先ずは嬉しいニュースを。
<今週末10月7日(土)から、「MOMASコレクション第3期」が開幕します。今回は、「セレクション:ピサロとか岸田劉生とか」「描かれたこどもの世界」「明治・大正の日本画-江森天寿を中心に」「近代浦和・文化の景色」の4つのテーマで収蔵品を展示します。
そしてもう1つ、新たに収蔵品に加わった瑛九(えいきゅう)の作品「手」を初披露します。
浦和の地で精力的な活動を行った画家・瑛九は、幻想的な表現を含む多くの実験的な作品を制作し、後半は点描による抽象絵画を多く発表しました。「手」は、1957年(昭和32年)に制作され、吹付技法を用いて瑛九独特の夢幻的な色彩と空間が魅力的に描かれています。吹付技法による瑛九の絵画作品は作例が少なく、最晩年の、微細な点描の油彩画への展開を示す貴重な作品です。制作には、写真作品(フォト・デッサン:瑛九独自の写真作品)と同様の型紙が使われており、瑛九におけるフォト・デッサンと油彩画の有機的な関連が明快に示された、極めて重要な作品です。
ぜひご覧ください!!  瑛九《手》1957年

http://www.pref.spec.ed.jp/momas/?page_id=355
埼玉県立近代美術館のfacebookより)>

qei_154瑛九「手」
1957年
板に油彩吹き付け
46.4×38.3cm (F8号)
埼玉県立近代美術館所蔵
※山田光春『私家版・瑛九油絵作品写真集』(1977年刊)No.286
※宮崎県立美術館他『生誕100年記念 瑛九展』図録所収・油彩画カタログレゾネ(2011年刊)No.346


瑛九の「手」は1981年3月渋谷の松濤にオープンした現代版画センターの直営店「ギャラリー方寸」開廊記念展の出品作で、福井県勝山のNさんの旧蔵作品でした。

12月24日まで「2017 MOMASコレクション 第3期」として埼玉県立近代美術館一階に展示されていますので、ぜひご覧になってください。
10月21日からは、同館開館35周年記念展「ディエゴ・リベラの時代 メキシコの夢とともに」が開催されます。20世紀のメキシコを代表するディエゴ・リベラ(1886-1957)はメキシコ革命後の1920年代、リベラはその思想を民衆に伝えるために公共空間に壁画を描く「メキシコ壁画運動」の代表者となり、世界的な注目を集めました。
招待券ご希望の方は、メールにてお申し込みください。
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ときの忘れもので2014年と2015年に開催した「瀧口修造展」の合同図録『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』がようやく完成しました。
作品をお買い上げいただいた皆さん、ご執筆いただいた土渕信彦さん、工藤香澄さんには長いことお待たせしてしまいました。お詫びします。
瀧口修造展 I』、『瀧口修造展 II』よりページ数も増えました。

2017年10月末までにお申し込みいただいた方には特別価格:2,500円(税、送料サービス)でおわけします。メールにてお申し込みください。請求書を同封して代金後払いで発送します。
E-mail. info@tokinowasuremono.com

TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』
2017年
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
ハードカバー
英文併記
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別、送料別途)

「瀧口修造展 III 瀧口修造とマルセル・デュシャン」
会期=2014年11月5日[水]―11月22日[土]
会場:ときの忘れもの(南青山)

「瀧口修造展 IV」
会期=2015年10月17日[土]―10月31日[土]
会場:ときの忘れもの(南青山)

目次(抄):
・Personally Speaking 瀧口修造(再録)
・マルセル・デュシャン語録について 瀧口修造(再録)
・檢眼圖 だれの証拠品、だれが目撃者? 瀧口修造(再録)
・私製草子のための口上 瀧口修造(再録)
・「オブジェの店」を開く構想に関するノート 土渕信彦
・マルセル・デュシャンとマルチプル 工藤香澄

刊行を記念して◎10月27日(金)18時~中尾拓哉さんによるギャラリートーク<マルセル・デュシャン、語録とチェス>を開催します。
*要予約
:参加費1,000円

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●中尾拓哉 著『マルセル・デュシャンとチェス』のご紹介
現代美術の父マルセル・デュシャンの制作論における秘密を、チェスを手がかりに精緻に読み解く、気鋭の美術評論家による力作。
20170930中尾拓哉 著
『マルセル・デュシャンとチェス』

2017年
平凡社 発行
396ページ
21.6x15.8cm
価格:4,800円(税別、送料別途)
*著者サイン入り
ときの忘れもので扱っています。


気鋭の美術評論家がチェスとデュシャンの失われた関係を解き明かし、制作論の精緻な読み解きから造形の根源へと至る、スリリングにしてこの上なく大胆な意欲作。生誕130年、レディメイド登場100年!
「チェスとデュシャンは無関係だという根拠なき風説がこの国を覆っていた。やっと霧が晴れたような思いだ。ボードゲームは脳内の抽象性を拡張する」──いとうせいこう氏推薦(本書帯より転載)

目次(抄):
・序章 二つのモノグラフの間に
・第一章 絵画からチェスへの移行
・第二章 名指されない選択の余地
・第三章 四次元の目には映るもの
・第四章 対立し和解する永久運動
・第五章 遺された一手をめぐって
・第六章 創作行為、白と黒と灰と

中尾拓哉(なかお・たくや)
美術評論家。1981年生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(芸術)。2014年に論考「造形、その消失において――マルセル・デュシャンのチェスをたよりに」で『美術手帖』通巻1000号記念第15回芸術評論募集佳作入選。単著に『マルセル・デュシャンとチェス』(平凡社、2017年)。