ページ(英語)
デジタル・グロテスク(英語)
上で紹介した"Grotto II"を制作したグループの公式ページです。前作である"Grotto I"の画像や紹介動画も掲載されています。
Go Behind the Scenes to Watch How Heather Dewey-Hagborg Creates Portraits with Found DNA(英語)
ヘザー・デューイー・ハグボルがDNAポートレートを制作する過程を動画で見ることができます。
●今日のお勧め作品は、植田正治です。
植田正治
《砂丘ヌード》
1950年(Printed later)
ゼラチンシルバープリント
Image size: 23.7×21.7cm
Sheet size: 30.3×25.2cm
サインあり
植田正治
《砂丘ヌード》
1950年(Printed later)
ゼラチンシルバープリント
Image size: 24.2×21.7cm
Sheet size: 30.3×25.3cm
サインあり
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◆スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
「Imprimer le monde」
The Centre Pompidou, Paris
読者の皆様こんにちわ、ゴールデンウイークも早々に過ぎ去り、大分寒さも和らいできたなぁ…等と思っていたらあっという間に日中気温29℃などという洒落にならん暑さになってしまい、自宅でエアコンを全力運転させて環境破壊に勤しんでおります、スタッフSこと新澤です。
1977年に開館し、今年で40周年を迎えたパリの現代美術の最先端・ポンピドゥーセンター。
現在はMUTATIONS-CREATIONSという主題の下、幾つかの企画展を開催していますが、今回ご紹介させていただくのはその内の一つ、「Imprimer le monde」です。

直訳すると「世界を印刷する」という意味のタイトルですが、この企画展では昨今技術の躍進が著しい3Dプリンターを用いた作品が展示されています。40の出展者の内訳は作家に限らず、3Dプリンターを解析や実験目的で使用するデザイナーや建築家等、多岐に渡ります。
3Dプリンターと聞くと一般には最近、2010年代以降の技術と思われるかもしれませんが、その起源は1860年代にフランス人作家・彫刻家・写真家であるフランソワ・ウィレーム(Francois Willeme)の写真彫刻まで遡ることができます。とはいえ、現在知られるコンピューターを介してのモデルの出力が1980年代に実現されるまでは、コンピューター自体の誕生までに100年、そこから更に技術の発展に20年が必要とされましたが。
今日、3Dプリンターは一般家庭が所有できるほどにサイズと価格が手軽となり、逆にハイエンドにおいては様々な素材を用いて精密な出力を可能とするだけではなく、通常であれば実現できない形状の出力も可能としました。
今回の出品作品で自分が特に興味を惹かれた作品は以下の2点です。

Benjamin Dillenburger、Michael Hansmeyer作
およそ7トンの砂岩を材料に制作された、縦横3mを超える立体作品です。
デジタルデータを基に制作されているからこそ分かることですが、作品を構成している面の数、実に13億以上! 制作はデザイン作業に2年が費やされたものの、パーツの出力は全自動で1ヶ月、組み立てに人力で2日。
c Photo by Fabrice Dall'Anese

Heather Dewey-Hagborg作
道端に落ちている髪の毛、ガムの固まり、たばこの吸い殻からDNAを抽出し、それを材料にコンピュータがDNA保持者の顔を算出、3Dで出力するという、生物学の実験との境界が非常に曖昧に感じるシリーズ。

他にもいかにも3Dプリンターで出力したのだろうなと察せられるものから、「えっ、これが!?」というものまで、様々な作品が展示されています。
この展覧会は6月19日(月)まで、11:00から21:00の間、ポンピドゥーセンターのギャラリー4にて開催しております。
先端技術が多種多様なクリエイターの手によって活かされる様子にご興味がある方は、是非以下より公式ページもご覧になってみてください。
(しんざわ ゆう)
ポンピドゥーセンター公式サイト(英語)
MUTATIONS-CREATIONS / IMPRIMER LE MONDE展ページ(英語)
デジタル・グロテスク(英語)
上で紹介した"Grotto II"を制作したグループの公式ページです。前作である"Grotto I"の画像や紹介動画も掲載されています。
Go Behind the Scenes to Watch How Heather Dewey-Hagborg Creates Portraits with Found DNA(英語)
ヘザー・デューイー・ハグボルがDNAポートレートを制作する過程を動画で見ることができます。
●今日のお勧め作品は、植田正治です。

《砂丘ヌード》
1950年(Printed later)
ゼラチンシルバープリント
Image size: 23.7×21.7cm
Sheet size: 30.3×25.2cm
サインあり

《砂丘ヌード》
1950年(Printed later)
ゼラチンシルバープリント
Image size: 24.2×21.7cm
Sheet size: 30.3×25.3cm
サインあり
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