残念なニュースです。

開館20周年を迎えたばかりの池田満寿夫美術館が先月末で閉館となりました。

<長野市出身の国際的アーティストの名を冠した個人美術館。1997年4月に長野市松代町(まつしろまち)に開館しました。内外の受賞版画をはじめ(銅版画・リトグラフなど)、初期のデッサン、油彩・水彩画、書、立体作品、関連資料を多数収蔵し、さまざまな切り口の企画展やイベントで池田満寿夫の世界を多角的に紹介しています。(同館のHPより)>

同館は栗菓子製造販売の竹風堂が運営していますが、館主を務める竹風堂の竹村猛志・取締役相談役によると、入館者数が減少を続け、「最盛期に比べ半分以下に減った」。空調や照明設備も古くなり、「更新に費用を要し、空調設備だけでも3、4千万円の負担が生じる」ということで、苦渋の決断だったようです。(信毎WEBニュースより)

亭主が美術業界に突然参入したとき、知っていたのは池田満寿夫と棟方志功くらいでした。お二人とも当時はご健在で、文字通り版画界の大スターでした。
池田さんには生前幾度か会う機会もあり、エディションの制作を依頼したこともありますがあっさり振られました。
振られはしましたがもともとファンだったので、作品はたくさん扱いました。
今でも後悔しているのは、池田さんに瑛九のことをもっと直接聞いておけば良かったと思うことです。

池田満寿夫美術館にも機会があれば訪ね、学芸員の皆さんにはたいへんお世話になりました。
このブログでも、池田さんの作品や、美術館についてもたびたび書いてきました。

2006年9月15日~瑛九「音楽」池田満寿夫刷りの銅版

2007年2月10日~瑛九の銅版「散歩A」池田満寿夫刷り

2008年3月11日~作者不詳~その二

2008年11月13日~画家とパトロン~池田満寿夫・靉嘔と久保貞次郎

2010年5月5日~富山県立近代美術館で池田満寿夫展

2010年6月13日~池田満寿夫さんのこと

2010年6月29日~池田満寿夫展にて/富山県立近代美術館

2011年11月21日~池田満寿夫「タエコの朝食」

2014年1月14日~針生一郎「現代日本版画家群像 第7回 靉嘔と池田満寿夫」

2014年6月24日~久保貞次郎×池田満寿夫~第25回瑛九展より

2014年12月9日のブログ~紅葉の信州

2016年2月27日のブログ~靉嘔・池田満寿夫「金沢八景ビル」壁画解体
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個人の版画コレクションとしては永田生慈さんの浮世絵コレクションが有名です。
同氏が少年の頃から集めた作品により、故郷の津和野町に「葛飾北斎美術館」を開いたのは1990年でした。しかし美術館の維持は難しく2015年には閉館しています。
その行方が心配でしたが、病気療養中の永田さんが葛飾北斎を中心にしたコレクション約1000点を島根県に今春、寄贈したとのことです。
散逸を免れたのは幸いです。

池田満寿夫美術館が所蔵する版画や油絵、水彩画など約2千点の行方が心配ですね。
20年間の学芸員の皆さんの奮闘にこころより敬意を表します。
長い間、ご苦労さまでした。

●今日のお勧めは池田満寿夫の銅版画です。
ikeda_01[1]池田満寿夫 Masuo IKEDA
作品集〈今日の問題点〉より 《この空の上》
1969年
エッチング、ルーレット
イメージサイズ:16.1×14.2cm
シートサイズ :20.0×20.0cm
Ed.70    signed

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●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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